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第四十八章
1472 懐かしい人との再会
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( セリナ )
それからの日々は、控えめに言っても地獄の日々。
座学を好む私に戦闘は無理だと思われたが……私は文字の力を信じて試行錯誤する。
ここで歯を食いしばって頑張らなければ、全てが無駄になってしまう。
それは両親との幸せの日々努力も無駄なモノにしてしまいそうで、絶対に嫌だった。
文字は……知識は……無駄なモノなんかじゃない。
両親が誇りに思っていたモノ。
叔母が馬鹿にして無駄だと思っていたモノ。
私はそれを両親と同じく誇りだと思っていたから頑張れた。
目を閉じれば両親に沢山の事を教えてもらった優しい記憶。
それに必死に手を伸ばし、武器にする。
そうして気がつけば私は、【 断罪の赤文字使い 】と呼ばれるまで、のし上がっていた。
勿論借金はとっくの昔に返し終わり、私は私の人生を無駄なものではないと見事に証明する事ができたのだった。
あの借金取りの男のお陰で……。
すると、今度はこれからどうしようかと考え始める。
自分の人生は取り戻した。
なら次は────私は何をする?
くすぶる想いを抱えながら、サポート傭兵として過ごしていると……突然所属していた傭兵ギルドにあの時の借金取りの男がやってきた。
直ぐにあの時のお礼を改めて言いたい!……と駆け寄ろうとしたが、一人でない事に気づいて足を止める。
薄汚れた格好、ボサボサの髪……。
頬は痩せていて、肌はボロボロなのに、目だけはギンギンと攻撃的に周囲を見ている四十代~五十代くらいの女。
よく見れば、その女には見覚えがあった。
「 ……叔母さん? 」
「 ────えっ……!? 」
目を丸くして驚く顔には当時の面影が色濃く残っていて、その人を見る目がどんな類のモノなのか……それは、獲物を探している目だったのかと大きくなった今は分かってしまった。
随分と落ちぶれたらしい叔母を前に、私は大きなため息をつく。
あぁ、この人は変わらなかったんだな……。
軽蔑の目を向けているというのに、叔母の目はキラキラと輝き出した。
” 上手く利用できるモノを見つけた! ”
そう語る様に……。
借金取りの男は前の私の時と同じ様に、傭兵ギルド長をま務めている巨体な男……カルロスに向かい、叔母を売り込み始めた。
「 こいつは小さな借金を繰り返しては派手に遊んで、寄ってくる男達に上手く払わしていたらしいんですよ~。
だが、とうとう払ってくれる男はいなくなっちまって地獄行き。
借金奴隷になったってわけです。
はい、どうっすかね~? 」
随分とぞんざいな売り方をする借金取りの男だったが、カルロスは気を悪くする素振りはない様だ。
しかし、叔母を見る目は冷たく、しっし!と手を振ってあからさまに邪険にする。
「 いらないわよ、こ~んな役に立たなさそうなおばさん。
買うだけ無駄無駄!無料だっていらないわ~。
どんな人生生きてきたかなんて、その人の目を見れば一目で分かるからねん。
ノ~センキュー~! 」
「 …………っ!!! 」
叔母はカルロスの言い方にカァ~!!と怒りに顔を染めた。
叔母は私に多額の借金を残して去っていってからも、小さな借金をしながら生活していたらしい。
そしてそれを寄ってくる男に払わしていたのだが……結局外見の劣化と共に、その方法は使えなくなっていったという所だろう。
愛想笑いも媚びることも……所詮は永続的に使える無敵の武器にはならなかったと言う事だ。
「 …………。 」
見事な転落人生に、呆れてもう一度ため息をついた。
もしかしたら叔母は私に借金を押し付け復讐を遂げた後、普通に生きていこうと思った時期もあったかもしれない。
しかし────結局生き方は変えられなかったのだろう。
今まで散々誰かに ” 苦 ” を押し付けてきた人生は、もう誰がいないと生きていけない体に……更に私に借金を押し付ける前にしていた贅沢な暮らしがそれにトドメをさした。
一度味わった贅沢は人の身を滅ぼす。
そして人を陥れる事で ” 得 ” を得てきた叔母を助けてくれる者なんていない。
哀れな末路だな……。
もうその姿を見ても怒りもわかずにボンヤリとその姿を眺めていると……なんと叔母が突然私に向かって土下座をしたのだ。
そしてボロボロと涙を流し、同情を誘う様な目を私に向ける。
「 あの時は本当に……本当にごめんなさい!!
