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第四十八章
1454 生き方の相性
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( カルパス )
しかし元々質素に暮らし、平民に混じり様々な行事に顔を出していた私にとって、こんなモノは何一つ苦はない。
そのためこの時点で私にとっての最大の罰は、家族やここまでついてきてくれた使用人達を巻き込んでしまった事だった。
決闘後に勾留されていた私が、やっと自宅へと帰宅が許された時、家に向かう足取りは重く、心の中は罪悪と謝罪の気持ちばかり。
” お前のせいで私達は散々だ! ”
” 大人しくしてくれれば、今までの様に暮らせたのに! ”
” 俺達まで巻き込んで!家族に迷惑を掛けるな!! ”
両親や兄達の怒り狂う声が頭の中をグルグルと回り、気持ちは更に重くなったが……その怒りを真っ向から受け止めるのは加害者の当然の義務。
とうとう家の前に辿り着いた私は、扉の取っ手に手を掛け……ゆっくりと開いていった。
するとそこには悲痛な面持ちでふさぎ込む両親と兄たちが────……いなくて、ニコニコと上機嫌で荷物を纏めている姿がある。
「 …………。 」
思わずポカーンとしながら立ち尽くしていると、両親と兄達は私に気づかずテキパキと作業を続けていた。
「 母さん、この椅子持ってく? 」
「 そうねぇ~……。あ、教会に寄付しましょう。
ほら、この間椅子が一つ壊れたじゃない? 」
「 私の本も全て寄付するよ。小学院に置いてもらえば、子どもたちが喜ぶだろう。 」
「 あ、父さん。手伝うよ。 」
和気あいあいとした様子からは、まったく悲壮感などはない。
そのまましばしの間、固まったまま皆の様子を見ていると、やっと私の存在に気づいた家族達が、パァ~!と嬉しそうな顔で駆け寄ってきた。
「 カルパス!お前、侯爵家の子息をぶっ飛ばしたんだってな!
凄いじゃないか!
だが、心配したんだぞ!
侯爵家の当主様から連絡が来て、父さんは本当にびっくりした。 」
「 そうよ~皆でカルパスは大丈夫なのかって心配したんだから!
無事だって聞いて崩れ落ちちゃったわ。 」
両親と兄たちは全員ウルウルと涙目になりながら、私の肩や背中を叩く。
その様子からも、私の事を本気で心配してくれていた事が分かった。
「 申し訳ありません……。 」
自分の正義を貫くために、大事な人たちを巻き込んでしまった事。
それが辛くて下を向いたまま顔を上げられない。
そうして、やっとの事で謝罪の言葉を口にしたというのに、帰ってきたのは大きな笑い声だった。
驚いて思わず顔を上げたのだが、そこにあったのは本当に嬉しそうな顔で……。
戸惑っている私の右肩と左肩を、兄達がパァン!と強く叩く。
「 本当にありがとう!カルパス!
俺は、これでやっとお付き合いしていた平民の彼女と結婚できるよ。 」
「 俺もだ!ずっと付き合っていた平民の彼女と一緒になれる。
平民と貴族じゃあ結婚できない法律があるからな……いつかは別れないといけないって彼女と二人諦める事を選んだっていうのに。 」
「 …………は、はぁ……。 」
どうやら兄たち二人には、内密にお付き合いをしていた女性がいたらしいが、平民相手ならいつかは諦めないといけない愛だったのだろう。
貴族ならいつか同じ身分の女性と結婚し、子孫を残す事が義務だからだ。
真面目な兄達は、恐らくそれを放棄する事はできないだろうと思う。
兄たちはグスンと鼻をすすりながら、目尻に浮かんだ涙を拭き取り、クシャ!と顔を歪めた。
「 だからさ、お互いもう会うのをやめようってちょうど決めた所だったんだ。
人によっては愛人として一緒にいる選択をする人もいるだろうけどさ……俺にはそれはできないよ。
彼女も、正妻になってくれる女性や子供も……悲しい気持ちにしたくない。」
「 俺も同じだよ。
だからカルパスのお陰で、これからは愛する人と堂々と一緒にいられる。 」
二人はそのままワンワンと泣きだしてしまったので、私の目は点に……。
更にそんな私に追い打ちを掛ける様に、周りで荷物をえっほえっほと運んでいる使用人達まで、「 これでやっと誘われていた娘夫婦の元に行けます~。 」だの「 私も他の街に住んでる彼の元にやっと行く決心がつきました。 」だのと、それぞれの今後について語る。
言葉もない私に、父と母は使用人たちに今までの礼を伝え、穏やかに微笑んだ。
「 私は、生まれてこの方貴族というモノの生き方が辛くて辛くて仕方なかった。
貴族としての生き方が悪いというわけではない。
ただ絶望的に自分の気質と合わなかったんだ。
毎日毎日逃げ出したいと願っていたが……責任と義務を放棄する事もできなかった。 」
「 私も一緒よ。
とても優しい夫と子供たちができたのは幸せだったけど……やっぱりどうしても合わないの。貴族の生き方が。
人の上に立つ器もないし、戦う事も辛くて辛くて……。 」
父と母は今までの人生を思い出しているのか、渋い顔をしながらハァ……と大きなため息をつく。
