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第五十三章
1600 ここまでするのか
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(グリード)
【メルンブルク邸】
「キャ……キャァァァァァ────!!!! 」
屋敷中に響き渡る妹シャルロッテの悲鳴に驚き、直ぐに悲鳴がした方へ走っていく。
場所はメルンブルク家の屋敷の中、玄関の方であった。
「シャル!!一体どうし────……っ……っ!!??」
到着して直ぐ、玄関前に立ち尽くしている妹の姿が見え、駆け寄ろうとしたのだが────それは出来なかった。
なぜなら────……開いている扉の向こうに、顔中がボコボコに崩れた化け物が二匹立っていたからだ。
「な、な、な……なんだっ!!この化け物はっ!!」
体は辛うじて貴族が着る様な男性服とドレスの様なモノに見えるが、泥だらけだしビリビリに破けている。
まるでモンスターが人間に擬態しようとして失敗したかの様な、醜悪な姿だ!
俺は化け物二人を支えてやって来た、大怪我をしている王宮騎士に向かって怒鳴りつけた。
「おいっ!!一体なんのつもりだ!!そんな化け物を、このメルンブルク家の屋敷に連れて来るとは何事かっ!!即刻切り捨てよ!!早くっ!!!」
嫌悪感を隠すことなく化け物二匹を睨み、更に同じ顔をしているシャルを背に隠す。
すると、王宮騎士はダラダラと垂れる鼻血を拭う事すらせず、大きく震えながらその場に跪いた。
「ば……化け物では……ございませ……ん……。これは……あの……邪神の子が……っ……!!」
ギリッ!と唇を噛みしめながら言葉を発するので、よく聞こえなかったが、『邪神』の部分だけはよく聞こえたため、俺は化け物二人に殺気を放つ。
「この化け物!!!そんな醜き姿の者が、神聖な我が家に入るな!!
誰か!!コレを切り捨てろ!!!命令だぞっ!!」
「黙れぇぇぇぇぇぇ────っ!!!!!」
化け物二匹の内、男性服を着ているヤツの方が、突然狂った様に怒鳴りだした。
その声に非常に覚えがあったため、怒りは鳴りを潜めて、恐ろしい可能性に青ざめる。
「ま……まさか……お父様……?」
シャルも同じ可能性を考えたのか、震える声で呟くと、今度はドレスを着ている方の化け物が、頭を抱えて「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」と大声で叫んだ。
「クソックソックソックソックソックソォォォォ!!!!この屈辱っ!!怒り!!憎しみっ!!絶対に忘れるものかぁぁぁぁ!!!
全員……全員、ぶっ殺してやるからなぁぁぁぁ!!!!」
まるで全てを呪う呪詛の様な言葉を発した化け物の声は、母様のモノ。
それに気付いたシャルロッテが、ブルブル震えながら「お、お母様……?」と呟く。
まさか……まさかこの二人は……?
「「…………。」」
絶句して固まってしまった俺とシャルロッテの前で、母様らしき化け物は、ダンダンッ!!と足を踏み鳴らし、とてもではないが人間の声とは思えない叫び声をあげた。
そして、更に隣の父様?は、両手で頭を抱え、そのままボサボサで泥だらけの汚い髪の毛を激しくかき回す。
「このまま……このままで終わらせてたまるか……。ああああああああああ────っ!!!!!!
絶対に……絶対に許すものか……っ……よくもこの私をコケに……。
死ぬよりもつらい目に合わせてやるからなぁぁぁぁ!!!!クソガキがぁぁぁぁ!!!」
ブチブチブチ────ッ!!!
大きな音を立てて、髪の毛の一部を引きちぎった父様。
狂った様に叫ぶ二人に恐怖し、俺とシャルは立ち尽くすしかできない。
そしてそんな俺達の前で、二人は突然大声でアハハ!!と笑いだし、そのまま家の奥へと歩いていった。
「……う……嘘よ……あんな……あんな……。」
シャルはガタガタ震えながらそう呟くと、そのまま気絶してしまい、慌てて周りの執事達がその体を支える。
そして俺はというと……そのままヨロヨロと後ろへと下がり、そのまま尻もちをついてしまった。
「何が……何があったというんだ……?」
天を見上げ、神に向かい語りかける様に呟くと……まるで目の前を覆い尽くす様に姿を現したのは、邪神の子と言われている忌まわしき弟の姿であった。
ここまで……ここまでするのか?
ここまで人を陥れ、不幸を撒き散らす存在がいるのか?!
俺は両手で顔を隠し、ヤツの姿を視界から消し去る。
俺達家族が不幸になっていくのは、たった一人の存在のせい。
アレを倒さなければ……我々には破滅の未来しかないだろう。
「そんな事、させるものか……。俺の完璧で美しい家族……輝かしい未来は……その全てがあんなモノに奪われてたまるものか……!」
怒り、悲しみは全て力へ……。
俺は負けるものか!と心を奮い立たせ、顔を覆っていた手を勢いよく外した。
そして、神に声が届く様にと大声で叫ぶ。
「我々は神に選ばれしメルンブルク家!!