実は……私ね、重い病を患っていたの……。
貴方に心配かけたくなくて……だから黙って姿を消すしかなくて……。 」
うぅ……っ!と嗚咽混じりで語る、自分の人生の軌跡とやらを黙って聞いた。
” 私は何も悪くない。 ”
” 体が悪くて働けないから、できる事を頑張って努力してきたのに誰も助けてくれない、褒めてくれない。 ”
” だから私は世界一可哀想! ”
長々と語られる話を纏めるとこんな感じ。
ペラペラと語られるお涙頂戴の話を聞き、今度は借金取りの男がハァ~……!と深いため息をつく。
それからの日々は、控えめに言っても地獄の日々。
座学を好む私に戦闘は無理だと思われたが……私は文字の力を信じて試行錯誤する。
ここで歯を食いしばって頑張らなければ、全てが無駄になってしまう。
それは両親との幸せの日々努力も無駄なモノにしてしまいそうで、絶対に嫌だった。
文字は……知識は……無駄なモノなんかじゃない。
両親が誇りに思っていたモノ。
叔母が馬鹿にして無駄だと思っていたモノ。
私はそれを両親と同じく誇りだと思っていたから頑張れた。
目を閉じれば両親に沢山の事を教えてもらった優しい記憶。
それに必死に手を伸ばし、武器にする。
そうして気がつけば私は、【 断罪の赤文字使い 】と呼ばれるまで、のし上がっていた。
勿論借金はとっくの昔に返し終わり、私は私の人生を無駄なものではないと見事に証明する事ができたのだった。
あの借金取りの男のお陰で……。
すると、今度はこれからどうしようかと考え始める。
自分の人生は取り戻した。
なら次は────私は何をする?
くすぶる想いを抱えながら、サポート傭兵として過ごしていると……突然所属していた傭兵ギルドにあの時の借金取りの男がやってきた。
直ぐにあの時のお礼を改めて言いたい!……と駆け寄ろうとしたが、一人でない事に気づいて足を止める。
薄汚れた格好、ボサボサの髪……。
頬は痩せていて、肌はボロボロなのに、目だけはギンギンと攻撃的に周囲を見ている四十代~五十代くらいの女。
よく見れば、その女には見覚えがあった。
「 ……叔母さん? 」
「 ────えっ……!? 」
目を丸くして驚く顔には当時の面影が色濃く残っていて、その人を見る目がどんな類のモノなのか……それは、獲物を探している目だったのかと大きくなった今は分かってしまった。
随分と落ちぶれたらしい叔母を前に、私は大きなため息をつく。
あぁ、この人は変わらなかったんだな……。
軽蔑の目を向けているというのに、叔母の目はキラキラと輝き出した。
” 上手く利用できるモノを見つけた! ”
そう語る様に……。
借金取りの男は前の私の時と同じ様に、傭兵ギルド長をま務めている巨体な男……カルロスに向かい、叔母を売り込み始めた。
「 こいつは小さな借金を繰り返しては派手に遊んで、寄ってくる男達に上手く払わしていたらしいんですよ~。
だが、とうとう払ってくれる男はいなくなっちまって地獄行き。
借金奴隷になったってわけです。
はい、どうっすかね~? 」
随分とぞんざいな売り方をする借金取りの男だったが、カルロスは気を悪くする素振りはない様だ。
しかし、叔母を見る目は冷たく、しっし!と手を振ってあからさまに邪険にする。
「 いらないわよ、こ~んな役に立たなさそうなおばさん。
買うだけ無駄無駄!無料だっていらないわ~。
どんな人生生きてきたかなんて、その人の目を見れば一目で分かるからねん。
ノ~センキュー~! 」
「 …………っ!!! 」
叔母はカルロスの言い方にカァ~!!と怒りに顔を染めた。
叔母は私に多額の借金を残して去っていってからも、小さな借金をしながら生活していたらしい。
そしてそれを寄ってくる男に払わしていたのだが……結局外見の劣化と共に、その方法は使えなくなっていったという所だろう。
愛想笑いも媚びることも……所詮は永続的に使える無敵の武器にはならなかったと言う事だ。
「 …………。 」
見事な転落人生に、呆れてもう一度ため息をついた。
もしかしたら叔母は私に借金を押し付け復讐を遂げた後、普通に生きていこうと思った時期もあったかもしれない。
しかし────結局生き方は変えられなかったのだろう。
今まで散々誰かに ” 苦 ” を押し付けてきた人生は、もう誰がいないと生きていけない体に……更に私に借金を押し付ける前にしていた贅沢な暮らしがそれにトドメをさした。
一度味わった贅沢は人の身を滅ぼす。
そして人を陥れる事で ” 得 ” を得てきた叔母を助けてくれる者なんていない。
哀れな末路だな……。
もうその姿を見ても怒りもわかずにボンヤリとその姿を眺めていると……なんと叔母が突然私に向かって土下座をしたのだ。
そしてボロボロと涙を流し、同情を誘う様な目を私に向ける。
「 あの時は本当に……本当にごめんなさい!!
実は……私ね、重い病を患っていたの……。
貴方に心配かけたくなくて……だから黙って姿を消すしかなくて……。 」
うぅ……っ!と嗚咽混じりで語る、自分の人生の軌跡とやらを黙って聞いた。
” 私は何も悪くない。 ”
” 体が悪くて働けないから、できる事を頑張って努力してきたのに誰も助けてくれない、褒めてくれない。 ”
” だから私は世界一可哀想! ”
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