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21 家族愛
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「そっか……。父様と母様の事は、ルーカスがそう決めたなら僕に口を出す権利はないよ。僕は今まで何も出来なかったのだから……。
今まで本当にごめん……じゃあ、僕も直ぐにココから出ていくね。
力がなくて何も選べなくても、それでも平民になって一から頑張ってみようと思ってるんだ。」
「────はっ?」
ルーカスの顔が途端に引きつっていたが、今後の事に思いを馳せる僕は気づかず、拳を強く握った。
命があって健康さえあれば、きっとなんでも生きていける。
平民の暮らしは知らないことが多いが、今までと同じだ。
頑張るだけ。
「ルーカスがすごい人だって事は、小さい頃からわかっていたよ。なんでもできて凄いなって思っていた。
だからこれから、どうか自分の望む道を自由に進んで行って欲しい。
今まで助けられなくて、本当にごめん。これからはずっと陰ながら応援しているから。」
「────さ……いよ。そんなの……。」
ボソッと何かを呟いたルーカスは、強く僕の体を抱きしめ────締め付けてくる!
「────っ?!!?くっ、苦し……っ。」
「なんで俺から離れようとするの?ねぇ、なんで?なんで?なんで?
やっと邪魔がいなくなったのに!!」
凄い締め付けに息が出来ず、力なくルーカスの背中を叩いた。
何でってなんで?僕が聞きたい!
「わ、わかっ……た……。ルー……わか……た。」
まるでうわ言のようにそう言うと、ルーカスは無表情のまま僕を抱きしめる力を緩め、今度はまるで繊細なガラスを触る様に優しく抱きしめてくる。
「良かった。兄さんが離れるなんて言うとは思わなかったから驚いたよ。
もしかして、外にどこか行きたい場所があるのかなって。そうしたら困るな……。
だってココが唯一の兄さんの場所じゃなきゃいけないんだから。」
「…………。」
ルーカスが不穏な事を言い始めたので、血の気が引いてしまい、僕は黙った。
ルーカスは、七年前のある時から突然変わり始め、非常に物騒な言葉をたまに言うようになった────が、それはきっと自分にとってよくない環境に対して嫌な気持ちがあるからだと思っていた。
でも、それがないにもかかわらず、こんな事をいうなんて……。
なんだか良くない方に進んでいる様な気がして、僕はおずおずと声をかける。
「こ、ここに住むとしても、僕は仕事を探さないといけないんだ。
だから、これからその仕事を探しに街に────……。」
「仕事?う~ん……。まぁ、兄さんがどうしてもしたいっていうなら別にいいけど……でもずっと俺と一緒だから、制限が結構かかるよ。突発的にモンスター討伐の依頼が入ると思うから。」
「はぁ??」
またしても飛び出すとんでも発言に、どういう事かと詳しく聞くと、なんと僕はルーカスに常に付き従う様な状態で過ごす事が決定しているらしい。
「えっえっ……?ど、どういう事??」
「とりあえず部屋は一部屋ずつ用意したけど、いつも一緒に寝て、朝起きてからは一緒に朝ごはんを食べる。それからはずっと一緒に行動するよ。
面倒だけど、各地に顔出しに行くかもしれないし……あぁ、でもちょっとした旅行気分を味わえるから楽しみだね。
兄さん、色んな所に行ってみたいって言ってたもんね?」
ルーカスは部屋の壁にある扉まで僕を連れて行くと、その扉を開けて中を見せてくれた。
そこには今いる部屋と同じ様な内装の部屋があり、この扉一つで二つの部屋を行き来できる構造をしていたのだが……それを理解した瞬間、血の気は更に引いて顔色は真っ白になる。
これ、もしかして夫婦の部屋じゃ……?
貴族の夫婦部屋は、基本こういう一つの扉で行き来できる部屋を作る。
そして当主と正妻である奥さんはその2つの部屋にそれぞれ入って就寝し、その後は当主が鍵が掛かっているかいないかを確認して奥さんの部屋へ渡るのだ。
つまり……僕が弟の未来のお嫁さんの部屋を使っているって事!
「へ、部屋を変えないと!これはおかしいよ、ルーカス。悪いけど僕は違う部屋をお願いするね。」
いくらまだ空いているからといっても、こんな事は赦される事はない。
大量の汗を掻きながら首を横に振ると。ルーカスはニコニコ笑う。
「そっか、気に入らなかった?じゃあ、今から屋敷を潰して新しい屋敷を────。」
「違う違う!そうじゃなくて!」
ルーカスが部屋の外に待機しているであろう執事に声を掛けようとしたので、慌てて止めた。
僕は正妻の部屋を兄が使うなんておかしいと言いたかっただけで、この屋敷のデザインについてなんて言ってない。
それを必死に伝えたが、どうもルーカスには上手く伝わらなかった様で、不思議そうな表情をした。
「この世の全ては全部兄さんのモノ。だからなんでも全部兄さんの要望に応えた家にするのは当たり前なのに……。
それに俺達は家族なんだから遠慮はいらないよ?家族愛は無償の愛なんだから。」
「家族……。」
ルーカスはこれを『家族愛』と呼び、兄である僕を大事に思ってくれている様だ。
それに対して僕は、凄くうれしいと思った。
両親から『家族愛』を貰えなかったから。
ならこれは……普通の事なのかな?
