24 / 24
24(終)
しおりを挟む
観客の間から、息を呑む音が漏れます。
「ま、待てっ。私たちは何も聞かされていなかった……!」
「そうよ!そいつの独断よ!」
「そちらを判断されるのは、私ではありませんから」
……すでに裏付けのあることを喚かれても、私としては風が通り過ぎていったかのよう。
楽しいことがあると聞いてきた会で、自分たちにも害が及ぶなどとは思っていなかったのかもしれませんが。
「ご安心を。報告の際には本日の名簿を交え、事実関係を正確に……できるだけ詳しく、陛下にお伝えいたします。陛下はきっと、賑やかな報告をお喜びになることでしょう」
さっきまで舞台の主役を気取っていた二人の顔からも、すべての血の気が引いていくのがありありと分かりました。
私は穏やかな微笑を浮かべたまま、ゆるりと礼を取ります。
「では、これにて私はこの場から降りさせていただきます。……どうぞご自由に、続きを」
裾を払って背を向けた私を前にしても、誰も、何も動かずにいるようでした。
何かをこれ以上発してしまっても、罪の多寡が変わるだけだと、今更知ったのかもしれません。
ただ私の足音だけが、長い広間に響き渡っていました。
「エドワード……このような派手な真似をしなければ、もう少し穏便な道もあったのかもしれませんが」
彼の横を通り過ぎる時に、少しだけ……今回のことで何がいけなかったのかを、添えてみます。
「けれどももう、こぼれたミルクを嘆いてしまっても……何もかも、今更ですのよね」
「うっ…ぐぅ……」
「え、エドワード様……っ!」
……背を向けた後ろのほうで、鈍い音が……おそらく、エドワードが膝をついたような音が。そしてマルグリットがそこに縋るような声が聞こえましたが。
もう、振り返る気持ちはありませんでした。
「ま、待てっ。私たちは何も聞かされていなかった……!」
「そうよ!そいつの独断よ!」
「そちらを判断されるのは、私ではありませんから」
……すでに裏付けのあることを喚かれても、私としては風が通り過ぎていったかのよう。
楽しいことがあると聞いてきた会で、自分たちにも害が及ぶなどとは思っていなかったのかもしれませんが。
「ご安心を。報告の際には本日の名簿を交え、事実関係を正確に……できるだけ詳しく、陛下にお伝えいたします。陛下はきっと、賑やかな報告をお喜びになることでしょう」
さっきまで舞台の主役を気取っていた二人の顔からも、すべての血の気が引いていくのがありありと分かりました。
私は穏やかな微笑を浮かべたまま、ゆるりと礼を取ります。
「では、これにて私はこの場から降りさせていただきます。……どうぞご自由に、続きを」
裾を払って背を向けた私を前にしても、誰も、何も動かずにいるようでした。
何かをこれ以上発してしまっても、罪の多寡が変わるだけだと、今更知ったのかもしれません。
ただ私の足音だけが、長い広間に響き渡っていました。
「エドワード……このような派手な真似をしなければ、もう少し穏便な道もあったのかもしれませんが」
彼の横を通り過ぎる時に、少しだけ……今回のことで何がいけなかったのかを、添えてみます。
「けれどももう、こぼれたミルクを嘆いてしまっても……何もかも、今更ですのよね」
「うっ…ぐぅ……」
「え、エドワード様……っ!」
……背を向けた後ろのほうで、鈍い音が……おそらく、エドワードが膝をついたような音が。そしてマルグリットがそこに縋るような声が聞こえましたが。
もう、振り返る気持ちはありませんでした。
259
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
「可愛げがない」と婚約破棄された公爵令嬢ですが、領地経営をしていたのは私です
希羽
恋愛
「お前のような可愛げのない女との婚約は破棄する!」
卒業パーティの会場で、婚約者である第二王子デリックはそう宣言し、私の義妹ミナを抱き寄せました。 誰もが私が泣き崩れると思いましたが――正直、せいせいしました。 だって、王子の領地経営、借金返済、結界維持、それら全ての激務を一人でこなしていたのは「可愛げのない」私だったのですから。
「承知しました。では、あとはミナと二人で頑張ってください」
私は手切れ金代わりに面倒な仕事を全て置いて国を出ました。 すると、国境で待っていたのは、隣国ガルガディア帝国の冷徹皇太子ことクライド様。なぜか彼は私を溺愛し、帝国で最高の地位と環境を与えてくれて……。
婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~
ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された
「理由はどういったことなのでしょうか?」
「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」
悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる
それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。
腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています
ゆっこ
恋愛
「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」
王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。
「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」
本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。
王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。
「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」
殿下から「華のない女」と婚約破棄されましたが、王国の食糧庫を支えていたのは、実は私です
水上
恋愛
【全11話完結】
見た目重視の王太子に婚約破棄された公爵令嬢ルシア。
だが彼女は、高度な保存食技術で王国の兵站を支える人物だった。
そんな彼女を拾ったのは、強面の辺境伯グレン。
「俺は装飾品より、屋台骨を愛する」と実力を認められたルシアは、泥臭い川魚を売れる商品に変え、害獣を絶品ソーセージへと変えていく!
一方、ルシアを失った王宮は食糧難と火災で破滅の道へ……。
「出て行け!」と言われたのですから、本当に出て行ってあげます!
睡蓮
恋愛
アレス第一王子はイザベラとの婚約関係の中で、彼女の事を激しく束縛していた。それに対してイザベラが言葉を返したところ、アレスは「気に入らないなら出て行ってくれて構わない」と口にしてしまう。イザベラがそんな大それた行動をとることはないだろうと踏んでアレスはその言葉をかけたわけであったが、その日の夜にイザベラは本当に姿を消してしまう…。自分の行いを必死に隠しにかかるアレスであったが、それから間もなくこの一件は国王の耳にまで入ることとなり…。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
「毒が効かない体になるまで毒を盛られた令嬢は、復讐なんて望まない——ただ、助けもしないだけ」
歩人
ファンタジー
侯爵令嬢エレーナは、義母と義妹に3年間毒を盛られ続けた。「病弱な姉」として
社交界から消し、財産と婚約者を奪う計画——しかしエレーナには、前世の記憶から
来る毒物の知識があった。毒の種類を特定し、密かに解毒しながら「弱った姉」を
演じ続け、証拠が積み上がるのを待つ。卒業の夜会で義妹が勝ち誇るその場で、
エレーナは3年分の診断書を差し出す。「復讐? いいえ。ただ、もう助けないだけ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる