【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,483 / 1,649
第四十七章

1467 考える暇もないほどに……

しおりを挟む
( イザベル )

当時の事を思い出し、体が震える。

そのしつこさは常軌を逸していて、何百通もくる恋文を目の前でバラバラに切り捨てようとも、暴言を吐こうとも、それこそ実力行使でぶっ飛ばしても、復活してやってくるのだ。


” 私は一生戦い続ける。 ”

” だから子供を作る気はない。 ”

” 侯爵家として、守る領地と領民のために子孫を残す義務があるだろう。

潔く諦めろ。 ”


結婚が可能になった年齢になってからは、勝手にヤツの脳内で結婚する事になっているため、キッパリと振ってやったというのに……。


────スッ……。

私は無言で視線を逸らして、完全に無視を決め込もうとしているというのに、シャルルは私の視線の先にヒョコ!と顔を出し、私がまた逸らしては、またヒョコッと顔を出し────……。


「 あ、勿論新居はもうできてますので! 」

「 指輪は最高級のモノを用意しました! 」

「 ドレスも100着は用意してあるので! 」


────と、理由のわからない事をひたすら喋る。


反応すると更にうるさいので、私がシラ~……と完全無視していると、シャルルは突然慈愛に満ちた目を向け、私の両手を握った。


「 イザベルさん、あなたは前に言いました。

自分は一生戦い続けると……。

ですので安心して下さい!

────子供は僕が生むので!! 」


そこでギブアップ。

全身に蕁麻疹が一瞬ででき、その元凶の頭を鷲掴んでモンスターの集団へと投げ飛ばした。


「 うわぁぁぁぁぁぁぁ────!!!! 」


シャルルは情けない悲鳴を上げながら、迫りくるモンスターに向かってバンバンとスキルを打つ。

なんだかんだでちゃんと対応している姿を見て、大丈夫だろうと判断し無視する事にしたが、フッとどうしてここに来たのかが心配になった。


「 シャルル、貴様腐っても侯爵家当主であろう。

これからモンスター被害は広範囲なモノになるはず……お前は自身の治めている領を優先しろ。 」


私の様に貴族と言っても名ばかり貴族とは違い、シャルルには大きな責任がある。

真っ先に考えなければならないのは自領の民の事だと思い、流石に苦言を申し上げたが……シャルルはパァァァ~!と目を輝かせた。


「 流石は未来の侯爵家夫人!自領の心配をしてくれて、僕は感動しました! 」


「 さっさと帰れ。邪魔だ。 」


シラっと無視して猫の子を払うように手を振ってやったが、シャルルはそれでも嬉しそうに笑う。

そしてドッドッドッド!と連続でスキルを空に向かって打つと、前線のモンスター達は全員シャルルが創り出した穴に吸い込まれてしまった。


「 問題ありません。

今戦いは、全国……いいえ、全世界に広がってますから。

コレット女王の指揮の元、全種族混合の戦闘員達が適正な場所へと次々と送られていますので、我が領も安心という事です。

まぁ、それがなくとも、我が領の守備隊は優秀ですので元から心配はしてませんけど。 」


「 なっ!!なんだと!!? 」


全種族混合の戦闘員。

つまり国を超えて、他種族までこの戦いに参戦を決めたという事らしい。


「 まるで夢物語ではないか。 」


流石に驚きそう呟くと、シャルルは後方から、また溢れて進んできたモンスター達の大集団へクロスボウを向けた。


「 僕もそう思いますが、こうして目の前にしてしまえば、疑うよりまずは行動!

変わり者代表のジェンスター家としては、ここは真っ先に動きたい所ですね~!

