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第五十一章
1534 ふざけるな!
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( エドワード )
────ギクッ!!
まるで心を見透かされている様な発言を聞いて、大きく肩が震えてしまう。
しかし慌てて冷静を装い、アーサーに向かって何かを言おうとしたのだが……アーサーはその前に立ち上がった。
その時俺を見るアーサーの目は冷たく、そして何か全てを諦めている様な目にも見え、その虚無の目に恐怖を抱く。
「 お……おま────。 」
恐怖を払うかの様に、俺も立ち上がり怒鳴りかけたが……それを遮る様にアーサーは完璧なお辞儀を見せた。
「 この度は素晴らしいお菓子と紅茶をありがとうございました。
私達兄弟の最後の一時……とても楽しかったです。
それでは、失礼致します。 」
「 …………っ!! 」
一向にない狙撃に一度塔を睨み付けたが、やはり何一つ変化はない。
結局何も言い返せぬまま、俺は去っていくアーサーの小さな背を睨み続けるしかなかった。
その後どうなっているのか!と、共謀者であるカールを責め立てれば、やはり暗殺は失敗したのだと報告される。
そして、カールはその詳しい経緯を忌々しげな様子で語った。
「 暗殺依頼を出した者達は、全て秘密裏に始末されていました。
アーサーの仕業か、それともニコラ王の仕業かは分かりませんが……人形まで回収されてしまえば、同じ手は使えません。
とりあえずそろそろ捨て時だった貴族を犯人に仕立て上げましたが、今動けば疑いが掛かってしまいます。 」
「 な……なんだと……? 」
完璧に練られた作戦だったはずなのに……!
カールもそれは知っていて、どこから情報が漏れたのかと必死に調べていたみたいだが、結局何も見つからなかった。
悔しい……!悔しい……!
アーサーが憎い……憎い……憎い……!!
世界を壊そうとするアーサーを心の底から恨み続ける日々が続く。
あいつさえいなければ、世界は ” 正しい ” 世界に戻るのに……!
皆が……神が認めている ” 正しさ ” に従わないアーサーが……俺には化け物にしか見えなかった。
しかし、そんな化け物を、父は王にしたいらしい。
だからこそ父は自分の王の座を、国の法律に則って長男である俺に渡そうとせず、何やら小賢しい手を使いながら現状をどうにか長引かせようとしてきた。
権力の分散も、自分に万が一があった時、王になるであろう俺に全てを渡さない様にするため。
まずはそれをなんとかしてからでないと、俺が王になったとしてもアーサーが一生前に立ち続ける事だろう。
王の暗殺をしても、俺は自分の思い描いた王にはなれない……!
それが腹立たしくて腹立たしくて、ギリギリと唇を噛み締めていた。
更にもう一つ目障りな存在まで生まれてしまい、どんどんと俺の ” 正しい世界 ” は脅かされる。
もう一つの目障りな存在は、最後に母が産み落とした第一王女のソフィア。
ソフィアは表に立って戦う事を好まない性格をしていたため、俺の敵にはならないが……面倒なのは、その資質にあった。
特級資質< 聖妃者 >
それはこの世界で唯一無二の呪いに対抗できる可能性を秘めたモノであったため、真っ先に教会がソフィアについてしまったのだ。
「 流石に教会を敵に回すのは不味いです。
とりあえず機を見て、またこちらも作戦を練らないといけません。 」
カールは元々教会に対しては好意的な想いを持っていて、それに表立って攻撃する事は避けたい様だ。
神を尊敬……ではなく、神を尊敬している自分を尊敬してる────が表現としては正しいか。
面倒だと思ったが、確かに教会に何かしたとあれば世界中から非難される事は分かっていたので、俺も表立っての攻撃はしない方がいいと思った。
取るに足らない虫でも、沢山集まれば駆除が面倒だからな……。
仕方がないと割り切り、長い年月を掛けてまずはソフィアを潰す作戦を考える事にしたのだ。
潰していくのは、まず下から……。
教会の権力を手にし、今度こそアーサーを叩き潰してやる!────そう思っていたのに……。
俺は現在の戦況を映し出しているスクリーンを見回し、ギリギリと怒りで唇を噛み締めた。
そこに映っているのは、” 正しい ” 世界を壊そうとしている虫けら共の姿がある。
神が定めた世界のルールを壊そうとしているのだ!
ふざけるなふざけるなふざけるなっ!!!!
心の中で叫びブルブル震える手を必死に押さえながら、俺は中央に浮かんでいる真っ黒に染まったままのスクリーンを睨み付けた。
そこにいるであろう人物は< リーフ・フォン・メルンブルク >!!
カールの息子、そして神殺しの ” 救世主 ” だ!!
強く握りすぎた手は、ギシギシという音を立て鋭い痛みを与えてくるが、怒りによって痛みは全く感じない。
こいつこそが、このフザけた事態を引き起こした張本人だ!!
