【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,577 / 1,649
第五十一章

1534 ふざけるな!

しおりを挟む
( エドワード )

────ギクッ!!

まるで心を見透かされている様な発言を聞いて、大きく肩が震えてしまう。

しかし慌てて冷静を装い、アーサーに向かって何かを言おうとしたのだが……アーサーはその前に立ち上がった。

その時俺を見るアーサーの目は冷たく、そして何か全てを諦めている様な目にも見え、その虚無の目に恐怖を抱く。


「 お……おま────。 」


恐怖を払うかの様に、俺も立ち上がり怒鳴りかけたが……それを遮る様にアーサーは完璧なお辞儀を見せた。


「 この度は素晴らしいお菓子と紅茶をありがとうございました。
     
私達兄弟の……とても楽しかったです。

それでは、失礼致します。 」

「 …………っ!! 」


一向にない狙撃に一度塔を睨み付けたが、やはり何一つ変化はない。

結局何も言い返せぬまま、俺は去っていくアーサーの小さな背を睨み続けるしかなかった。


その後どうなっているのか!と、共謀者であるカールを責め立てれば、やはり暗殺は失敗したのだと報告される。

そして、カールはその詳しい経緯を忌々しげな様子で語った。


「 暗殺依頼を出した者達は、全て秘密裏に始末されていました。

アーサーの仕業か、それともニコラ王の仕業かは分かりませんが……人形まで回収されてしまえば、同じ手は使えません。

とりあえずそろそろ捨て時だった貴族を犯人に仕立て上げましたが、今動けば疑いが掛かってしまいます。 」

「 な……なんだと……? 」


完璧に練られた作戦だったはずなのに……!

カールもそれは知っていて、どこから情報が漏れたのかと必死に調べていたみたいだが、結局何も見つからなかった。


悔しい……!悔しい……!

アーサーが憎い……憎い……憎い……!!


世界を壊そうとするアーサーを心の底から恨み続ける日々が続く。

あいつさえいなければ、世界は ” 正しい ” 世界に戻るのに……!

皆が……神が認めている ” 正しさ ” に従わないアーサーが……俺には化け物にしか見えなかった。


しかし、そんな化け物を、父は王にしたいらしい。


だからこそ父は自分の王の座を、国の法律に則って長男である俺に渡そうとせず、何やら小賢しい手を使いながら現状をどうにか長引かせようとしてきた。

権力の分散も、自分に万が一があった時、王になるであろう俺に全てを渡さない様にするため。

まずはそれをなんとかしてからでないと、俺が王になったとしてもアーサーが一生前に立ち続ける事だろう。

王の暗殺をしても、俺は自分の思い描いた王にはなれない……!

それが腹立たしくて腹立たしくて、ギリギリと唇を噛み締めていた。

更にもう一つ目障りな存在まで生まれてしまい、どんどんと俺の ” 正しい世界 ” は脅かされる。


もう一つの目障りな存在は、最後に母が産み落とした第一王女のソフィア。

ソフィアは表に立って戦う事を好まない性格をしていたため、俺の敵にはならないが……面倒なのは、その資質にあった。

特級資質< 聖妃者 >

それはこの世界で唯一無二の呪いに対抗できる可能性を秘めたモノであったため、真っ先に教会がソフィアについてしまったのだ。


「 流石に教会を敵に回すのは不味いです。

とりあえず機を見て、またこちらも作戦を練らないといけません。 」


カールは元々教会に対しては好意的な想いを持っていて、それに表立って攻撃する事は避けたい様だ。
                   
神を尊敬……ではなく、を尊敬してる────が表現としては正しいか。

面倒だと思ったが、確かに教会に何かしたとあれば世界中から非難される事は分かっていたので、俺も表立っての攻撃はしない方がいいと思った。

取るに足らない虫でも、沢山集まれば駆除が面倒だからな……。

仕方がないと割り切り、長い年月を掛けてまずはソフィアを潰す作戦を考える事にしたのだ。


潰していくのは、まず下から……。

教会の権力を手にし、今度こそアーサーを叩き潰してやる!────そう思っていたのに……。



俺は現在の戦況を映し出しているスクリーンを見回し、ギリギリと怒りで唇を噛み締めた。


そこに映っているのは、” 正しい ” 世界を壊そうとしている虫けら共の姿がある。

神が定めた世界のルールを壊そうとしているのだ!


ふざけるなふざけるなふざけるなっ!!!!


心の中で叫びブルブル震える手を必死に押さえながら、俺は中央に浮かんでいる真っ黒に染まったままのスクリーンを睨み付けた。


そこにいるであろう人物は< リーフ・フォン・メルンブルク >!!

カールの息子、そして神殺しの ” 救世主 ” だ!!


強く握りすぎた手は、ギシギシという音を立て鋭い痛みを与えてくるが、怒りによって痛みは全く感じない。

こいつこそが、このフザけた事態を引き起こした張本人だ!!

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

分厚いメガネ令息の非日常

餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」 「シノ様……素敵!」 おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!! その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。 「ジュリーが一番素敵だよ」 「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」 「……うん。ジュリーの方が…素敵」 ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい 「先輩、私もおかしいと思います」 「だよな!」 これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...