【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十八章

1456 後悔はない

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( カルパス )

四人の温かい視線を受け、やっと私はその上に手を乗せる事ができて、全員が一斉にその手を空へ上げた。

そして全員ボロボロと泣きながら、別々の道を歩きだす。


お互い連絡先は知らないから本当にこれで最後。

もしも連絡を取り合っている事を嗅ぎつけられて、幸せにやっているとバレたら、お互いが弱点になるかもしれないからだ。

特に私に関しては、” 全てを奪ったカルパスを家族は憎んでいる ” と思わせておいた方が良い。

だから振り返る事なくまっすぐ前だけを見て────……自分の正義に従って ” 悪 ” と戦う人生を選んだ。

そんな手にした自由には常に孤独がつきまとったが、それでも同じ正義を持つ者達との出会いを経て、私は今も前へ前へと進み続けている。


それに後悔はない。

きっとこれからも……。




目の前に突然飛び出してきたオーガ。

その巨木の様な手を軽く受け止め自分の方に引き寄せた。


《 ────……ガっ!!!?? 》


そして近づいてきた頭を自分の膝に打ち付けてやれば、オーガは大きく仰け反ったので、そのまま右ストレートを叩き込む。

すると、そのまま勢いよく吹き飛んだオーガの体は、後方にいたクレイジー・アント達共々派手に飛び散り飛散した。


「 さっすが~♬ 」


血のついた拳をハンカチで綺麗に拭き取ると、近くからピュ~♬という下品な口笛の音と共に話しかけてくる男がいる。

両手には料理人が使う包丁が握られ、茶色い中折れ帽がトレードマークの男、ムーシェだ。

ムーシェは空を飛ぶ鳥型モンスターを、一瞬で唐揚げにした後、それをムシャムシャ食べながら近づいてきた。


「 相変わらず容赦ないっすね~!

目の前には未知の食材達に、強くてお美しいカルパス様までいらっしゃるとは~……料理人命運に尽きるってもんっすわ~。

────あ、ちょっと景気づけに一発ケツを叩いてくれません? 」


ふざけた事を言って、臀部をクイッと見せてくるムーシェ。

勿論そんなふざけた要求を聞くつもりはないので完全に無視してやったが、それに対してもニコニコしながら「 あざ~っす!! 」とお礼を言ってくる。

相変わらず意味が分からない男だ……。

頭がいたくなり、フゥ~……とため息をつくと、ムーシェの娘であるキュイさんとベリーさんも同じ様にため息をついた。


「 お父さん……。 」

「 相変わらずなんだね……。 」


流石に娘に呆れられた事はショックだったのか、ムーシェはガガーン!とショックを受けた様子でモンスターを張り切って倒し始めたが、多分反省などしてはいない。


このムーシェは未知の料理の探求のために、自ら食材を取りに行くことを選んだ変わり者で、以前から全国あちらこちらとフラフラしていた男であった。

そのため必然的に食材の情報を求めて諜報ギルドを頻繁に利用しており、私がムーシェと出会ったのもその頃だ。


” 未知のモンスター情報を教えてくれ。

それとケツを叩いて下さい、女王様。 ”


初めて会って言われた言葉はこれで、容赦なくボコボコにしてやったが、それが悪かった。

それから顔を合わせる度にコレだ。


どうも本人いわく男でも女でもとにかく強いイメージを持つ者が好みらしく、それは奥様になった当時Sランク傭兵であった女性に対し、迫っては殴られ、迫っては殴られても諦めなかった事から筋金入りなのだと思う。

そして何故かその枠に私も入っているらしいのだ。

ハァ……。

頭が痛くなる存在に、もう一度大きなため息をつくと、目の前に巨大な< 暴食ベアー >が飛び出してきたので、拳を向けたその時────……。


────にゅにゅっ!!


突然丸太の様な太い腕が、暴食ベアーの背後から現れ、その身を羽交い締めにすると
、そのままギチギチ~ッ!!と凄まじい力で締め付けた。


「 カルパスちゃぁぁぁ~ん!本当に久しぶりぃぃ~ん!

相変わらずクールでいい男♡ 」


ボキボキ!!!ゴキンッ!!ボキ!ボキ────!!!


言葉もなく全身の骨を折られて絶命したモンスター。

それを目撃したモルト君とニール君がブルブルと激しく震えている。


「 ……お久しぶりです、カルロス支部長。

相変わらずの凄まじい力ですね。 」


「 やだ~ん♡乙女にそんな無粋なこと言わないで~ん! 」


カルロスさんは、顎に手を当て、ウルウルした目を向けてきたので、笑みを浮かべたままス~……と目を逸らした。


グリモア支部長を務めている元Sランク傭兵カルロス。

元の2つ名は< 扼殺王 >

その圧倒的なパワーは、歴代No.1だとも言われている程のモノで、クセの強い傭兵達を見事に纏め上げてきた。

その実力は認めざるを得ないが……いかんせん本人の癖も相当強い。

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