必ずや悪を滅ぼし、いつかこの世界を正しい姿に、この俺がしてみせるからな……!!」
【メルンブルク邸】
「キャ……キャァァァァァ────!!!! 」
屋敷中に響き渡る妹シャルロッテの悲鳴に驚き、直ぐに悲鳴がした方へ走っていく。
場所はメルンブルク家の屋敷の中、玄関の方であった。
「シャル!!一体どうし────……っ……っ!!??」
到着して直ぐ、玄関前に立ち尽くしている妹の姿が見え、駆け寄ろうとしたのだが────それは出来なかった。
なぜなら────……開いている扉の向こうに、顔中がボコボコに崩れた化け物が二匹立っていたからだ。
「な、な、な……なんだっ!!この化け物はっ!!」
体は辛うじて貴族が着る様な男性服とドレスの様なモノに見えるが、泥だらけだしビリビリに破けている。
まるでモンスターが人間に擬態しようとして失敗したかの様な、醜悪な姿だ!
俺は化け物二人を支えてやって来た、大怪我をしている王宮騎士に向かって怒鳴りつけた。
「おいっ!!一体なんのつもりだ!!そんな化け物を、このメルンブルク家の屋敷に連れて来るとは何事かっ!!即刻切り捨てよ!!早くっ!!!」
嫌悪感を隠すことなく化け物二匹を睨み、更に同じ顔をしているシャルを背に隠す。
すると、王宮騎士はダラダラと垂れる鼻血を拭う事すらせず、大きく震えながらその場に跪いた。
「ば……化け物では……ございませ……ん……。これは……あの……邪神の子が……っ……!!」
ギリッ!と唇を噛みしめながら言葉を発するので、よく聞こえなかったが、『邪神』の部分だけはよく聞こえたため、俺は化け物二人に殺気を放つ。
「この化け物!!!そんな醜き姿の者が、神聖な我が家に入るな!!
誰か!!コレを切り捨てろ!!!命令だぞっ!!」
「黙れぇぇぇぇぇぇ────っ!!!!!」
化け物二匹の内、男性服を着ているヤツの方が、突然狂った様に怒鳴りだした。
その声に非常に覚えがあったため、怒りは鳴りを潜めて、恐ろしい可能性に青ざめる。
「ま……まさか……お父様……?」
シャルも同じ可能性を考えたのか、震える声で呟くと、今度はドレスを着ている方の化け物が、頭を抱えて「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」と大声で叫んだ。
「クソックソックソックソックソックソォォォォ!!!!この屈辱っ!!怒り!!憎しみっ!!絶対に忘れるものかぁぁぁぁ!!!
全員……全員、ぶっ殺してやるからなぁぁぁぁ!!!!」
まるで全てを呪う呪詛の様な言葉を発した化け物の声は、母様のモノ。
それに気付いたシャルロッテが、ブルブル震えながら「お、お母様……?」と呟く。
まさか……まさかこの二人は……?
「「…………。」」
絶句して固まってしまった俺とシャルロッテの前で、母様らしき化け物は、ダンダンッ!!と足を踏み鳴らし、とてもではないが人間の声とは思えない叫び声をあげた。
そして、更に隣の父様?は、両手で頭を抱え、そのままボサボサで泥だらけの汚い髪の毛を激しくかき回す。
「このまま……このままで終わらせてたまるか……。ああああああああああ────っ!!!!!!
絶対に……絶対に許すものか……っ……よくもこの私をコケに……。
死ぬよりもつらい目に合わせてやるからなぁぁぁぁ!!!!クソガキがぁぁぁぁ!!!」
ブチブチブチ────ッ!!!
大きな音を立てて、髪の毛の一部を引きちぎった父様。
狂った様に叫ぶ二人に恐怖し、俺とシャルは立ち尽くすしかできない。
そしてそんな俺達の前で、二人は突然大声でアハハ!!と笑いだし、そのまま家の奥へと歩いていった。
「……う……嘘よ……あんな……あんな……。」
シャルはガタガタ震えながらそう呟くと、そのまま気絶してしまい、慌てて周りの執事達がその体を支える。
そして俺はというと……そのままヨロヨロと後ろへと下がり、そのまま尻もちをついてしまった。
「何が……何があったというんだ……?」
天を見上げ、神に向かい語りかける様に呟くと……まるで目の前を覆い尽くす様に姿を現したのは、邪神の子と言われている忌まわしき弟の姿であった。
ここまで……ここまでするのか?
ここまで人を陥れ、不幸を撒き散らす存在がいるのか?!
俺は両手で顔を隠し、ヤツの姿を視界から消し去る。
俺達家族が不幸になっていくのは、たった一人の存在のせい。
アレを倒さなければ……我々には破滅の未来しかないだろう。
「そんな事、させるものか……。俺の完璧で美しい家族……輝かしい未来は……その全てがあんなモノに奪われてたまるものか……!」
怒り、悲しみは全て力へ……。
俺は負けるものか!と心を奮い立たせ、顔を覆っていた手を勢いよく外した。
そして、神に声が届く様にと大声で叫ぶ。
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