【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第五十二章

1568 王族の力

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( エドワード )

「 …………。 」


────ピキピキ……。


額に走っている血管は、怒りによって更に大きく広がっていった。


なぜ間違いを正す存在を前に笑う事ができる……?


「 ……流石は野蛮な獣だな。

自身の過ちを認めて、懺悔する事もできずに笑うとは……。 」


「 ハハッ!ごめんごめん。でも随分とおかしくてね。

君は野蛮で謝る事ができない獣の坊やか。

だったら俺が殴って叱りつけてやるしかないね。 」


「 ────なっ!!! 」


あまりの言い草にカッ!!となり、また怒鳴りつけようとしたのだが……それより先にカールがドブネズミを指差し、怒鳴り始めた。


「 なんと傲慢なっ!!!

貴様の言っている事は、エドワード様の父君であるニコラ現王と母君であるリンディア様を侮辱する言葉だぞっ!!!

何が救世主だっ!!!ふざけるなっ!!! 」


ドブネズミは大激怒する自分の父親を見ても、まるで知らない他人を見るかの様な目を向け、ため息をつく。


「 やれやれ、君は何を言っているんだい?

ニコラ王もリンディア?さんも、必死に子育てしたに決まっているじゃないか。

そんなの、頑張り屋さんのソフィアちゃんを見ていれば、分かるに決まっているだろう? 」


ドブネズミがキッパリ言い放つと、遠くでソフィアが ” えっ!! ” と驚いた顔をした後、カァァ~と顔を真っ赤にしていた。

ドブネズミは、その呆れた様な目を俺にも向けてきて、もう一度ため息をつく。


「 子育てにも相性があるもんなんだよ。

きっとニコラ王とリンディアさんの優しい育て方は、ソフィアちゃんと相性が良かったんだろうけど……君みたいな凶暴な坊やには優しすぎたんだろうね。

優しさが逆に、人を悪い方へ進ませる事だってある。

ガツン!と叱られないと止まれない子もいるんだよ。

それが君だ。この大バカ野郎が。 」


ドッ!と強い怒気に当てられ、一瞬怯んでしまったが、直ぐに怒りと憎しみでそれを抑え込んだ。


ふざけるなふざけるなふざけるな!!

こんなドブネズミに、これ以上この場を好きにさせてたまるものか!


目の前にいる俺より遥かに小さいはずのドブネズミを見下ろし、俺は殺気を放つ。


「 調子にのるなよ。

今、この場が現実でないなら……お前を亡き者にしても、そんな現実はないって事だな? 」


「 うんうん、そうだよ。 」


あっけらかんと応えるドブネズミに、俺はニヤァ~と笑った。


「 くくっ……。俺の資質は上級資質の中でもランクが高い【 指揮者 】だぞ?

そして、王族の血には他の下種民にはない、特殊な能力が多々あるのだ。

お前はこの俺に指一本触れる事はできないんだよ。

勿論、他の誰もなっ!! 」


────ドンッ!!!

俺がスキルを発動すると、突然王宮内の空気が重くなり、そのせいで周りにいる者達が一斉に動けなくなる。

息苦しさと、体に鉛を入れたかのような状態に、全員が汗を掻き、苦しげに眉を潜めた。


これが俺の能力の一つ。

まさに王が持つに相応しい才能なのだ!



<指揮者の資質>(ユニーク固有スキル)

< 絶対権力者 >

自身よりも身分とステータス値が下の者の動きを全て封じる事のできる上位のデバフ型特殊スキル

動きを止める事のできる時間は、術者のステータスと対象のステータス値と身分で決まり、ジャミングスキルの影響は一切受けない

(発現条件) 

一定以上の身分、カリスマ、精神力、残虐、冷静、絶対正義を持つこと

国のためという大義名分の元、罪を犯す事( ただし、その采配は術者の価値観に基づく )

特定の血筋を持つこと( アルバード王国の王族の血筋 )



「 ぐ……ぐぐ……クソ野郎が……。 」

「 こ、これがあるから王族には……っ……敵わない……っ。 」


この中では爵位がダントツに高いドノバンや、他の能力の高いアーサー派閥の者達が全く動けなくなるくらい強力なスキル。

勿論目の前のドブネズミも動けないのか、目線だけでキョロキョロとして周囲の様子を見回している様だ。

これで俺の完全勝利。


「 俺の身分は< 王族 >。

つまりこの場で動ける可能性があるのは、王ニコラと、同等のソフィアのみ。

しかしニコラ王は攻撃スキルをもたないため、どうしようもできない。

更にソフィアに至っては、戦闘職ではないため俺より遥かにステータス自体が劣るため動けないという事だ。

────くくっ、己がどれほど無力なのか、これで分かっただろう?

公爵家のリーフ様? 」


勝ちを確信した俺は、必死に駆け出す父を尻目に、抜いた剣でドブネズミの首を目掛けて剣を振った────…………が……?


「 あ、あれ…………? 」


一瞬で視界が回り、デジャブな痛みがまた頬に走る。

そしてその強烈な痛みをゆっくり味わう前に、視界は更にグルングルンと回って……床に思い切り叩きつけられてしまったため、今度は全身の痛みに喘いだ。

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