ルーカスが言っている事や行動に多少違和感はあったが、無知な僕が知らないだけでこれは世間一般的には普通なのかもしれない。
そう思う様になり、僕はルーカスの『家族愛』というモノを受け入れてみる事にしたのだ。
今まで本当にごめん……じゃあ、僕も直ぐにココから出ていくね。
力がなくて何も選べなくても、それでも平民になって一から頑張ってみようと思ってるんだ。」
「────はっ?」
ルーカスの顔が途端に引きつっていたが、今後の事に思いを馳せる僕は気づかず、拳を強く握った。
命があって健康さえあれば、きっとなんでも生きていける。
平民の暮らしは知らないことが多いが、今までと同じだ。
頑張るだけ。
「ルーカスがすごい人だって事は、小さい頃からわかっていたよ。なんでもできて凄いなって思っていた。
だからこれから、どうか自分の望む道を自由に進んで行って欲しい。
今まで助けられなくて、本当にごめん。これからはずっと陰ながら応援しているから。」
「────さ……いよ。そんなの……。」
ボソッと何かを呟いたルーカスは、強く僕の体を抱きしめ────締め付けてくる!
「────っ?!!?くっ、苦し……っ。」
「なんで俺から離れようとするの?ねぇ、なんで?なんで?なんで?
やっと邪魔がいなくなったのに!!」
凄い締め付けに息が出来ず、力なくルーカスの背中を叩いた。
何でってなんで?僕が聞きたい!
「わ、わかっ……た……。ルー……わか……た。」
まるでうわ言のようにそう言うと、ルーカスは無表情のまま僕を抱きしめる力を緩め、今度はまるで繊細なガラスを触る様に優しく抱きしめてくる。
「良かった。兄さんが離れるなんて言うとは思わなかったから驚いたよ。
もしかして、外にどこか行きたい場所があるのかなって。そうしたら困るな……。
だってココが唯一の兄さんの場所じゃなきゃいけないんだから。」
「…………。」
ルーカスが不穏な事を言い始めたので、血の気が引いてしまい、僕は黙った。
ルーカスは、七年前のある時から突然変わり始め、非常に物騒な言葉をたまに言うようになった────が、それはきっと自分にとってよくない環境に対して嫌な気持ちがあるからだと思っていた。
でも、それがないにもかかわらず、こんな事をいうなんて……。
なんだか良くない方に進んでいる様な気がして、僕はおずおずと声をかける。
「こ、ここに住むとしても、僕は仕事を探さないといけないんだ。
だから、これからその仕事を探しに街に────……。」
「仕事?う~ん……。まぁ、兄さんがどうしてもしたいっていうなら別にいいけど……でもずっと俺と一緒だから、制限が結構かかるよ。突発的にモンスター討伐の依頼が入ると思うから。」
「はぁ??」
またしても飛び出すとんでも発言に、どういう事かと詳しく聞くと、なんと僕はルーカスに常に付き従う様な状態で過ごす事が決定しているらしい。
「えっえっ……?ど、どういう事??」
「とりあえず部屋は一部屋ずつ用意したけど、いつも一緒に寝て、朝起きてからは一緒に朝ごはんを食べる。それからはずっと一緒に行動するよ。
面倒だけど、各地に顔出しに行くかもしれないし……あぁ、でもちょっとした旅行気分を味わえるから楽しみだね。
兄さん、色んな所に行ってみたいって言ってたもんね?」
ルーカスは部屋の壁にある扉まで僕を連れて行くと、その扉を開けて中を見せてくれた。
そこには今いる部屋と同じ様な内装の部屋があり、この扉一つで二つの部屋を行き来できる構造をしていたのだが……それを理解した瞬間、血の気は更に引いて顔色は真っ白になる。
これ、もしかして夫婦の部屋じゃ……?
貴族の夫婦部屋は、基本こういう一つの扉で行き来できる部屋を作る。
そして当主と正妻である奥さんはその2つの部屋にそれぞれ入って就寝し、その後は当主が鍵が掛かっているかいないかを確認して奥さんの部屋へ渡るのだ。
つまり……僕が弟の未来のお嫁さんの部屋を使っているって事!
「へ、部屋を変えないと!これはおかしいよ、ルーカス。悪いけど僕は違う部屋をお願いするね。」
いくらまだ空いているからといっても、こんな事は赦される事はない。
大量の汗を掻きながら首を横に振ると。ルーカスはニコニコ笑う。
「そっか、気に入らなかった?じゃあ、今から屋敷を潰して新しい屋敷を────。」
「違う違う!そうじゃなくて!」
ルーカスが部屋の外に待機しているであろう執事に声を掛けようとしたので、慌てて止めた。
僕は正妻の部屋を兄が使うなんておかしいと言いたかっただけで、この屋敷のデザインについてなんて言ってない。
それを必死に伝えたが、どうもルーカスには上手く伝わらなかった様で、不思議そうな表情をした。
「この世の全ては全部兄さんのモノ。だからなんでも全部兄さんの要望に応えた家にするのは当たり前なのに……。
それに俺達は家族なんだから遠慮はいらないよ?家族愛は無償の愛なんだから。」
「家族……。」
ルーカスはこれを『家族愛』と呼び、兄である僕を大事に思ってくれている様だ。
それに対して僕は、凄くうれしいと思った。
両親から『家族愛』を貰えなかったから。
ならこれは……普通の事なのかな?
ルーカスが言っている事や行動に多少違和感はあったが、無知な僕が知らないだけでこれは世間一般的には普通なのかもしれない。
そう思う様になり、僕はルーカスの『家族愛』というモノを受け入れてみる事にしたのだ。
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