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第五十章
1509 何も持ってない
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( ソフィア )
リーフ様が呪いの蝶を倒した瞬間、真っ黒に染まっていた空は晴れ、なんと腐り朽ちていた森に花が咲いた。
暖かく爽やかな風が吹く中……私はホッと安堵の息を吐き出す。
「 リーフ様が……アレを倒して下さったのですね。 」
気が抜けてその場に崩れ落ちそうになったが、まだ戦いは終わっていない。
そのため必死に足を踏ん張らせ、その場に立ち続けた。
「 まだモンスターの行進は続いている。
それにこの後、私の声を直接国民達に届けなければ……。 」
王女としての戦いは、これからが本番でもある。
共に戦い、興奮冷め止まぬ国民達へ、感謝の気持ちと共にこれからこのソフィアが脅威に立ち向かう事を示さねばならないのだ。
奇跡の様な勝利を収めた今が、エドワード派閥の勢いを落とす最大のチャンス。
このチャンスを逃しては駄目。
「 まずは教会の避難所の方へ行かなければ……。 」
緊張とプレッシャーを少しでも緩和するため、大きく深呼吸をした後、下の階へ降りるため後ろを振り返ると────……。
一人の男がまるで幽霊の様にボンヤリと立っていた。
上がりそうになった悲鳴を飲み込み、その男を注視すると……その顔には見覚えがあり、背筋を凍らせる。
「 ……ルノマンド。 」
「 ……終われない……終われない……終われない…………終われないんだ……私は……こんな所では……っ……! 」
顔色は悪く真っ白で、更に額からは絶え間なく汗が流れ落ちている、元暗殺ギルド総長のルノマンド。
全世界に指名手配されているにも関わらず、その足取りは全く掴めなかったのだが……。
「 ……やはり貴方も今回の事件の首謀者の一人でしたか。 」
疑惑から確定した事実を口にし、私は焦りから心臓が早鳴りを始めた。
ルノマンドは、公式的には< 仲介人 >という、主に話術や交渉などに特化している資質とされているが……恐らくそれは虚偽の申請に違いない。
現在気配なくここにいる事から、それは間違いないだろうと思われる。
私は力の入らない手を開け閉めし、自分の現在の状況を冷静に確認した。
まだスキルのクールタイムが終わってないため、現在私に攻撃の手はない。
つまり、このまま攻撃されれば私は────……っ!
ゴクッ……。
喉を鳴らし警戒を強めたが、ルノマンドはそんな私が見えてないかの様にブツブツと呟き続けた。
「 なんでだよ……っ……なんで私の人生はこうもついてないんだ……っ!?
何をやっても平凡!平凡!平凡!平凡っ!!!
どいつもこいつも、沢山良いものを持って生まれてくるのにっ!!
ハッと目を引く美しい顔……スタイル……周りの心を掴む話術に沢山の人の目を引く才能……なんで私は何も持ってない?!
なんでなんでなんでっ!!
私を生みだした親が悪い!周りが悪い!!
答えろよ……っ!神様なんてもんがいるならなぁ!!! 」
最後は怒鳴る様にそう言い放つと、突然近くに建っているイシュル像の首辺りが歪み、ポキっ!と折れてしまう。
そしてゴロゴロと転がっていくイシュル像の首に見向きもせず、ルノマンドは頭を抱え、髪をグチャグチャとかき回した。
「 どんなに努力したって生まれつき持っている奴らには、一生敵わない……。
頑張っても頑張っても、どうせ誰も認めてくれやしないんだ!
外見も、パッとする能力もなかった私を……両親も友達も女共も、全員俺を馬鹿にしやがったんだ!!
両親は綺麗な顔した弟ばっかり可愛がりやがってぇぇぇ~……ふざけるなふざけるなふざけるなぁぁぁぁっ!!!
だから────────────。 」
ルノマンドは、突然ピタリと動きを止め、ゆっくりと顔をあげる。
「 全員消してやったんだ。
ちょっと運がよかっただけで、調子の乗っていた奴ら全員をなぁ。 」
その顔には表情がなく……しかし目は静かな怒りと憎しみでギラギラとしていた。
自分が持って生まれたモノ全てと、そして自分が持ってないモノを持っている全ての人々を恨み、理不尽に復讐してきたらしいルノマンド。
それをぶつけられて……私は怒りに震える。
王女として、聖女として……その責任と向けられるプレッシャーとの戦い。
私は持って生まれたモノ全てを憎んでいた。
それを捨てる事もできない自分の性格も憎み……いっそ全てを捨てて逃げれたら!と思った事だって一度二度ではない。
でも……それを憎んだって、残るのは恨みだけ。
そこで止まったら……。
私はこの戦いが始まる前の事を思い出した。
” 全て消えてしまえばいい。 ”
そう思う心はずっと心の中にあって、絶望と自分の正義の心の板挟みになった私の足は、手は、全ての器官は……グズグズのトマトの様に腐って落ちてしまった。
もうそうなったら前に進めない。
それって凄く悲しくて辛い事だ。
前に進み続ける仲間たちを見ているだけで人生を終えるって事なのだから。
前に進んでいく皆の背中に怒りと憎しみが湧いて……そこにはどんな世界が広がるんだろう?