────ギクッ!!
まるで心を見透かされている様な発言を聞いて、大きく肩が震えてしまう。
しかし慌てて冷静を装い、アーサーに向かって何かを言おうとしたのだが……アーサーはその前に立ち上がった。
その時俺を見るアーサーの目は冷たく、そして何か全てを諦めている様な目にも見え、その虚無の目に恐怖を抱く。
「 お……おま────。 」
恐怖を払うかの様に、俺も立ち上がり怒鳴りかけたが……それを遮る様にアーサーは完璧なお辞儀を見せた。
「 この度は素晴らしいお菓子と紅茶をありがとうございました。
私達兄弟の最後の一時……とても楽しかったです。
それでは、失礼致します。 」
「 …………っ!! 」
一向にない狙撃に一度塔を睨み付けたが、やはり何一つ変化はない。
結局何も言い返せぬまま、俺は去っていくアーサーの小さな背を睨み続けるしかなかった。
その後どうなっているのか!と、共謀者であるカールを責め立てれば、やはり暗殺は失敗したのだと報告される。
そして、カールはその詳しい経緯を忌々しげな様子で語った。
「 暗殺依頼を出した者達は、全て秘密裏に始末されていました。
アーサーの仕業か、それともニコラ王の仕業かは分かりませんが……人形まで回収されてしまえば、同じ手は使えません。
とりあえずそろそろ捨て時だった貴族を犯人に仕立て上げましたが、今動けば疑いが掛かってしまいます。 」
「 な……なんだと……? 」
完璧に練られた作戦だったはずなのに……!
カールもそれは知っていて、どこから情報が漏れたのかと必死に調べていたみたいだが、結局何も見つからなかった。
悔しい……!悔しい……!
アーサーが憎い……憎い……憎い……!!
世界を壊そうとするアーサーを心の底から恨み続ける日々が続く。
あいつさえいなければ、世界は ” 正しい ” 世界に戻るのに……!
皆が……神が認めている ” 正しさ ” に従わないアーサーが……俺には化け物にしか見えなかった。
しかし、そんな化け物を、父は王にしたいらしい。
だからこそ父は自分の王の座を、国の法律に則って長男である俺に渡そうとせず、何やら小賢しい手を使いながら現状をどうにか長引かせようとしてきた。
権力の分散も、自分に万が一があった時、王になるであろう俺に全てを渡さない様にするため。
まずはそれをなんとかしてからでないと、俺が王になったとしてもアーサーが一生前に立ち続ける事だろう。
王の暗殺をしても、俺は自分の思い描いた王にはなれない……!
それが腹立たしくて腹立たしくて、ギリギリと唇を噛み締めていた。
更にもう一つ目障りな存在まで生まれてしまい、どんどんと俺の ” 正しい世界 ” は脅かされる。
もう一つの目障りな存在は、最後に母が産み落とした第一王女のソフィア。
ソフィアは表に立って戦う事を好まない性格をしていたため、俺の敵にはならないが……面倒なのは、その資質にあった。
特級資質< 聖妃者 >
それはこの世界で唯一無二の呪いに対抗できる可能性を秘めたモノであったため、真っ先に教会がソフィアについてしまったのだ。
「 流石に教会を敵に回すのは不味いです。
とりあえず機を見て、またこちらも作戦を練らないといけません。 」
カールは元々教会に対しては好意的な想いを持っていて、それに表立って攻撃する事は避けたい様だ。
神を尊敬……ではなく、神を尊敬している自分を尊敬してる────が表現としては正しいか。
面倒だと思ったが、確かに教会に何かしたとあれば世界中から非難される事は分かっていたので、俺も表立っての攻撃はしない方がいいと思った。
取るに足らない虫でも、沢山集まれば駆除が面倒だからな……。
仕方がないと割り切り、長い年月を掛けてまずはソフィアを潰す作戦を考える事にしたのだ。
潰していくのは、まず下から……。
教会の権力を手にし、今度こそアーサーを叩き潰してやる!────そう思っていたのに……。
俺は現在の戦況を映し出しているスクリーンを見回し、ギリギリと怒りで唇を噛み締めた。
そこに映っているのは、” 正しい ” 世界を壊そうとしている虫けら共の姿がある。
神が定めた世界のルールを壊そうとしているのだ!
ふざけるなふざけるなふざけるなっ!!!!
心の中で叫びブルブル震える手を必死に押さえながら、俺は中央に浮かんでいる真っ黒に染まったままのスクリーンを睨み付けた。
そこにいるであろう人物は< リーフ・フォン・メルンブルク >!!
カールの息子、そして神殺しの ” 救世主 ” だ!!
強く握りすぎた手は、ギシギシという音を立て鋭い痛みを与えてくるが、怒りによって痛みは全く感じない。
こいつこそが、このフザけた事態を引き起こした張本人だ!!
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