【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十八章

1478 一つではない

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( フラン )

《 おぉぉあああ”あ”あ”~!!! 》


それによりバランスを崩し、更に周りを囲う他の獣人達に一斉攻撃されて、ズデーン!とその体はひっくり返る。


「 ……お父さん。 」


ボソッと呟いたのはメル殿の声。

その男性は、無表情のままコクリッと頷いた。


攻撃が通る様になり、また自身を守る幻影は全て破られた事。

それに非常に頭にきたのか、本体は空で大きく膨れ上がっていき、体中からピー!ピー!!と湯気の様なモノを吹き出す。


《 アガがガガガガががガガッ────ッ!!!! 》


そしてがむしゃらに叫んだナイト・カゲロウは、自分の体についている肉片をボンッ!!と爆発させる様に打ち上げた。


「 ────!!ナイト・カゲロウ、また分身を作り出す肉片を大量に打ち上げました!

凄い数……っ!できるだけ数を減らして下さい!! 」


「「「 了解!!! 」」」


その肉片達は分裂、増殖を繰り返しながら爆発的に数を増やして落ちてくる。

また地上で増殖されては厄介だ!

全員がその落ちてくる肉片達に向かい武器を構えたその時────……。


「 ガンドレイド守備隊狙撃班!一斉射撃、開始!!! 」


勇ましい声と共に魔道路を通ってやってきたのは沢山のドワーフ族の戦闘員達。

彼らは落ちてくる肉片に一斉射撃を開始!

その命中率は100発百中で、次々と肉片達はまっ黒焦げになって、落ちていった。


「 ドワーフ族までっ!? 」

「 うおおおお~!!ありがとうぉぉ────!!! 」


ワーワー!と歓声がまた上がる中、ドワーフ族の戦闘員達はオリジナル魔導兵器をこしらえて、獣人達と共に赤い巨人に猛攻撃を開始する。

そんな勇ましい同種族に心が熱くなり、ドンッと胸を叩いていると静かに一人のドワーフ族が近づいてきた。

軽さ重視の暗殺者の様な軽装に、長めの黒マント。

50を過ぎたそれなりの歳にも関わらず、纏う雰囲気は鋭く相手を静かに威圧する。


「 ……ソクス。 」

「 お久しぶりでございます、フラン王女様。 」


王の右腕と呼ばれ、ガンドレイド王国の宰相を務めている< ソクス >

そんな彼がどうしてこの場に……?

そう聞きたげな私の視線に気づきながらもソクスはニコッと笑い、自分の片目に装着している金色のからくり型スコープのダイヤルをカチャカチャと弄り始めた。


「 ふむ……なるほど。

ナイト・カゲロウの本体は解析に対する強力な阻害能力をお持ちの様だ。

これなら私の能力も役に立ちそうです。 」



( 先天スキル )

< 幻迷宮の番人 >

ありとあらゆる解析を邪魔する阻害系スキル

それは迷路の様になっていて、解析しようとした者達を惑わす



ソクスは不敵に笑い、ナイト・カゲロウを睨みつけると、そのまま自身のスキルを発動する。



< 透視人の資質>(先天スキル)

< 無限透視 >

相手の情報解析をする自身の物理系解析能力値を極UPする特殊強化系スキル

魔道具などのを使用した場合、更にその能力UPする




「 ソクス……父上の側を離れて大丈夫なのか? 」


解析を始めたソクスにボソリと尋ねた。

宰相でもあるソクスは、その希少な能力を使い常に父をサポートしてきた相棒的な存在で、基本は王である父の側から離れない。

だからこそソクス自らここへ来たのは不思議で思わず聞いてしまったが、ソクスは困った様に笑った。


「 王から命令されて来ました。

エルビス様から解析能力持ちの戦闘員の応援要請に、真っ先に私を指名しましたよ。 」


「 そ……そうか。 」


慎重な判断をする父がそんなに即座に決定を下すのが意外で、難しい表情を見せると、ソクスは私の耳元にコソッと内緒話をするように囁く。


「 実は我が王は、アーサー様と同じくらいフラン様を尊敬しているのですよ。

たった一人、ドワーフ族のミスリルより固い価値観の中、見事立ち上がったフラン様の事を。

……まぁ、父親としてのプライドがあるみたいで、本人には死んでも言えないみたいですけど。 」


「 …………。 」


驚いた顔をする私の顔を見て、ソクスはフフッと笑うと、ちょうど解析が終わったらしい。

片目に装着しているスコープからカチッ!という音がすると、ソクスは本体に向かって指を指す。

すると、本体の至る場所にキラキラと光る星の様な点が数十個現れ、それは赤い巨人達にも現れた。



< 透視人の資質>(ユニーク固有スキル)

< ウィーク・ポインター >

先天スキル< 無限透視 >によって解析できた敵の弱点にマーキングし、可視化する事ができる解析系スキル

自身の解析能力が高い程その精度はUPし、知力、賢さ、器用さ、一定以上の知能レベルの生物との接触と読み合いの経験値が高い程、更にUPする



「 恐らくあれが全て瘴核ですね。本体だけではなく赤い巨人達の方にも何十個もあります。

厄介な事に、1つや2つ壊したくらいでは直ぐに再生してしまうみたいですね。 」


「 なんと小賢しい事よ。

全ての瘴核を一気に潰さねば倒せないという事か……。 」


ソクスはその通りと言わんばかりに頷き、続けて私に完璧な礼をする。


「 それでは、後はお願いいたします。フラン王女様。 」


その動きを片手を上げて止めるとソクスは不思議そうな顔をしたので、私はニヤリと笑った。


「 今の私はガンドレイド王国の王女ではなくライトノア学院の学院長、かつアーサー派閥の支柱の一人だ。

だから頭を下げる必要はない。

我々は対等な存在だ。 」


ソクスは一瞬目を丸くしたが、直ぐにクスッと笑う。


「 そうでした。

それでは後はお願いします。フラン学院長殿。 」


「 ああ。任せてくれ。 」


不敵な笑みを浮かべ、キラキラと輝く星の様な瘴核達を睨みつけると、私は空に向かい手を挙げた。
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