しかし、その直後二人はニコ~ッ!と眩しい程の笑顔を見せた。
しかし元々質素に暮らし、平民に混じり様々な行事に顔を出していた私にとって、こんなモノは何一つ苦はない。
そのためこの時点で私にとっての最大の罰は、家族やここまでついてきてくれた使用人達を巻き込んでしまった事だった。
決闘後に勾留されていた私が、やっと自宅へと帰宅が許された時、家に向かう足取りは重く、心の中は罪悪と謝罪の気持ちばかり。
” お前のせいで私達は散々だ! ”
” 大人しくしてくれれば、今までの様に暮らせたのに! ”
” 俺達まで巻き込んで!家族に迷惑を掛けるな!! ”
両親や兄達の怒り狂う声が頭の中をグルグルと回り、気持ちは更に重くなったが……その怒りを真っ向から受け止めるのは加害者の当然の義務。
とうとう家の前に辿り着いた私は、扉の取っ手に手を掛け……ゆっくりと開いていった。
するとそこには悲痛な面持ちでふさぎ込む両親と兄たちが────……いなくて、ニコニコと上機嫌で荷物を纏めている姿がある。
「 …………。 」
思わずポカーンとしながら立ち尽くしていると、両親と兄達は私に気づかずテキパキと作業を続けていた。
「 母さん、この椅子持ってく? 」
「 そうねぇ~……。あ、教会に寄付しましょう。
ほら、この間椅子が一つ壊れたじゃない? 」
「 私の本も全て寄付するよ。小学院に置いてもらえば、子どもたちが喜ぶだろう。 」
「 あ、父さん。手伝うよ。 」
和気あいあいとした様子からは、まったく悲壮感などはない。
そのまましばしの間、固まったまま皆の様子を見ていると、やっと私の存在に気づいた家族達が、パァ~!と嬉しそうな顔で駆け寄ってきた。
「 カルパス!お前、侯爵家の子息をぶっ飛ばしたんだってな!
凄いじゃないか!
だが、心配したんだぞ!
侯爵家の当主様から連絡が来て、父さんは本当にびっくりした。 」
「 そうよ~皆でカルパスは大丈夫なのかって心配したんだから!
無事だって聞いて崩れ落ちちゃったわ。 」
両親と兄たちは全員ウルウルと涙目になりながら、私の肩や背中を叩く。
その様子からも、私の事を本気で心配してくれていた事が分かった。
「 申し訳ありません……。 」
自分の正義を貫くために、大事な人たちを巻き込んでしまった事。
それが辛くて下を向いたまま顔を上げられない。
そうして、やっとの事で謝罪の言葉を口にしたというのに、帰ってきたのは大きな笑い声だった。
驚いて思わず顔を上げたのだが、そこにあったのは本当に嬉しそうな顔で……。
戸惑っている私の右肩と左肩を、兄達がパァン!と強く叩く。
「 本当にありがとう!カルパス!
俺は、これでやっとお付き合いしていた平民の彼女と結婚できるよ。 」
「 俺もだ!ずっと付き合っていた平民の彼女と一緒になれる。
平民と貴族じゃあ結婚できない法律があるからな……いつかは別れないといけないって彼女と二人諦める事を選んだっていうのに。 」
「 …………は、はぁ……。 」
どうやら兄たち二人には、内密にお付き合いをしていた女性がいたらしいが、平民相手ならいつかは諦めないといけない愛だったのだろう。
貴族ならいつか同じ身分の女性と結婚し、子孫を残す事が義務だからだ。
真面目な兄達は、恐らくそれを放棄する事はできないだろうと思う。
兄たちはグスンと鼻をすすりながら、目尻に浮かんだ涙を拭き取り、クシャ!と顔を歪めた。
「 だからさ、お互いもう会うのをやめようってちょうど決めた所だったんだ。
人によっては愛人として一緒にいる選択をする人もいるだろうけどさ……俺にはそれはできないよ。
彼女も、正妻になってくれる女性や子供も……悲しい気持ちにしたくない。」
「 俺も同じだよ。
だからカルパスのお陰で、これからは愛する人と堂々と一緒にいられる。 」
二人はそのままワンワンと泣きだしてしまったので、私の目は点に……。
更にそんな私に追い打ちを掛ける様に、周りで荷物をえっほえっほと運んでいる使用人達まで、「 これでやっと誘われていた娘夫婦の元に行けます~。 」だの「 私も他の街に住んでる彼の元にやっと行く決心がつきました。 」だのと、それぞれの今後について語る。
言葉もない私に、父と母は使用人たちに今までの礼を伝え、穏やかに微笑んだ。
「 私は、生まれてこの方貴族というモノの生き方が辛くて辛くて仕方なかった。
貴族としての生き方が悪いというわけではない。
ただ絶望的に自分の気質と合わなかったんだ。
毎日毎日逃げ出したいと願っていたが……責任と義務を放棄する事もできなかった。 」
「 私も一緒よ。
とても優しい夫と子供たちができたのは幸せだったけど……やっぱりどうしても合わないの。貴族の生き方が。
人の上に立つ器もないし、戦う事も辛くて辛くて……。 」
父と母は今までの人生を思い出しているのか、渋い顔をしながらハァ……と大きなため息をつく。
しかし、その直後二人はニコ~ッ!と眩しい程の笑顔を見せた。
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