婚約者に浮気されたので、肩代わりしてた公務その他をお返しします

泉花ゆき

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するとカイン様が私たちの合間へ割って入るように一歩前に出た。レイ様もその隣を陣取り、私を咎めるような眼差しで射抜く。
私は、その滑稽な正義感に満ちた瞳たちを白けた気持ちで見返した。

「私には、彼女が自ら招いた状況を楽しんでいるようにしか見えませんけれど。あなた方の目にはいじめているように取られてしまうのですね」

「負け惜しみですかぁ?ミナ怖~い」

わざとらしく悲鳴を上げながらミナ嬢はレイ様へと抱きつき、彼もそれを満更ではない顔で受け止めている。

「ミナ、危ないから下がっているんだ……」

「はい……レイ様優しくって安心しますぅ」

長身の男二人を従えた騒がしい女が一人の人間に詰め寄っている。周囲を行き交う人々からの冷ややかな視線が突き刺さるが、ミナ嬢はそれさえ自分への羨望だと勘違いしているようだった。

「それにしても……カイン様もレイ様もですけれど。ご自身の婚約者様が、お二人の今のご様子を知ればどのようにお思いになるか……考えたことはございませんの?」

「……っ」

「ゴホンッ……」

私の静かな問いかけに、カイン様とレイ様の顔から余裕が消える。不自然な咳払いの後は、不穏な沈黙が流れた。
……彼らの背後にいるご令嬢たちが、どれほど私の前で涙を流していたか。この男たちは想像すらしていないのだろうか。

(それともはっきりと本人たちに知らしめないと分からないとでも言うの?)

「えぇ~っ!?でもでもそんなことってヴィクトリア様に関係ないですよねぇ!?」

「……そ、そうだ。無関係の人間には黙っていてもらいたい」

「それに今、そんな話をしているわけではなかっただろう……!」
 
(……いい加減に時間がないと言うのに……)

何もかもが腹に据えかねていた。ドレスをキャンセルされたことも。婚約者のいる分際で他の令嬢とスキンシップを繰り返しているこの方たちも。

……私は、このお二人の婚約者であるご令嬢方の味方をすることに、たった今腹を決める。

「そうですか。それでは関係のある方々が知るべきですわね」


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