転生プログラマのゴーレム王朝建国日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~

堀籠 遼ノ助

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第6章 呉との闘い

92 魔導列車完成②

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 俺たちを先導していたミニゴーレムが、龍街の正門から少し行った所で止まる。
 俺を振り返り、小さい手でそれを指し示した。なんとなくどや顔である。

「おー、なにやらこそこそと作っていると思ったら。ずいぶんでかいガラクタじゃのう」

「ふふふ。文明の力が理解できんとは哀れよのう鈴音」

 まあ、この世界で生きてきた鈴音に理解しろというほうが難しいか。
 
 今俺の目の前にはレトロチックな蒸気機関車風の乗り物がででーんと構えている。先頭の動力車には運転席が設けられており、ミニゴーレムが3体ほど乗り込んでいる。彼らの仕事は運転席の天井からぶら下がる紐を引くこと。大きな音と共に蒸気を噴出すことが出来る。
 だが、あくまで蒸気機関車風、なのだ。こいつは蒸気ではなく、単純にゴーレムの力で動いている。
 この列車自体が、巨大なゴーレムなのだ。車輪型に変形させた足をくるくると回して動くのである。ちなみに、連結している5つの客貨車と2つの貨物車もゴーレム製で、車輪は自力で回る。動力車だけで引っ張るのには力不足だったからだ。
 
 なので、本当は動力車が無くても列車は動くし、水魔法で再現した蒸気もまったく必要ない。
 ただの魔力の無駄使い、完全に趣味である。

「それで、これはなんなんじゃ?」

「これは大量の人と物を運ぶために連結した車みたいなものだよ。そうだな……魔導列車とでも呼ぼうかな。ほら、地面にまっすぐレールが敷かれているだろ。そこを魔導列車が走るんだよ」

「ほう。転生者ならではの発想じゃな」

「これさえあれば、5分で森谷村に帰れるんだぜ」

 最高時速300kmを誇る魔導列車だから出来る芸当だ。風魔法で空気抵抗を0に。おかげで振動もまったく無い快適な旅を提供できるのだ。

「半日かかる行路が5分か。なかなかすごいではないか。のう千春?」

「…………」

 あれ? 千春さんがノーリアクションだ。おかしいなあ、魔術ジャンキーの千春さんなら食いつくと思ったのに?

「千春? どうして魚みたいに口をパクパクさせとるんじゃ?」

「……な……な……な!」

 あ、違ったこれ。驚きすぎてリアクション取れないパターンだ。
 
「なんですか! なんですかこれ! どうやって動くんですこれいや自分で分析してみます。車輪に溝がありますね。そうか、この溝がレールに嵌って進むわけですか。しかし動力源は……まさかこれすべてゴーレム? そんな馬鹿な。この車輪がすべてゴーレムの力で動いているとしたらとんでもない魔力量が必要に。巧魔氏なら可能か? いやしかしどうやって供給を……あ、ジャイアント・ゴーレムですです! あれから魔力を供給するです! そうですね巧魔氏!」

 だめだ、千春さんが完全にトリップモードだ。これは長くなるぞ。
 俺は千春さんからの質問攻めに30分程耐えたあと、ようやく馬車に乗り込む事が出来た。
 
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