【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第五十一章

1533 同じだね

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( エドワード )

「 ……フンッ。 」

俺は庭園に設置してあるテーブルの席に座り、心の奥で悪態をつきながら、自分の前に置かれている椅子に向かって視線を向ける。

すると、アーサーはアッサリとその席についたので、気づかれない様に高くそびえ立つ塔の方を見つめた。

俺専用の庭園の近くには、空からの敵をいち早く発見するための塔が建っていて、そこに既に遠距離系攻撃スキル持ちの暗殺者をスタンバイさせている。

狙撃するには、ここが一番のベストポジション。

ちなみに犯人に仕立て上げる予定の者も用意してあるので、まさに完璧な計画だ。

これから起こる事を想像し、抑えきれない笑みが浮かんだ。


「 珍しい菓子が手に入ったんでな。

俺は好かぬが、お前は食に関しても好奇心旺盛だと聞いているから呼んだんだ。 」


「 そうでしたか。

お気遣いどうもありがとうございます。 」


ニコニコと間抜け面で笑いながらお礼を言うアーサー。

自分がこれから殺されるとも知らずにな?

笑いを押し殺しながら、俺は近くに控えていた侍女に命じて紅茶と菓子を用意させた。


「 アーサー。お前の深い知識とそれを活かす知能は素晴らしいモノだ。

随分と努力している様だな。 」


「 えぇ。知識と経験なら誰よりもあると自負しております。 」


真っ白なテーブルクロスが敷かれたテーブルに、次々と菓子が運ばれてくるのを見て、アーサーは上機嫌で答える。

随分と大層なことを言ってのけたアーサーを、俺は鼻で笑い、嫌味を返してやった。


「 ほぅ?まだ準成人も迎えてない子供が、誰よりもとは……随分と大きく言うな?

それは流石に傲慢なのではないか? 」


煽るように言ってやると、アーサーはゆっくりと紅茶が注がれたカップを持ち上げる。


「 そうかもしれませんね?

しかし────……歴史は繰り返しますから。 」


そうして俺を見るアーサーの顔は……なんだかまるで、死を目の前にした老人の様だとも思った。

気味が悪い。

ドロッ……とした正体不明の不安や恐怖にも似た感情を感じながらも、俺は動揺を隠すため紅茶を一口飲み込む。

すると、アーサーも同じく紅茶を口に含み、ふぅ~……と息を吐いていた。


「 歴史は繰り返すか……。

まぁ、確かに言っている事に間違いはない。

お前が言い当ててきた災害や内乱は、確かに以前にも似たような状況下で起きてきたみたいだからな。 」


「 そうですね。

まぁ、そもそも人の歴史の根本は酷く単純なモノですよ。

自然災害を除けば、理由はいつもだいたい同じだ。

” 己の欲望を叶えるため ” 。

人はただそのためだけに戦いを繰り返す。 」


ピリッ……。

一瞬鋭い針の様な雰囲気を出したアーサーだったが、直ぐに年相応の子供の様な笑みを浮かべそれを消す。

そして嬉しそうに菓子を頬張り出したのを見て、ゾッとした。

────コイツは早く消すべき ” ヤバいモノ  ” だ!

ゾクゾクと嫌な予感が背筋を走るのを堪え、俺は気づかれない様に塔へ視線を向ける。


” 正しい ” 世界の邪魔をする、愚かな弟アーサー。

これから直ぐにお前の頭をふっ飛ばしてやる!


俺は直ぐに視線を戻しアーサーへ視線を戻した。

するとそこには、パクパクと菓子を食べては一つ一つ、その味の評価をしているアーサーの姿がある。


俺はこのショーを最高なモノにするため、今日はテーブルクロスも、椅子も、飾られている花も……全てを白で統一してやった。

派手に散った赤い血を、より美しく飾るために。

その様を思い浮かべ、ククッ……と小さく笑い飛ばすと、その後自分がすべき事を念入りにシミュレーションする。


憐れ頭を失ったアーサー。

血しぶきが上がる中、俺はすぐ近くに控えている王宮騎士達を呼び、塔を指差し怒鳴る。

” あの塔から誰かが狙っているぞ! ” と。

すると、王宮騎士たちは直ちに塔へ向かい、そこにいる犯人の男を捕まえた……が俺達の描いたシナリオ。

しかし、その男は実は、ただの犯罪奴隷の死体をつなぎ合わせて作った人形で、魔法の天才と言われているフローズに命じて、カールが事前に作らせたモノだ。

そしてそれを作ったという証拠も偽造し、用済みとなった貴族連中になすりつけてやれば、この事件は解決済みとなる。

どんなに黒幕を探そうとしても無駄。

その全ては、カールが用意した使い捨ての貴族達へと繋がる様にしてあるからだ。


もう少し……。

もう少しで輝かしい未来が……!


期待に胸を踊らせ、今か今かとアーサーの首が吹っ飛ぶのを待っていたが────……一向に ” その時 ” が来ない。


一体どうなってる……!?


焦りと不安から、何度も塔へ視線を向けていると、菓子を全て平らげたアーサーが、紅茶を飲み干し、カチリ……と静かにそのカップをテーブルに置いた。


「 フフッ。兄上も歴史と同じだね。

白いテーブルクロスに白い花……これに ” 赤 ” が散りばめられたら、確かに綺麗だと思うかもね? 」

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