1,499 / 1,649
第四十八章
1456 後悔はない
しおりを挟む
( カルパス )
四人の温かい視線を受け、やっと私はその上に手を乗せる事ができて、全員が一斉にその手を空へ上げた。
そして全員ボロボロと泣きながら、別々の道を歩きだす。
お互い連絡先は知らないから本当にこれで最後。
もしも連絡を取り合っている事を嗅ぎつけられて、幸せにやっているとバレたら、お互いが弱点になるかもしれないからだ。
特に私に関しては、” 全てを奪ったカルパスを家族は憎んでいる ” と思わせておいた方が良い。
だから振り返る事なくまっすぐ前だけを見て────……自分の正義に従って ” 悪 ” と戦う人生を選んだ。
そんな手にした自由には常に孤独がつきまとったが、それでも同じ正義を持つ者達との出会いを経て、私は今も前へ前へと進み続けている。
それに後悔はない。
きっとこれからも……。
目の前に突然飛び出してきたオーガ。
その巨木の様な手を軽く受け止め自分の方に引き寄せた。
《 ────……ガっ!!!?? 》
そして近づいてきた頭を自分の膝に打ち付けてやれば、オーガは大きく仰け反ったので、そのまま右ストレートを叩き込む。
すると、そのまま勢いよく吹き飛んだオーガの体は、後方にいたクレイジー・アント達共々派手に飛び散り飛散した。
「 さっすが~♬ 」
血のついた拳をハンカチで綺麗に拭き取ると、近くからピュ~♬という下品な口笛の音と共に話しかけてくる男がいる。
両手には料理人が使う包丁が握られ、茶色い中折れ帽がトレードマークの男、ムーシェだ。
ムーシェは空を飛ぶ鳥型モンスターを、一瞬で唐揚げにした後、それをムシャムシャ食べながら近づいてきた。
「 相変わらず容赦ないっすね~!
目の前には未知の食材達に、強くてお美しいカルパス様までいらっしゃるとは~……料理人命運に尽きるってもんっすわ~。
────あ、ちょっと景気づけに一発ケツを叩いてくれません? 」
ふざけた事を言って、臀部をクイッと見せてくるムーシェ。
勿論そんなふざけた要求を聞くつもりはないので完全に無視してやったが、それに対してもニコニコしながら「 あざ~っす!! 」とお礼を言ってくる。
相変わらず意味が分からない男だ……。
頭がいたくなり、フゥ~……とため息をつくと、ムーシェの娘であるキュイさんとベリーさんも同じ様にため息をついた。
「 お父さん……。 」
「 相変わらずなんだね……。 」
流石に娘に呆れられた事はショックだったのか、ムーシェはガガーン!とショックを受けた様子でモンスターを張り切って倒し始めたが、多分反省などしてはいない。
このムーシェは未知の料理の探求のために、自ら食材を取りに行くことを選んだ変わり者で、以前から全国あちらこちらとフラフラしていた男であった。
そのため必然的に食材の情報を求めて諜報ギルドを頻繁に利用しており、私がムーシェと出会ったのもその頃だ。
” 未知のモンスター情報を教えてくれ。
それとケツを叩いて下さい、女王様。 ”
初めて会って言われた言葉はこれで、容赦なくボコボコにしてやったが、それが悪かった。
それから顔を合わせる度にコレだ。
どうも本人いわく男でも女でもとにかく強いイメージを持つ者が好みらしく、それは奥様になった当時Sランク傭兵であった女性に対し、迫っては殴られ、迫っては殴られても諦めなかった事から筋金入りなのだと思う。
そして何故かその枠に私も入っているらしいのだ。
ハァ……。
頭が痛くなる存在に、もう一度大きなため息をつくと、目の前に巨大な< 暴食ベアー >が飛び出してきたので、拳を向けたその時────……。
────にゅにゅっ!!
突然丸太の様な太い腕が、暴食ベアーの背後から現れ、その身を羽交い締めにすると
、そのままギチギチ~ッ!!と凄まじい力で締め付けた。
「 カルパスちゃぁぁぁ~ん!本当に久しぶりぃぃ~ん!
相変わらずクールでいい男♡ 」
ボキボキ!!!ゴキンッ!!ボキ!ボキ────!!!
