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エドワードは焦ったように彼女の肩を抱き、私の方へ睨みつけます。
「もうやめてくれイザベル、マルグリットが怯えているじゃないか!」
……まるで私が悪役であるかのような言い草。
とはいえ、今マルグリットがエドワードへ泣きついたのは半分は本音なのでしょう。私が、何かマルグリットにとって不都合なことを言うのではないか……そう、考えたのかもしれません。
……確かに、あなた方にとって不都合なことはいくらでも知っているけれど。
まだ何も明かしていないというのに、今からそんなに怯えるふりをしていていいのかしら?
私は、今この場では事を荒立てる気はないということを示すために、一歩だけ身を引きます。
「ご安心ください。怒ってなどもおりませんし……ただ、お二人へお伝えしたいことがあるだけなのです」
「伝えたいこと?」
「はい。お聞きしたいこと……と言い換えても構いません」
糾弾される時ではなさそうだ、と気付いたマルグリットが、泣き真似をやめて私の次の言葉を待っています。
「正式な婚約の解消には、王家への届け出と審議が必要ですけれども……エドワード様は、どのように考えておられるのですか?」
……私とエドワードは、何も自分たちの感情で婚約を果たしたわけではありません。侯爵家と伯爵家、両者の結びつきを考えての婚約です。
このように影で、それも社交界に分かるように婚約外の貴族と触れていることなど、普通は考えられないような事態でした。
それを聞いたエドワードは、なぜか自信たっぷりに笑いました。
「もうやめてくれイザベル、マルグリットが怯えているじゃないか!」
……まるで私が悪役であるかのような言い草。
とはいえ、今マルグリットがエドワードへ泣きついたのは半分は本音なのでしょう。私が、何かマルグリットにとって不都合なことを言うのではないか……そう、考えたのかもしれません。
……確かに、あなた方にとって不都合なことはいくらでも知っているけれど。
まだ何も明かしていないというのに、今からそんなに怯えるふりをしていていいのかしら?
私は、今この場では事を荒立てる気はないということを示すために、一歩だけ身を引きます。
「ご安心ください。怒ってなどもおりませんし……ただ、お二人へお伝えしたいことがあるだけなのです」
「伝えたいこと?」
「はい。お聞きしたいこと……と言い換えても構いません」
糾弾される時ではなさそうだ、と気付いたマルグリットが、泣き真似をやめて私の次の言葉を待っています。
「正式な婚約の解消には、王家への届け出と審議が必要ですけれども……エドワード様は、どのように考えておられるのですか?」
……私とエドワードは、何も自分たちの感情で婚約を果たしたわけではありません。侯爵家と伯爵家、両者の結びつきを考えての婚約です。
このように影で、それも社交界に分かるように婚約外の貴族と触れていることなど、普通は考えられないような事態でした。
それを聞いたエドワードは、なぜか自信たっぷりに笑いました。
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