一番の原因であるグリモアを囲うエリアは、もっともモンスターが活発するエリアです。

よって、ここが我がジェンスター家の守るべき場所だと判断しました。

他のエリアにも我が家が誇る精鋭部隊が既に到着してますし、それに────……。 」


シャルルは、フッと私の後方の方へと視線を向けて不敵に笑う。

一体何だ?と後ろを振り向こうとしたその時……突然空に沢山の魔道路の入口が開いた。


「 ジェンス王国、守備隊到着!! 」

「 レイティア王国、守備魔法隊到着!! 」

「 ガンドレイド王国、守備隊到着!! 」


魔道路から沢山の他種族の戦闘員達が落ちてきては、直ぐに配置につき戦いを始めてしまい、私はポカン……と立ち尽くす。

そんな私の側に投げ飛ばしてやったはずのシャルルがスス~……と近づいてきた。


「 名だたる他国の守備隊が勢揃いですね!

これだけでも奇跡だというのに……一体どこまで、この奇跡は大きくなるんでしょう? 」


「 ……検討もつかんな。

正直命を捨てる覚悟すらしていたというのに……。  」


最後、どうしても無理ならモンスター共全員を道連れに……などと覚悟した決意は、遥か彼方へ。

それどころか自分の馬鹿な考えが愉快に思えてきて、フッと苦笑いをしてしまった。


「 簡単に命を捨てるなという事か……。

我が主リーフ様は。 」


恐らく本人はそんな事を私に教えようと思っていない。

しかし、本当に不思議な事にその時その時で、自分にとって必要だったと思う事に気付かされる気がする。

続けてリーフ様の側にいる黒いヤツも思い出し、過去の自分が遥か遠いモノの様に感じた。


「 ク……ククッ……クックッ……。 」


思わず笑ってしまうと、シャルルはキラキラと輝く様な笑顔でまた私の手を取る。


「 もういっそ、ここで愛を誓いましょう。

僕は愛の呪いを振りまく化け物、貴方は僕を呪い続けるお姫様……これほど適した誓いの場所はありませ────っ!!?って、ぎゃあああぁぁぁ!!! 」


ボキボキ────!!!


物理的な力でシャルルの手の骨を粉砕すると、そのまま後方に投げ飛ばし「 ハハハ────!!! 」と大声で高笑いをした。

そして笑いながら魔力を帯びた剣を思い切り地面に突き刺すと────既に発動していたスキル< リベンジ・パーリィー >が強化され、防壁の様に並んでいた巨大な盾達が白く輝き出す。



<守衛師の資質>(シークレット固有スキル)

< リベンジ・パーリィー・デスナイト >

相手からの攻撃を溜め込み、それを何倍にもして返す反射系防御スキル

耐久性は体力と防御力、信念、耐久値、努力値、忠誠心、正義、忠誠心、更に感情値が高い程強くなり、反射倍数は攻撃力とスピード、防御スキルを使った戦闘経験と勝利数、自身の持つ価値観の破壊回数によって決定する

現在の感情ゲージが高い程、自身のステータスが大UPする

(発現条件) 

スキル< リベンジ・パーリィー >を発現している事

一定以上の体力と防御力、信念、耐久値、努力値、忠誠心、正義、忠誠心、更に感情値が高い程強くなり、反射倍数は攻撃力とスピード、防御スキルを使った戦闘経験と勝利数、自身の持つ価値観の破壊経験値をもつ事



「 ここは私の終わりの場所ではない。

最後まで足掻いて生き抜く事。

それができなければ、また私の負けだった。

覚悟しろ、獣集団め! 」


私の出した盾に突っ込んできては、一瞬で爆発してしまうモンスター達を見て、援軍達は ” わぁぁぁぁぁ!! ” と歓声を上げては負けじと戦い続ける。


「 ────くっ!これでは僕のアピールが! 」


やはりいつの間にか復活したシャルルは、そのまま全力ダッシュで最前線へ。

他の戦闘員達に混じって活躍しては、私の方をチラチラと見てくるが……完全に無視してやった。


そして私は有象無象と湧いて出ては倒れていくモンスター達を見て、ニヤッと不敵に笑う。


「 我が主リーフ様の後に続き、ひたすら踊り続けてやる。

道連れなど考える暇もないほどにな! 」

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話

あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」 トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。 お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。 攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。 兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。 攻め:水瀬真広 受け:神崎彼方 ⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。 途中でモブおじが出てきます。 義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。 初投稿です。 初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

処理中です...