リーフ様が呪いの蝶を倒した瞬間、真っ黒に染まっていた空は晴れ、なんと腐り朽ちていた森に花が咲いた。
暖かく爽やかな風が吹く中……私はホッと安堵の息を吐き出す。
「 リーフ様が……アレを倒して下さったのですね。 」
気が抜けてその場に崩れ落ちそうになったが、まだ戦いは終わっていない。
そのため必死に足を踏ん張らせ、その場に立ち続けた。
「 まだモンスターの行進は続いている。
それにこの後、私の声を直接国民達に届けなければ……。 」
王女としての戦いは、これからが本番でもある。
共に戦い、興奮冷め止まぬ国民達へ、感謝の気持ちと共にこれからこのソフィアが脅威に立ち向かう事を示さねばならないのだ。
奇跡の様な勝利を収めた今が、エドワード派閥の勢いを落とす最大のチャンス。
このチャンスを逃しては駄目。
「 まずは教会の避難所の方へ行かなければ……。 」
緊張とプレッシャーを少しでも緩和するため、大きく深呼吸をした後、下の階へ降りるため後ろを振り返ると────……。
一人の男がまるで幽霊の様にボンヤリと立っていた。
上がりそうになった悲鳴を飲み込み、その男を注視すると……その顔には見覚えがあり、背筋を凍らせる。
「 ……ルノマンド。 」
「 ……終われない……終われない……終われない…………終われないんだ……私は……こんな所では……っ……! 」
顔色は悪く真っ白で、更に額からは絶え間なく汗が流れ落ちている、元暗殺ギルド総長のルノマンド。
全世界に指名手配されているにも関わらず、その足取りは全く掴めなかったのだが……。
「 ……やはり貴方も今回の事件の首謀者の一人でしたか。 」
疑惑から確定した事実を口にし、私は焦りから心臓が早鳴りを始めた。
ルノマンドは、公式的には< 仲介人 >という、主に話術や交渉などに特化している資質とされているが……恐らくそれは虚偽の申請に違いない。
現在気配なくここにいる事から、それは間違いないだろうと思われる。
私は力の入らない手を開け閉めし、自分の現在の状況を冷静に確認した。
まだスキルのクールタイムが終わってないため、現在私に攻撃の手はない。
つまり、このまま攻撃されれば私は────……っ!
ゴクッ……。
喉を鳴らし警戒を強めたが、ルノマンドはそんな私が見えてないかの様にブツブツと呟き続けた。
「 なんでだよ……っ……なんで私の人生はこうもついてないんだ……っ!?
何をやっても平凡!平凡!平凡!平凡っ!!!
どいつもこいつも、沢山良いものを持って生まれてくるのにっ!!
ハッと目を引く美しい顔……スタイル……周りの心を掴む話術に沢山の人の目を引く才能……なんで私は何も持ってない?!
なんでなんでなんでっ!!
私を生みだした親が悪い!周りが悪い!!
答えろよ……っ!神様なんてもんがいるならなぁ!!! 」
最後は怒鳴る様にそう言い放つと、突然近くに建っているイシュル像の首辺りが歪み、ポキっ!と折れてしまう。
そしてゴロゴロと転がっていくイシュル像の首に見向きもせず、ルノマンドは頭を抱え、髪をグチャグチャとかき回した。
「 どんなに努力したって生まれつき持っている奴らには、一生敵わない……。
頑張っても頑張っても、どうせ誰も認めてくれやしないんだ!
外見も、パッとする能力もなかった私を……両親も友達も女共も、全員俺を馬鹿にしやがったんだ!!
両親は綺麗な顔した弟ばっかり可愛がりやがってぇぇぇ~……ふざけるなふざけるなふざけるなぁぁぁぁっ!!!
だから────────────。 」
ルノマンドは、突然ピタリと動きを止め、ゆっくりと顔をあげる。
「 全員消してやったんだ。
ちょっと運がよかっただけで、調子の乗っていた奴ら全員をなぁ。 」
その顔には表情がなく……しかし目は静かな怒りと憎しみでギラギラとしていた。
自分が持って生まれたモノ全てと、そして自分が持ってないモノを持っている全ての人々を恨み、理不尽に復讐してきたらしいルノマンド。
それをぶつけられて……私は怒りに震える。
王女として、聖女として……その責任と向けられるプレッシャーとの戦い。
私は持って生まれたモノ全てを憎んでいた。
それを捨てる事もできない自分の性格も憎み……いっそ全てを捨てて逃げれたら!と思った事だって一度二度ではない。
でも……それを憎んだって、残るのは恨みだけ。
そこで止まったら……。
私はこの戦いが始まる前の事を思い出した。
” 全て消えてしまえばいい。 ”
そう思う心はずっと心の中にあって、絶望と自分の正義の心の板挟みになった私の足は、手は、全ての器官は……グズグズのトマトの様に腐って落ちてしまった。
もうそうなったら前に進めない。
それって凄く悲しくて辛い事だ。
前に進み続ける仲間たちを見ているだけで人生を終えるって事なのだから。
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