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19 ルーカスは……
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「兄さん、凄いじゃないか。二ランクもステータスレベルをあげるなんて、普通はできないよ。兄さんは努力の天才だね。」
「ル、ルーカスぅ~……。あ、ありがとうぅぅぅっ。」
突然優しい言葉を掛けられて、僕の目からはブワッ!と涙が飛び出した。
自分の努力を認めてもらう事。
それが何よりも嬉しかった。
その後、ワンワンと可哀想なくらい泣きわめく僕を抱きしめて背中を撫でてくれたルーカス。
絶縁したら、もう僕とルーカスは他人。
こうして会う事も話す事もこれで最後なんだ。
それが悲しくて悲しくてギュッ!としがみつく様に抱きしめると、ルーカスは嬉しそうに笑ったが、そんなルーカスに父は怒鳴り声を上げた。
「ルーカス!ほら、さっさとお前も鑑定しろ。
────ふんっ!もし役に立ちそうな才能がなかった場合は、家のためという大義名分の元、やっと追い出せる。
まぁ、もしも役に立つ才能に恵まれていたなら、一生この私達と家のために生きる事は許してやるがな。」
「娼婦の子供如きに、一体なんの才能があるのかしらねぇ?」
二人は後ろにいるリアムに命じて馬車を呼ぶ様に命令し、さっさと帰る用意をし始めている。
ルーカスはそれを見て、口端を僅かに上げて不気味な笑みを浮かべた。
「ルーカス……?」
「あぁ、ごめんごめん。じゃあ、俺も直ぐに鑑定を終わらせるから、少し待っててね。」
ルーカスの様子が不安で、その名を呼べば、直ぐにいつものルーカスに戻った。
気のせいだったかな?
まぁ、それより……ルーカスはこれから大丈夫だろうか……?
僕はルーカスの背をボンヤリと見つめながら、その将来が心配で心配で堪らなかった。
ルーカスがどんなに素晴らしい才能に恵まれているとしても、父と母は絶対に認める事はない。
それでいて、ルーカスの才能を自分たちのために一生利用し搾取するだろうと思う。
それならいっそ、ルーカスに才能なんてなければ……!
都合の良い妄想が浮かんだが、直ぐに現実を思い出し、力がない自分に怒りが湧いた。
力がないと何も、選ぶ事もできない。
それって本当に悲しくて悔しい事だ。
恵まれた環境までなくなってしまった僕には、もう何かを選べる力はない。
自分の手の平を見つめ、また涙がボロボロと流れて視界が滲んだが、それでもルーカスといられる最後の時間を大事にしようと神官の前に静かに立つルーカスの背中を見つめた。
「では、これよりクレパス家の御子息、ルーカス様の鑑定を始めます。」
「…………。」
返事もしない不遜な態度に、神官様は一瞬眉を潜めたが、直ぐに淡々と鑑定を始める。
周りは目を惹く容姿をしているルーカスを自然と目で追っていて、先程の父と母の様子から、ルーカスが正妻の子ではない事が伝わってしまった様だ。
ヒソヒソと陰口を叩き始めた。
「一体どなたのお子なのかしらね?第二夫人にしないという事は……相手は平民なのでは?」
「ライゼル様もとても精悍な顔をされているけど……あの子はまた違った目を惹く美しさを持っていますわ。
さぞや相手の方もお綺麗だったのでは?……そうなると、大体の予想はつきますね。」
弱みを握られまいと、父と母は必死で平然とした様子を見せている。
そんな緊張が漂う中────とうとうルーカスの鑑定結果がその頭上に現れた。
「────なっ……っ!!こっ、これはっ……!!」
「────えっ……?う、嘘……。」
「あれは……っ。」
注目される中、ルーカスのステータスボードに書かれている内容を目にした途端、全員が目を大きく見開く。
「ば……ばかな……っ。」
「あ、あり得ない……っ!」
同じく父と母も真っ青に青ざめてワナワナ震えていたし、僕だってビックリしすぎて言葉もでなかった。
【ステータスボード】
<ルーカス>
才能ギフト……【聖令神】
能力値……潜在ステータス値(SSS)、現在の総合ステータス値(SSS)
『人』の始まりを創ったとされる神様と同じ才能!
