【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第五十一章

1549 賢王と守護王

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( リーフ )

あれがニコラ王────そして……。


俺は王座より一段下、そこにズラリと並んでいる顔ぶれをザッと見回した。

王座を真ん中に、2つに集団が別れて並んでいる。

俺から見て右側には、まるでイシュル神を連想させる様な白いドレスを身に纏い、髪を上に纏め上げたソフィアちゃんと、隣には専属聖兵士であるアゼリアちゃんが正装して立っていた。

更にアゼリアちゃんの隣には、教会を代表するヨセフ司教とグレスター大司教……そして第一と第二聖兵士の団長と副団長、そしてグレスターの娘であるジェニファーちゃんもいる。

対して左側の集団には、非常に攻撃的で威圧的なオーラを纏った男性が立っていた。

顔立ちだけ見れば、ニコラ王と似ているというのに、その人に対し高圧的な雰囲気と排他的な瞳のせいで似ている感じがしない。


あれが王位継承権第一位、エドワードか……。


夢の中でなら見たことがあったが、直接会うのはこれが初めて。

絶対的な孤独の世界を抱えた彼は、自分の世界を脅かす俺や自分の言う事を聞かない者達が憎くて憎くて堪らない様子で、ひたすら俺や周りの人間に殺気混じりの視線をぶつけて来る。


「 …………。 」


ヤレヤレ……。

こっそりため息をつき、更に隣の方へ視線を流すと、そこにはまさに ” 美 ” を象徴するかの様な男女がいた。


これが ” リーフ ” の両親。

メルンブルク家当主であるカールさんと、その奥さんであるマリナさんだ。


この二方は、とにかく美しさをいうモノに価値観が振り切れている人たちで、そりゃ~もう!

それに合わない俺を呪い殺さんばかりの憎しみの視線を向けてくる!


「 笑顔の下の顔は、きっとものすごい事になってるんだろうな……。 」


二人の眩しいばかりのニッコリ笑顔を見て呟くと、静かに視線を逸らした。

そしてその隣に続いていくのは、恐らくエドワード坊やを支えし高位貴族達だと思うが……その中で知っている顔を見つけ、ギョッ!と目を見開く。


深い藍色のサラサラストレートヘアーと、くっきりした顔立ちをしたミステリアスな雰囲気を持った女性。

そしてその隣にいるのはラグビー選手の様な高身長に分厚い筋肉をした夕暮れ色のウェーブ掛かった髪をしている男性だった。

二人の浮かべているニヤニヤした口元は、常に人を蔑む様に見え、傲慢さがにじみ出ていると感じてしまう。


レオンハルトの最後の旅に同行する仲間。

賢王< ローズ >と守護王< ゴーン >だ!!


目を輝かせる俺とは逆に、二人の視線は俺を憎んでいると言わんばかりに冷たいモノで、この二人はこの時点で完全なるエドワード坊やの支持者達である事が分かった。

そういえば……。

そこでフッ……と思い出すのは、レオンハルトとの旅での彼らの行動の数々だ。


” フローズとゴーンとはよく知った仲であったジェノスは、彼らがレオンハルトの実力は認めていても、その身分と外見から決して受け入れない事が分かっていた。 ”


もう一人の旅の仲間、かつそのパーティーでのリーダであった剣王< ジェノス >は、二人についてこう語っていた。

だから物語の中の彼らは身分に重きを置いた性格である事は分かっていたので、必然的にその場所に立っている理由は納得できる。

しかし……。


「 …………。 」


俺は二人から視線を外し、俺を殺気混じりで睨んでいるエドワード坊やを真正面から見返した。

それが分かっていて、なぜこのパーティーを組んだのか……それはエドワードが旅の後にレオンハルトを亡き者にしようとしていたからだ。


夢の中で見た、エドワードとカールさんの会話の中でそれはハッキリと言っていた。


「 ……バカだなぁ、本当に。 」


ポツリと口の中で呟いた言葉は、エドワードには届かないが、俺は心の底からそう思う。


だって、自分にだけ都合がいい世界を救いたいと考えるのは自分だけだ。

どうして酷い扱いをされ続けたレオンハルトが、そんな世界を救いたいと望むと思ったのか……俺にはやっぱり理解できない。


「 理想の世界と心中したかったっていうなら分かるけどねぇ……。 」


ハァ……とため息混じりに呟いたが、多分エドワードはそんな事を考えてはいなかったと思う。

盲目的に、自分に都合がいい世界に絶対的な正しさがあると思っていたからだ。


全く~……!


もう一度大きなため息をついた後、物凄い顔で睨んでくるエドワード坊やにナルシスト夫妻、そしてそれを支えしフローズさんやゴーンさんを見返し……ガッツポーズ!

例え悪役でも、アルバード英雄記ファンの俺としては、このオールヴィラン大集合の光景は涎モノの貴重体験だ!

絶対に会えないと思っていたこのメンツに会えて感激。

だから正直、彼らからの殺意増し増しの視線は、春の木漏れ日にしか感じないぞ~?

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