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第五十一章
1544 やれる事が……
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( ニコラ )
「 確かカルパスと共に ” その存在をバラされたくなければ言う事を聞け ” と脅したのだったな。 」
「 止めて下さいよ~。
それじゃあ、僕とカルパスが悪者みたいじゃないですか~。
僕は物事がスムーズに進むようなカードを出しただけです。
ニコラ王には負けますよ。 」
ププンッ!と頭から湯気を出して怒ってくるエルビスに……私は軽く口端を上げてみせる。
「 な~に。私は大したことはしてない。
ただ偉大なるイシュル神に従い、子供を見捨てるわけにはいかなかっただけだ。 」
カール達、メルンブルク家の人間は、自分たちが神の使いであるという盲信を本気で信じている様で、少なくとも生まれた次男が準成人になるまでは始末を命じる事もしないだろうと分かっていた。
だからこそ……次の手は簡単に想像できる。
「 フフッ。大した事ない……ですか。
レガーノの家に派遣されるはずだった ” 従者 ” という名の犯罪奴隷達を、全員魔素領域へ送ってモンスターの餌にした事も? 」
エルビスは吹き出し、そのままクスクスと笑った。
カールはあくまで ” 自分が命令したのではない ” 状態で、次男を始末しようと企んだらしい。
犯罪奴隷を沢山買い付けて、それを従者として身分を書き換えレガーノの屋敷に送ろうとしていた。
全員が全員、人殺しは当たり前の非道極まりないモノ達で、そんな者達を送れば……まぁ、結果は決まっている。
私は情の欠片もない目で、何もない宙を見つめた。
「 彼らは神の最大の禁忌、” 子殺し ” という大罪を犯さずに済んで幸せだったろう?
そして、最後は世の役にも立った。
” 平等 ” は、最も大事な世界の概念だ。 」
「 そうですね~。
僕は貴方の様な方は、この世界に必要だと思ってます。 」
エルビスの言葉を聞いて、私は更に口元を大きく歪めて笑ってやった。
現在犯罪奴隷の全所有決定権は、この私、ニコラの管轄となっている。
つまりカールが個人的にソレを使おうとしても、全員死地へ送ってやるくらいはできるという事。
一度失敗した作戦を使う程カールは愚かではないため、それ以降は犯罪奴隷を使う事は諦めたようだが……。
「 たが、厄介なのは賢者のフローズと、メルンブルク家の周りを固める高位貴族たちだな。
此度のSランク捕獲のために使用した犯罪奴隷達は、その者達の手により全てが死亡済みとして報告が書き換えられていた。 」
「 全く……あの手この手とよくやりますよ。
特にフローズ様の魔法に関しては、対応できる者が限られているため、常に先手を打たれてしまいます。
今回もグリモアから誰も脱出できなく空間を捻じ曲げられていましたが……その証拠すらあっという間に消されてしまいました。
隠蔽、ジャミング、幻影……なんでもありです。 」
オリジナル性の高い多彩な魔法を使い、常にこちらの行動を制限してくる賢者< フローズ >
その厄介さにはほとほと困り果て、ハァ……とため息をつきながら、視線を下げると────苦々しい顔で腕を組むエルビスの姿が目に入る。
今回エドワードとカールは、聖令浄化を使うため、フローズに命じて誰一人グリモアから出さない様にした。
そのせいで脱出するための道は全て消されてしまったが……幸いにもその逆の道は消されていなかったのだ。
「 グリモアへ向かう者などいるわけもないと思っていたのだろうが、残念だったな。 」
「 エドワード様達からしたら、それが最大の失敗と言えるでしょうね。
まぁ、気持ちは分からないでもないですけどね。
まさかあんな呪いの中心地に行きたいなんてクレイジーにも程がありますから。 」
エルビスはニヤリと意地悪く微笑み、私もそれと同様の笑みを返した。
「 今頃奴らは歯を食いしばり過ぎて、無くなっているかもしれないな。
いい気味だ。 」
ククッ……と口から笑いを漏らしたが────そこでフッと視線を下へと下げる。
「 ……しかし、私はなんと無力なのだろうな。
ここまで……進ませてしまった……。 」
「 …………。 」
私の力ない言葉に、エルビスはピタリと笑みを引っ込めた。
自分の子供が ” 悪 ” の道を進んでいくのを、結局止める事ができずに、こんな所まで来てしまった事。
それが自分の心に後悔と絶望を常に生み出す。
だから、私は今回全てを道連れにして連れて行く事を選んだのだ。
これが親としてできる最後の事だと……。
しかし────……今回の体験を経て、ある疑問が浮かんだ。
「 ……ここまで来るまでに……もっと別の道があったのだろうか……? 」
王として親として……もっと別の道が────。