つまりルーカスは────……。
「か、神よ……っ。この奇跡に感謝を……。」
この時点で周りにいる神官達は一斉にルーカスに向かって跪き、祈りを始めると、一人、また一人と周囲の貴族達も跪いた。
「なんてことだ……。どうかお許し下さい。」
「神様の降臨だ……。この奇跡に立ち会えた事を誇りに思います。」
その中で、父と母は真っ青な顔のまま黙って跪き、頭を下げたのだが、そんな二人には目もくれず、ルーカスは呆然と立ち尽くす僕の元へと帰ってくる。
「兄さん、帰ろう。もう用事はすんだから。」
「えっ……あ、う、うん……だけど……。」
周りで一斉に跪いている人達を見渡し、僕も慌ててその場に跪いた。
「も、申し訳ありませんでした。僕は今まで何も知らずに……。」
確かに前から凄い凄いと思っていたが、ルーカスは、なんと神様と同じ才能の持ち主だったのだ。
人に生きる場所を与えてくれた、始まりの神様と同じ才能……。
そんな神様に、僕はなんて気安い態度を!
ビクビク、オドオドしている僕を見て、ルーカスは不思議そうな表情をした。
「??どうしたの?兄さん。変な事言って……。とりあえず帰って休もうか。
ちょうど馬車が到着したみたいだし、これからの事はゆっくり考えればいいよ。」
ひたすらマイペースなルーカスに、一人でアワアワして焦っていると、優しく手を取られる。
そしてそのまま立ち上がらせて貰ったのだが────何故か突然眠くなってきた。
「あ……あれ……?なんか……眠……。」
「これから色々面倒な事がありそうだから、兄さんはゆっくり眠ってていいよ。
おやすみ兄さん。」
「……??ル、ルーカ……ス……。」
まるで太陽の様に眩しい笑顔を浮かべたルーカスの顔を最後に、僕の視界も意識も真っ暗闇に。
そうして僕はなんと眠ってしまった様だった。
「ル、ルーカスぅ~……。あ、ありがとうぅぅぅっ。」
突然優しい言葉を掛けられて、僕の目からはブワッ!と涙が飛び出した。
自分の努力を認めてもらう事。
それが何よりも嬉しかった。
その後、ワンワンと可哀想なくらい泣きわめく僕を抱きしめて背中を撫でてくれたルーカス。
絶縁したら、もう僕とルーカスは他人。
こうして会う事も話す事もこれで最後なんだ。
それが悲しくて悲しくてギュッ!としがみつく様に抱きしめると、ルーカスは嬉しそうに笑ったが、そんなルーカスに父は怒鳴り声を上げた。
「ルーカス!ほら、さっさとお前も鑑定しろ。
────ふんっ!もし役に立ちそうな才能がなかった場合は、家のためという大義名分の元、やっと追い出せる。
まぁ、もしも役に立つ才能に恵まれていたなら、一生この私達と家のために生きる事は許してやるがな。」
「娼婦の子供如きに、一体なんの才能があるのかしらねぇ?」
二人は後ろにいるリアムに命じて馬車を呼ぶ様に命令し、さっさと帰る用意をし始めている。
ルーカスはそれを見て、口端を僅かに上げて不気味な笑みを浮かべた。
「ルーカス……?」
「あぁ、ごめんごめん。じゃあ、俺も直ぐに鑑定を終わらせるから、少し待っててね。」
ルーカスの様子が不安で、その名を呼べば、直ぐにいつものルーカスに戻った。
気のせいだったかな?
まぁ、それより……ルーカスはこれから大丈夫だろうか……?
僕はルーカスの背をボンヤリと見つめながら、その将来が心配で心配で堪らなかった。
ルーカスがどんなに素晴らしい才能に恵まれているとしても、父と母は絶対に認める事はない。
それでいて、ルーカスの才能を自分たちのために一生利用し搾取するだろうと思う。
それならいっそ、ルーカスに才能なんてなければ……!
