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第6章 呉との闘い
93 思わぬ事件勃発
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列車は森谷村に近づくとブレーキをかけてスピードを落とし、止まる。
止まるときにプシューっと大量の蒸気をはいたのは俺の拘りだ。想像通りの出来栄え。余は満足じゃ。
列車を降りると、そこには新たに建設された駅が設置されていた。猿彦さんにお願いしておいたのだ。
「ほう、なかなか広いのう。でもこんなに広くする意味はあるのか?」
15両編成の列車でも止まれる広さの降車エリアが正面門に連結されている。
「利用客が増えても対応できるように広く作ってもらったんだ。今列車は8両編成だけど、15両編成の列車でも止まれるようにしてあるよ」
「道はそっちに繋がってるようじゃが、どうやって森谷村に入るんじゃ? 確か前は正門から入るしかなかったはずじゃが」
「そっちの道が正門に繋がってるんだ。道の終わりに切符を渡して出るようになってる」
切符の料金は龍街からここまで往復で銅銭1枚。日本円にして約1000円ほどの価格。
少し高いかとも思ったが、馬車で6時間かかる道のりを考えれば安いほうだろう。タイムイズマネーだからな。
正面門に行くまでにも広いスペースを確保してあるので、ゆくゆくはお土産スペースとして活用できるだろう。
家の近くまで行くと、おばちゃんが出迎えてくれた。
「若旦那じゃないか! 久しぶりだねえ。どうしたんだい突然?」
「お久しぶりです。列車の走行テストをしていたのですが、ついでに皆さんに顔を出しておこうと思いまして。皆さんお変わりないですか?」
「……もしかして、乙葉ちゃんのこと、何も聞いていないのかい?」
乙葉は俺の幼馴染だ。彼女は森谷村を出発する前、魔力が暴発してしまう事故を起こしてしまっていた。
「まさか、また乙葉ちゃんの魔力が暴発して怪我をしてしまったとか?」
「それならまだよかったんだけどね。……行方不明なのさ。若旦那が龍街に行った次の日からね」
「そんな……だって父さんからもそんな知らせは」
くそっ! もし分かっていたらすぐにでも戻ってきていたのに。こんなことになるなら一緒に連れて行けばよかった。
「……父さんは?」
「ああ、中にいると思うよ」
俺は急いで家に向かうと、ドアを勢い良くあけた。
「おう、巧魔か。 おかえり――」
「父さん、どういうことですか!」
「……乙葉ちゃんのことか」
「そうですよ! もし分かっていたらすぐにでも戻ってきたのに!」
俺がそう言うと、父さんはふっと笑った。
「お前ならそう言うと思ったよ。だから言わなかったんだ。お前なら王様の依頼も投げ出して戻ってきちまうってな」
「……当たり前です。森谷村に何かあっては困りますから」
おれのメガスローライフを実現するためにも、この村には何が何でも守らなくてはいけない。一人だって不幸にしてはいけないのだ。
「まあ、知られちまったからには仕方ないな。やるなと言ってもお前はやるやつだ。お前にも捜索を手伝ってもらおう」
止まるときにプシューっと大量の蒸気をはいたのは俺の拘りだ。想像通りの出来栄え。余は満足じゃ。
列車を降りると、そこには新たに建設された駅が設置されていた。猿彦さんにお願いしておいたのだ。
「ほう、なかなか広いのう。でもこんなに広くする意味はあるのか?」
15両編成の列車でも止まれる広さの降車エリアが正面門に連結されている。
「利用客が増えても対応できるように広く作ってもらったんだ。今列車は8両編成だけど、15両編成の列車でも止まれるようにしてあるよ」
「道はそっちに繋がってるようじゃが、どうやって森谷村に入るんじゃ? 確か前は正門から入るしかなかったはずじゃが」
「そっちの道が正門に繋がってるんだ。道の終わりに切符を渡して出るようになってる」
切符の料金は龍街からここまで往復で銅銭1枚。日本円にして約1000円ほどの価格。
少し高いかとも思ったが、馬車で6時間かかる道のりを考えれば安いほうだろう。タイムイズマネーだからな。
正面門に行くまでにも広いスペースを確保してあるので、ゆくゆくはお土産スペースとして活用できるだろう。
家の近くまで行くと、おばちゃんが出迎えてくれた。
「若旦那じゃないか! 久しぶりだねえ。どうしたんだい突然?」
「お久しぶりです。列車の走行テストをしていたのですが、ついでに皆さんに顔を出しておこうと思いまして。皆さんお変わりないですか?」
「……もしかして、乙葉ちゃんのこと、何も聞いていないのかい?」
乙葉は俺の幼馴染だ。彼女は森谷村を出発する前、魔力が暴発してしまう事故を起こしてしまっていた。
「まさか、また乙葉ちゃんの魔力が暴発して怪我をしてしまったとか?」
「それならまだよかったんだけどね。……行方不明なのさ。若旦那が龍街に行った次の日からね」
「そんな……だって父さんからもそんな知らせは」
くそっ! もし分かっていたらすぐにでも戻ってきていたのに。こんなことになるなら一緒に連れて行けばよかった。
「……父さんは?」
「ああ、中にいると思うよ」
俺は急いで家に向かうと、ドアを勢い良くあけた。
「おう、巧魔か。 おかえり――」
「父さん、どういうことですか!」
「……乙葉ちゃんのことか」
「そうですよ! もし分かっていたらすぐにでも戻ってきたのに!」
俺がそう言うと、父さんはふっと笑った。
「お前ならそう言うと思ったよ。だから言わなかったんだ。お前なら王様の依頼も投げ出して戻ってきちまうってな」
「……当たり前です。森谷村に何かあっては困りますから」
おれのメガスローライフを実現するためにも、この村には何が何でも守らなくてはいけない。一人だって不幸にしてはいけないのだ。
「まあ、知られちまったからには仕方ないな。やるなと言ってもお前はやるやつだ。お前にも捜索を手伝ってもらおう」
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