【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,471 / 1,649
第四十六章

1455 少年の正体

しおりを挟む
( オリビア )


< ???の資質 >

< 悪神の手 >

大量の資質と現在発現しているスキルの全てを奪う特殊型???スキル

ただし、自身のレベル以上の存在及び、一定以下の精神汚染度の者たちからは奪う事ができない



震える声でそう尋ねる母にニッコリ笑顔を見せた少年は、戯けるように両手を広げた。


「 御名答~♡ 

” 力 ” を使って好きに生きてきた人間が、その ” 力  ” を失う……それほど辛い事はねぇよなぁ~。

なぁなぁ、今どんな気持ちだ?

絶望だよな?悔しい?憎い?悲しい?

俺はめちゃくちゃ楽しい!

人の絶望に塗れた顔を見ると、最高に気分が高まるんだわ~ハハハハハッ!!! 」


「 そ……そんなはず……そんなはずはねぇっ!!!!

俺は……俺は……っ!!  」


父はブルブル震える手で剣を振るが……そこにいつものキレとスピードはなく、まるで素人の子供が振る剣の様。


本当に力を失っている!!


それを正確に理解した父と母は、突然ヘンドリクの方を向き、怒鳴り始めた。


「 おいっ!!クソジジィ!!

俺達を助けろ!!!正義の味方様なら当然助けるよなぁ!!? 」


「 そ、そうよっ!!!

わっ、私達、何にもしてないのに、あいつが攻撃してきたのよ!! 

なんなら依頼料も出してあげるから!!

だからあいつを倒して私達を助けなさい!! 」


もはや言葉も出ない手の平返し。

これもクズの常套手段。


憐れみを誘って時には泣いて、土下座して……。

善人の罪悪感につけ込み、助けて貰ったら、またアッサリ裏切る。

こいつらにとって善人の優しい心とやらは上手く使える道具なのだから、この行動は何も悪い事ではない ” 正しい事 ” なんだろうと思う。


ヘンドリクは、満面の笑みを浮かべながらそんな父と母に言った。


「 スマンのぉ~。

最近歳をとってきたせいか、耳も聞こえづらくなってきてな~。

なぁ~んも聞こえん。 」


「 は……はぁぁぁぁ!!??

ふっざけんなよっ!!このクソじじぃ!!!

こんな事、絶対間違ってんだろっ!!? 」


「 こっちは被害者なのにっ!!

絶対おかしい!!こんな卑怯な……っ!! 」


父と母の自分という存在が中心の世界にとって、今の状況はおかしい事。

だからこの助けを求める姿がおかしい事だとは、本気で思っていないのだ。

自分たちを見つめる街の人々の冷たい視線の理由すら分からない。


こうなってしまえば、もう ” 救う ” という概念すらもないんだ……。


二人はその場の全員が自分たちに向けるその視線に苛立ちながら、最後に私の方を見た。

そして────私を散々殴り続けてきた、その手を伸ばす。


「 お前は俺を見捨てないよな?

だって唯一の父親だもんな? 」


「 私が生んであげたんだから、恩があるわよね~? 」


当然の事の様に自分の世界観を語る奴らに……私はフッと鼻で笑っていった。


「 とっとと死ね。

────クソ野郎共が。 」


言葉を失った父と母を見てまた楽しそうに笑った少年は、立ち尽くすしかできない両親を指差す。

すると両親の周りに、地獄の様な場所が書かれた絵画が沢山現れた。


「 さぁさぁ、俺を長~く楽しませてくれよ?

これから沢山、沢山時間がありそうだから、とりあえずフルコースでいっとくか。

死ぬまでに何周できるかな~♬ 」


「 や……やめてくれ……たっ、頼むから……。 」


「 お、お願い……今回だけは……。 」


ガクガク震えながら懇願する両親を見て……やはり少年は心の底から嬉しそうに笑い、指を振る。

すると両親は絶望の顔をして大声で叫んだ。


「 嫌だぁぁぁぁぁ────!!!俺は……俺はこんな事で終わるはずはぁぁぁぁっ!! 」


「 いやぁぁぁぁぁ!!!止めて!止めて!!!

心を入れ替えるから止めてよぉぉぉぉ────!!! 」


両親は、絵画から出できた黒い手に体を捕まれ絵の中へ。

悲痛な叫びを残して消えてしまった。


「 入れ替える心なんざ、もうないだろうに……。 」


ボソッと呟き憎き敵の最後を見届けてやると、一瞬で空中に浮かんでいた絵画達は消え、更に少年までも消えてしまい、慌ててキョロキョロと周囲を探す。

しかし少年のあの恐怖を与えてくる気配も消えさり、その場はまるで最初から誰もいなかった様になった。


「 アイツは……どこに……?? 」


「 ……ふぅ……。やはり行ってしまったか……。 」


ヘンドリクは何か知っているようだったので、私がモノ言いたげに見上げると、ヘンドリクは困った様に頭を掻く。


「 あやつは少し前から全国にフラッと現れては、ああして大量の人間を殺している殺人者だ。

勿論、重犯罪者として指名手配もされているが……まぁ、捕まえるのは不可能じゃろうな。

あれを本気で捕まえようとすれば、ヘタをすれば国の戦力がごっそり削られてしまうだろう。

そうなれば、チャンスと見たドロティア帝国に攻められてしまうからの~。 」


「 ……アイツは何者なんだ?

それにそんなに人を殺す目的は……? 」


ゴクリと喉を鳴らしながらそう尋ねたが、ヘンドリクは首を横に振った。

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜  ※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!  2026/3/9に発売です!書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!  ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...