都合の良い妄想が浮かんだが、直ぐに現実を思い出し、力がない自分に怒りが湧いた。
力がないと何も、選ぶ事もできない。
それって本当に悲しくて悔しい事だ。
恵まれた環境までなくなってしまった僕には、もう何かを選べる力はない。
自分の手の平を見つめ、また涙がボロボロと流れて視界が滲んだが、それでもルーカスといられる最後の時間を大事にしようと神官の前に静かに立つルーカスの背中を見つめた。
「では、これよりクレパス家の御子息、ルーカス様の鑑定を始めます。」
「…………。」
返事もしない不遜な態度に、神官様は一瞬眉を潜めたが、直ぐに淡々と鑑定を始める。
周りは目を惹く容姿をしているルーカスを自然と目で追っていて、先程の父と母の様子から、ルーカスが正妻の子ではない事が伝わってしまった様だ。
ヒソヒソと陰口を叩き始めた。
「一体どなたのお子なのかしらね?第二夫人にしないという事は……相手は平民なのでは?」
「ライゼル様もとても精悍な顔をされているけど……あの子はまた違った目を惹く美しさを持っていますわ。
さぞや相手の方もお綺麗だったのでは?……そうなると、大体の予想はつきますね。」
弱みを握られまいと、父と母は必死で平然とした様子を見せている。
そんな緊張が漂う中────とうとうルーカスの鑑定結果がその頭上に現れた。
「────なっ……っ!!こっ、これはっ……!!」
「────えっ……?う、嘘……。」
「あれは……っ。」
注目される中、ルーカスのステータスボードに書かれている内容を目にした途端、全員が目を大きく見開く。
「ば……ばかな……っ。」
「あ、あり得ない……っ!」
同じく父と母も真っ青に青ざめてワナワナ震えていたし、僕だってビックリしすぎて言葉もでなかった。
【ステータスボード】
<ルーカス>
才能ギフト……【聖令神】
能力値……潜在ステータス値(SSS)、現在の総合ステータス値(SSS)
『人』の始まりを創ったとされる神様と同じ才能!
つまりルーカスは────……。
「か、神よ……っ。この奇跡に感謝を……。」
この時点で周りにいる神官達は一斉にルーカスに向かって跪き、祈りを始めると、一人、また一人と周囲の貴族達も跪いた。
「なんてことだ……。どうかお許し下さい。」
「神様の降臨だ……。この奇跡に立ち会えた事を誇りに思います。」
その中で、父と母は真っ青な顔のまま黙って跪き、頭を下げたのだが、そんな二人には目もくれず、ルーカスは呆然と立ち尽くす僕の元へと帰ってくる。
「兄さん、帰ろう。もう用事はすんだから。」
「えっ……あ、う、うん……だけど……。」
周りで一斉に跪いている人達を見渡し、僕も慌ててその場に跪いた。
「も、申し訳ありませんでした。僕は今まで何も知らずに……。」
確かに前から凄い凄いと思っていたが、ルーカスは、なんと神様と同じ才能の持ち主だったのだ。
人に生きる場所を与えてくれた、始まりの神様と同じ才能……。
そんな神様に、僕はなんて気安い態度を!
ビクビク、オドオドしている僕を見て、ルーカスは不思議そうな表情をした。
「??どうしたの?兄さん。変な事言って……。とりあえず帰って休もうか。
ちょうど馬車が到着したみたいだし、これからの事はゆっくり考えればいいよ。」
ひたすらマイペースなルーカスに、一人でアワアワして焦っていると、優しく手を取られる。
そしてそのまま立ち上がらせて貰ったのだが────何故か突然眠くなってきた。
「あ……あれ……?なんか……眠……。」
「これから色々面倒な事がありそうだから、兄さんはゆっくり眠ってていいよ。
おやすみ兄さん。」
「……??ル、ルーカ……ス……。」
まるで太陽の様に眩しい笑顔を浮かべたルーカスの顔を最後に、僕の視界も意識も真っ暗闇に。
そうして僕はなんと眠ってしまった様だった。
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