婚約者に浮気されたので、肩代わりしてた公務その他をお返しします

泉花ゆき

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「ご自身の婚約者様を裏切り、このような場にきょうじていらっしゃること……あちらの方々にもお伝えすべきかと存じます」

「き、君に何の権限があるんだ……!?」

「そうだ、それこそ無関係だろう!」

この期に及んで言い訳を重ねようとする男性陣へ、私は逃げ道を塞ぐように言葉を重ねた。

「いいえ、大いに関係がございます。私はこの国の秩序を重んじる侯爵家の娘であり、何より彼女たちには直々に相談を受けております。誠実に暮らしている方々が不当に傷つけられているのを黙って見過ごすことは、私にとって耐えがたい行いですので」

「そ、れは……」

カイン様が言葉に詰まり、視線を泳がせる。私は次にレイ様へと視線を向けた。

「伝える権利があるか否かではなく、彼女たちには知る権利があるのです。裏切りを隠して笑顔で隣に立つことが、どれほど残酷なことか……」

ただ事実を述べているだけ。だというのに、その事実の虚しさが私の心にまで響くようだった。

「私が彼女たちへ今日の行いをお伝えすると……その言葉で焦りを感じるほど、よろしくない行いをしているご自覚があるのでしょう?でしたら、最初からこのような破廉恥な真似をなさるべきではありません。まして自らの欲を優先した結果を、他人の不寛容のせいにされるだなんて……」

「ぐっ……」

「正義の味方のつもりでミナ嬢を守っているおつもりでしょうが……その足元で誰が血を流しているのか、よくご覧になってください。あなたたちが彼女ミナ嬢に捧げているその甘い言葉の数々は本来、帰りを信じて待っている婚約者の方々へ向けるべきものでしょう」

私がすべてを伝えて突き放すとカイン様とレイ様は顔面を蒼白にさせ、ぐうの音も出ない様子で立ち尽くした。自分たちの行動が招く現実的な破滅……家同士の繋がりの解消や、社交界での失墜。それをようやく理解し始めたのだろう。

(今までどれほど彼女たちが慈悲深く、貴方たちのことを信じていたのか……そう考えると、本当に遅すぎるくらいですけれど)

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