【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十八章

1471 誰が助ける?

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( セリナ )

親を亡くし、唯一の人間に陥れられ奴隷にされた自分。

私は何も悪くないじゃないか!!


激情のまま、私の目からはボロボロと涙が溢れた。


「 じゃあ、私はどうすれば良かったのっ!!! 」


私は叔母の言う通り、大好きな文字を捨てニコニコ男に媚びる笑顔の練習でもしていれば良かったのか?

心の底から怒りと悲しみが湧き、怒鳴る様に叫んだ。

すると男はニヤッと笑った後「 俺に聞くなよ、負け犬奴隷。 」と言い捨てる。


悔しい……!

悔しい……!!

悔しくて悔しくて堪らない!!


自分の今の境遇が悔しくて辛くて、八つ当たりであると頭の中では理解しつつも、男を睨みつけた。

すると、男は「 お~こわっ。 」と誂う様に言うと、何故か馬を止める。


奴隷ごときが逆らったから、本格的に男が怒ったのだろうか?


ヒヤッと恐怖が背中を走ったが、男は全く予想と違う事を言い始めた。


「 自分の大事な人生を人に聞くなよ。

その時点で、てめぇの人生は自分のモンじゃなくなるぞ。

あのな、人生ってのは、常に戦いなんだよ。

自分が助けようとしない ” 自分 ” を……一体誰が助けんだ?

お前が今しようとしているのは、自分を陥れた奴の言う通りに ” 自分 ” を差し出すって事だろうが。

辛いのに負けて ” 自分 ” を差し出す負け犬野郎、それがお前だ。 」


「 ────っ!!!! 」


男の言葉はガンッ!と自分を殴りつけ、大きな衝撃を受けた。

そして次に浮かんできたのは、叔母が最後に残した書き置きの言葉だ。


『 ほら、全部無駄だったでしょ?私の圧倒的勝利!

無駄な努力お疲れ様でした。

永遠にさようなら。 』


私の努力は……人生は……無駄なんかじゃない!!


父と母との幸せな記憶……。

文字達に囲まれ、沢山の事を話し合い、楽しさを共有した沢山の思い出達。


それを無駄なんて言うな!!


私はバッ!と荷台車から飛び出し、そのまま地面に頭を勢いよくつけて土下座をした。

このまま人生を諦めてしまえば、私の幸せの思い出も努力も無駄なモノへと変わる。

そんな事は絶対に嫌だった。


「 どうか……どうか私を傭兵ギルドへ売って下さい!! 」


大声で叫ぶ私を男は黙って静かに見ている。

駄目か……と思い、唇を噛み締めたが、私は頭を上げずに何度も同じ事を叫んだ。


傭兵ギルドに売られれば、サポート傭兵になれる。

そうすれば、自分の努力次第で借金を返す事が可能である事を私は知っていたのだ。

叔母が憎んで無駄だといっていた知識によって……。


必死に頼み込む私を見て男はプッと吹き出すと、そのままゲラゲラと笑い、頭を上げない私を掴み上げて荷台へ放りなげる。

びっくりした顔をしている私に「 しっかり捕まってろ! 」とだけ言うと、馬にムチを入れた。

「 ヒヒィ~ン!! 」

馬は鳴き声を上げそのまま全速力で駆け出す。


「 ……わっ!!……う……ぅ~……!! 」


私は振り落とされない様に必死に荷台にしがみつき、景色を見る暇もなかったが……なんだか周りがキラキラと輝いて見える様な気がした。



「 ほら、着いたからとっとと降りろ。 」


やっと止まった荷台の中で固まる私を気遣う事もなく、首根っこを掴んでつまみ上げ、そのままポイッ!と外に放りだされる。


「 ……いっ……っ……! 」


痛む体を必死に動かし顔を上げれば、傭兵ギルドと大きく書かれた建物が目の前にあった。

ポカ~ンとする私を通り抜け、男がドンドンッ!!と大きな音を立てて扉をノックすると……見上げる様な巨体を持つ男が姿を現す。


「 ハイハ~イ♡……あらん?

もしかして奴隷のセールスかしら? 」


多分傭兵ギルドのお偉いさんかもしれない。

しかし、男の人のはずなのに随分と乙女な言い方にギョッとして固まってしまったが、借金取りの男の方は全く動揺せずに両手を揉み込んだ。


「 へいっ!今日はイチオシの商品を持ってまいりました~。

奴隷にまだなりたての、歳は十二歳の女奴隷ですよ!

細っこい身なりをしてやがりますが~こう見えて根性あり!

いいサポート傭兵になる事を俺が保証しましょう! 」


ペラペラと口から飛び出すセールストーク。

多分それを全て信じたわけではないだろうが、大男は私を見下ろし大きく頷いた。


「 そうねぇ~ちょうどサポート傭兵の数が足りなくて困っていた所だったのよ。

それにこの子とてもいい目をしているから、頑張って働いてくれそう♡

じゃあ、買うわ! 」


「 毎度あり~! 」


借金取りの男は上機嫌で私の奴隷陣を書き換えると、そのまま用は済んだとばかりに荷台へ戻る。

そしてそのまま走り出そうとしていたので、私は慌ててその場に土下座をして、男の背中に向って大声で叫んだ。


「 ありがとうございました────っ!!!!! 」


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