言葉もなく全身の骨を折られて絶命したモンスター。
それを目撃したモルト君とニール君がブルブルと激しく震えている。
「 ……お久しぶりです、カルロス支部長。
相変わらずの凄まじい力ですね。 」
「 やだ~ん♡乙女にそんな無粋なこと言わないで~ん! 」
カルロスさんは、顎に手を当て、ウルウルした目を向けてきたので、笑みを浮かべたままス~……と目を逸らした。
グリモア支部長を務めている元Sランク傭兵カルロス。
元の2つ名は< 扼殺王 >
その圧倒的なパワーは、歴代No.1だとも言われている程のモノで、クセの強い傭兵達を見事に纏め上げてきた。
その実力は認めざるを得ないが……いかんせん本人の癖も相当強い。
四人の温かい視線を受け、やっと私はその上に手を乗せる事ができて、全員が一斉にその手を空へ上げた。
そして全員ボロボロと泣きながら、別々の道を歩きだす。
お互い連絡先は知らないから本当にこれで最後。
もしも連絡を取り合っている事を嗅ぎつけられて、幸せにやっているとバレたら、お互いが弱点になるかもしれないからだ。
特に私に関しては、” 全てを奪ったカルパスを家族は憎んでいる ” と思わせておいた方が良い。
だから振り返る事なくまっすぐ前だけを見て────……自分の正義に従って ” 悪 ” と戦う人生を選んだ。
そんな手にした自由には常に孤独がつきまとったが、それでも同じ正義を持つ者達との出会いを経て、私は今も前へ前へと進み続けている。
それに後悔はない。
きっとこれからも……。
目の前に突然飛び出してきたオーガ。
その巨木の様な手を軽く受け止め自分の方に引き寄せた。
《 ────……ガっ!!!?? 》
そして近づいてきた頭を自分の膝に打ち付けてやれば、オーガは大きく仰け反ったので、そのまま右ストレートを叩き込む。
すると、そのまま勢いよく吹き飛んだオーガの体は、後方にいたクレイジー・アント達共々派手に飛び散り飛散した。
「 さっすが~♬ 」
血のついた拳をハンカチで綺麗に拭き取ると、近くからピュ~♬という下品な口笛の音と共に話しかけてくる男がいる。
両手には料理人が使う包丁が握られ、茶色い中折れ帽がトレードマークの男、ムーシェだ。
ムーシェは空を飛ぶ鳥型モンスターを、一瞬で唐揚げにした後、それをムシャムシャ食べながら近づいてきた。
「 相変わらず容赦ないっすね~!
目の前には未知の食材達に、強くてお美しいカルパス様までいらっしゃるとは~……料理人命運に尽きるってもんっすわ~。
────あ、ちょっと景気づけに一発ケツを叩いてくれません? 」
ふざけた事を言って、臀部をクイッと見せてくるムーシェ。
勿論そんなふざけた要求を聞くつもりはないので完全に無視してやったが、それに対してもニコニコしながら「 あざ~っす!! 」とお礼を言ってくる。
相変わらず意味が分からない男だ……。
頭がいたくなり、フゥ~……とため息をつくと、ムーシェの娘であるキュイさんとベリーさんも同じ様にため息をついた。
「 お父さん……。 」
「 相変わらずなんだね……。 」
流石に娘に呆れられた事はショックだったのか、ムーシェはガガーン!とショックを受けた様子でモンスターを張り切って倒し始めたが、多分反省などしてはいない。
このムーシェは未知の料理の探求のために、自ら食材を取りに行くことを選んだ変わり者で、以前から全国あちらこちらとフラフラしていた男であった。
そのため必然的に食材の情報を求めて諜報ギルドを頻繁に利用しており、私がムーシェと出会ったのもその頃だ。
” 未知のモンスター情報を教えてくれ。
それとケツを叩いて下さい、女王様。 ”
初めて会って言われた言葉はこれで、容赦なくボコボコにしてやったが、それが悪かった。
それから顔を合わせる度にコレだ。
どうも本人いわく男でも女でもとにかく強いイメージを持つ者が好みらしく、それは奥様になった当時Sランク傭兵であった女性に対し、迫っては殴られ、迫っては殴られても諦めなかった事から筋金入りなのだと思う。
そして何故かその枠に私も入っているらしいのだ。
ハァ……。
頭が痛くなる存在に、もう一度大きなため息をつくと、目の前に巨大な< 暴食ベアー >が飛び出してきたので、拳を向けたその時────……。
────にゅにゅっ!!
突然丸太の様な太い腕が、暴食ベアーの背後から現れ、その身を羽交い締めにすると
、そのままギチギチ~ッ!!と凄まじい力で締め付けた。
「 カルパスちゃぁぁぁ~ん!本当に久しぶりぃぃ~ん!
相変わらずクールでいい男♡ 」
ボキボキ!!!ゴキンッ!!ボキ!ボキ────!!!
言葉もなく全身の骨を折られて絶命したモンスター。
それを目撃したモルト君とニール君がブルブルと激しく震えている。
「 ……お久しぶりです、カルロス支部長。
相変わらずの凄まじい力ですね。 」
「 やだ~ん♡乙女にそんな無粋なこと言わないで~ん! 」
カルロスさんは、顎に手を当て、ウルウルした目を向けてきたので、笑みを浮かべたままス~……と目を逸らした。
グリモア支部長を務めている元Sランク傭兵カルロス。
元の2つ名は< 扼殺王 >
その圧倒的なパワーは、歴代No.1だとも言われている程のモノで、クセの強い傭兵達を見事に纏め上げてきた。
その実力は認めざるを得ないが……いかんせん本人の癖も相当強い。
166
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!
2026/3/9に発売です!書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!
ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
サブCPに人外CPはありますが、主人公は人外CPにはなりません。
(この世界での獣人は人間の種類の一つですので人外ではないです。)
ストックなくなるまでは07:10に公開
他サイトにも掲載してます
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる