婚約者に浮気されたので、肩代わりしてた公務その他をお返しします

泉花ゆき

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「中身がないって何!?私は一番愛される存在のはず……っ、大体ヴィクトリアにはジェラルド様がいるのに何なの!?この浮気もの!」

「は……」

あまりの言いように、ジークフリート様の後ろにいながら私の声がもれてしまう。

(誰が浮気ものだというのか。あなたが他でもないジェラルド様と不貞を働いているのに?それにカイン様とレイ様まで連れ出して……)

……しかし私が何かを言う前に、ジークフリート様の声が響いた。

「……どの口が言っているのか分からないが。私はあくまでヴィクトリア嬢の買い物へ同行しようとしているだけだ。君がそこの二人にされているのことならばともかくとして、誤解されるところなど何もない」

さすがに一言お伝えしようかと思ったが、ジークフリート様がすべてを代弁してくれているので黙っていることにする。

「「……」」

引き合いに出された騎士団長の息子と宰相の息子は、気まずそうに顔をしかめて目を逸らすだけだ。

「私が敬うのは苦境にあっても気高く立ち、自らの足で歩もうとするヴィクトリア嬢ただ一人。例え彼女に不実な婚約者がいようとも、私の献身が変わることはない」

(……ジークフリート様……)

私とジークフリート様は同じ二人へと戒めを与えるべく行動している。……だから、ミナがショックを受けるよう多少大げさに言ってくれているのは分かっているのだけれど。
それでも、評価をしてくださっている気持ちがありがたかった。 

「ジークフリート様……騙されてるのよ……その女がどれだけ性悪で、高慢で意地悪で、何の面白みもない女なのか知らないから……!」

彼は深く息を吐いた。もはやこうして話していることも煩わしいというのが態度からありありと伝わってくる。
ミナが話が通じないと見て、声を掛ける相手を変えたようだった。

……恐らく相手方からは、標的が変わった、と思われるだろう声音。

「……卿等けいらはこの者と過ごすことで、何の違和感も覚えていないというのか。正気でものを言っているとは、にわかに信じがたいが」


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