【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十八章

1469 セリナの人生

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( セリナ )

「 攻撃を一旦中止!

全員、クレア様の盾の後ろへ避難しろぉぉぉ!! 」


「「「「 了解っ!!! 」」」」


目の前の赤い巨人が大きく口を開いたのを見計らい、直ぐに指示を出すと、速やかに全員が盾の後ろへと下がる。


────ドンッ!!!


馬鹿みたいな火力のレーザー砲は、そのまま盾の犠牲者達によって無効化され、それを見届けた瞬間、クルト、レイド、サイモンが同時に飛び出し攻撃を開始し、更に他の前衛班も飛び出した。

勿論私も。

少しづつではあるがダメージは通っている。

このチャンスを逃すものかと攻撃を続け、また口からビーム砲を撃とうとしたタイミングを見て────私は巨人たちに近づき、その体に触れた。



<言語調律師の資質>(ユニーク固有スキル)

< 文字令 >

物体に文字をつけて、その物質自体の性質を変える、変化型想像スキル

自身の知力と言語理解能力により、扱える文字数が決まり、魔力、魔力操作、根性、努力値によって変化能力の強さが決まる

(発現条件) 

一定以上の知力と言語理解能力、魔力、魔力操作、根性、努力値魔力、魔力操作、言語理解能力があること

一定量以上の文字を読み、理解する事

一定以上の文字達へのリスペクト値がある事




巨人たちの体に『 口 』『 閉 』『 硬 』の三文字を縫い付けてやれば、巨人たちの口は閉じたまま開くことができなくなる。


すると────……。


────ドンッ!!!!


凄まじい爆発音が巨人の口の中から聞こえ、大きく穴が開いた目からモクモクと黒い煙が立ち上っていった。

どうやら口の中でビーム砲は放たれ、そのまま爆発したようだ。


「 ────やったか? 」


期待を込めて巨人達を見つめたが────突然ブブブ……!と巨人たちの姿がブレ始めた。


「 ……っ!?また!? 」

「 ルーン先生のスキルで巨人たちに掛けられた幻影スキルは解除されたんじゃねぇのかよ! 」


サイモンとレイドがギョッ!としながら、すかさず巨人たちに攻撃を仕掛けるが……スカッ!とその体は通り抜け、攻撃自体が当たらなくなってしまう。


一体どういう事だと首を傾げた瞬間、解析に成功した解析班から声が上がった。


「 赤い巨人の位置特定不可能!
                 
どうやら今度は巨人達にではなく────敵の幻影魔法スキルが掛けられたようです!

詳細は不明のため解除ができません!! 」


「 なんだと……! 」



( 先天スキル )

< 夢心地獄 >

敵の五感全てを惑わす幻影系攻撃スキル

敵の感覚系は全て破壊され、術者の都合のよい現実しか見ることができなくなる



                
先程の様に味方にではなく、今度は敵である私達に掛けられた幻影スキルの様なモノ。

生徒達は自分の頬を抓ったりお互い殴り合ったりで幻影を晴らそうとしたが……勿論それくらいで解除できるはずはない。


「 全く……嫌になるな。

人の心を惑わそうとするクズは、モンスターにもいるのか……。 」


忌々しさに舌打ちをしながらそう呟くと……私の脳裏には今までの人生が走馬灯の様に過っていった。



◇◇◇◇

私、セリナは幼き頃にモンスター襲撃によって父を失くし、それ以来母と共に生きてきた。

母は亡くなった父と一緒に珍しい言語学者をしていて、とても働き者であったため生活には困らない────はずだったが、そうはいかず。

母の妹、つまり私の叔母がどうしようもない女であったため、困難な生活を強いられ続けた。


” ごめんね……。持病のせいで働けないの……。

お金、今月もお願いね。 ”


” 本当にごめんね……ねぇさんだって大変なのに……。

でも……唯一の家族であるねぇさんにしか頼めないの……。 ”


申し訳無さそうにペコペコしながら毎日の様にお金をせびりに来る叔母さん。

でも本当は持病なんてなかったし、働きたくないから人の良い母に集りに来ていただけ。

そんなクズな女でも、母は自分の唯一の肉親だと見捨てることはできずに、私に回すお金以外は殆ど叔母に渡していた様だ。

それが分かったのは、母が倒れてから。

病の根本的な原因は、過労と栄養不足だと聞いて、私は絶句してしまう。


しかし、それでも母は叔母を信じていたが……結局あんなに世話を掛けた母にビタ一文金は出さず、更に忙しいからと一度も会いにもこないまま────母は最後を迎えたのだった。


私は母にできうる限りの治療を受けさせたかったため借金も背負ったが……最後は私に謝りながらも安らかに眠った母に後悔はない。

このまま準成人を迎えるまでは孤児院で過ごし、その後は少しづつ借金を返していこう。

そう決めた矢先、突然叔母がしゃしゃり出てきたのだ。


” 大事な姉の忘れ形見ですので、私が引き取って育てます! ”


涙ながらに訴えたその言葉を全員が信じ、私は叔母に引き取られる事になるが……当然叔母にそんなつもりなどなかった。

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