それから黙ってしまった私を見て、エルビスは困った様に笑い……それ以上は何も言ってこなかった。
「 確かカルパスと共に ” その存在をバラされたくなければ言う事を聞け ” と脅したのだったな。 」
「 止めて下さいよ~。
それじゃあ、僕とカルパスが悪者みたいじゃないですか~。
僕は物事がスムーズに進むようなカードを出しただけです。
ニコラ王には負けますよ。 」
ププンッ!と頭から湯気を出して怒ってくるエルビスに……私は軽く口端を上げてみせる。
「 な~に。私は大したことはしてない。
ただ偉大なるイシュル神に従い、子供を見捨てるわけにはいかなかっただけだ。 」
カール達、メルンブルク家の人間は、自分たちが神の使いであるという盲信を本気で信じている様で、少なくとも生まれた次男が準成人になるまでは始末を命じる事もしないだろうと分かっていた。
だからこそ……次の手は簡単に想像できる。
「 フフッ。大した事ない……ですか。
レガーノの家に派遣されるはずだった ” 従者 ” という名の犯罪奴隷達を、全員魔素領域へ送ってモンスターの餌にした事も? 」
エルビスは吹き出し、そのままクスクスと笑った。
カールはあくまで ” 自分が命令したのではない ” 状態で、次男を始末しようと企んだらしい。
犯罪奴隷を沢山買い付けて、それを従者として身分を書き換えレガーノの屋敷に送ろうとしていた。
全員が全員、人殺しは当たり前の非道極まりないモノ達で、そんな者達を送れば……まぁ、結果は決まっている。
私は情の欠片もない目で、何もない宙を見つめた。
「 彼らは神の最大の禁忌、” 子殺し ” という大罪を犯さずに済んで幸せだったろう?
そして、最後は世の役にも立った。
” 平等 ” は、最も大事な世界の概念だ。 」
「 そうですね~。
僕は貴方の様な方は、この世界に必要だと思ってます。 」
エルビスの言葉を聞いて、私は更に口元を大きく歪めて笑ってやった。
現在犯罪奴隷の全所有決定権は、この私、ニコラの管轄となっている。
つまりカールが個人的にソレを使おうとしても、全員死地へ送ってやるくらいはできるという事。
一度失敗した作戦を使う程カールは愚かではないため、それ以降は犯罪奴隷を使う事は諦めたようだが……。
「 たが、厄介なのは賢者のフローズと、メルンブルク家の周りを固める高位貴族たちだな。
此度のSランク捕獲のために使用した犯罪奴隷達は、その者達の手により全てが死亡済みとして報告が書き換えられていた。 」
「 全く……あの手この手とよくやりますよ。
特にフローズ様の魔法に関しては、対応できる者が限られているため、常に先手を打たれてしまいます。
今回もグリモアから誰も脱出できなく空間を捻じ曲げられていましたが……その証拠すらあっという間に消されてしまいました。
隠蔽、ジャミング、幻影……なんでもありです。 」
オリジナル性の高い多彩な魔法を使い、常にこちらの行動を制限してくる賢者< フローズ >
その厄介さにはほとほと困り果て、ハァ……とため息をつきながら、視線を下げると────苦々しい顔で腕を組むエルビスの姿が目に入る。
今回エドワードとカールは、聖令浄化を使うため、フローズに命じて誰一人グリモアから出さない様にした。
そのせいで脱出するための道は全て消されてしまったが……幸いにもその逆の道は消されていなかったのだ。
「 グリモアへ向かう者などいるわけもないと思っていたのだろうが、残念だったな。 」
「 エドワード様達からしたら、それが最大の失敗と言えるでしょうね。
まぁ、気持ちは分からないでもないですけどね。
まさかあんな呪いの中心地に行きたいなんてクレイジーにも程がありますから。 」
エルビスはニヤリと意地悪く微笑み、私もそれと同様の笑みを返した。
「 今頃奴らは歯を食いしばり過ぎて、無くなっているかもしれないな。
いい気味だ。 」
ククッ……と口から笑いを漏らしたが────そこでフッと視線を下へと下げる。
「 ……しかし、私はなんと無力なのだろうな。
ここまで……進ませてしまった……。 」
「 …………。 」
私の力ない言葉に、エルビスはピタリと笑みを引っ込めた。
自分の子供が ” 悪 ” の道を進んでいくのを、結局止める事ができずに、こんな所まで来てしまった事。
それが自分の心に後悔と絶望を常に生み出す。
だから、私は今回全てを道連れにして連れて行く事を選んだのだ。
これが親としてできる最後の事だと……。
しかし────……今回の体験を経て、ある疑問が浮かんだ。
「 ……ここまで来るまでに……もっと別の道があったのだろうか……? 」
王として親として……もっと別の道が────。
それから黙ってしまった私を見て、エルビスは困った様に笑い……それ以上は何も言ってこなかった。
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