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本編
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その夜ーーー。
まんじりともできぬまま、ベッドに身を横たえて過ごしていた私の部屋にノックの音が響いた。
「ユーファミア様、失礼いたします!」
いつもなら私が起きるか返事するまで侍女たちは入ってこない。飛び起きた私もすぐに状況を理解した。
殿下の魔力暴走発作だ。
立ちあがろうにも、足を怪我している私は誰かの助けを得なければ歩けない。侍女が2人、ベッドに駆け寄ってきた。
「ユーファミア様、お急ぎください。殿下が……」
「わかっています。手伝っていただけますか?」
幸い片足は無事だ。女性でも支えてもらえればどうにかなる。立ち上がったところで、私ははた、と気がついた。昼間、意識のない間にここに運ばれた私は、夜着に着替えさせられていた。以前殿下の前にこのような姿で出向いてしまったときの状況を思い出すけれど。
「着替えている時間はないわよね」
私の呟きが聞こえたのか、侍女のひとりが「上着をお持ちしましょう」とクローゼットに走った。私の肩に大判のショールがかけられる。仕方ない。これで許してもらうしかない。
ここ2週間ほど発作がない状態が続いていたこともあり、完全に油断していた。なぜ意識が戻った段階で着替えなかったのだろう。ここにも、あの詰襟のワンピースは持ってきているというのに。
片足を引きずりながら部屋を出ると、近衛や侍従たちの姿があった。女性としてこのような姿を見られることも大問題だが、それどころではない。
ゆっくり歩きながら殿下の居室に入る。どうやら寝室にいらっしゃるようだ。それにしてもーーー私は殿下付きの侍従に歩きながらひとつの疑問を投げかける。
「あの、私は気をつけていたつもりなのですが、殿下のベルが聞こえなかったようです。申し訳ありません」
「いえ、おそらく殿下はベルを鳴らされてはいません。寝室から異音が聞こえ、私が声をおかけしても返事がなかったので気がつけたのです」
「まぁ、なぜそんなことに……」
「わかりません。ベルを鳴らす暇もないほど急激に発作が始まったのかもしれませんが……」
侍従はそれ以上、口を噤んだ。その言外の意味をとれぬほど私も愚かではない。
(私が怪我をしているのを気遣って、呼ぶのを遠慮したのだわーーー)
それは寝室に入って、ベッドに埋もれる殿下の姿を見ても明らかだった。魔力のコントロール力が身に付いてきたこともあって、発作自体の回数も減り、内容も軽度になってきていたはずだ。それが今夜は、意識が朦朧として返事も返ってこないほどひどく憔悴していた。
「すぐに治療を」
「あの、私どもはどういたしましょうか」
いつもなら夜の治療は私と殿下の2人だけだ。それが殿下の要望でもあった。だが今は私が怪我をしていることで、皆が気を遣ったようだ。
ベッド脇に座る私。膝を立てる分には足首は使わなくてすむし、なんなら片足で自身を支えるくらいは問題ない。
「たぶん大丈夫です。外していただけますか」
「かしこまりました。何かあれば及びください」
そうして寝室に2人きりになった。
まんじりともできぬまま、ベッドに身を横たえて過ごしていた私の部屋にノックの音が響いた。
「ユーファミア様、失礼いたします!」
いつもなら私が起きるか返事するまで侍女たちは入ってこない。飛び起きた私もすぐに状況を理解した。
殿下の魔力暴走発作だ。
立ちあがろうにも、足を怪我している私は誰かの助けを得なければ歩けない。侍女が2人、ベッドに駆け寄ってきた。
「ユーファミア様、お急ぎください。殿下が……」
「わかっています。手伝っていただけますか?」
幸い片足は無事だ。女性でも支えてもらえればどうにかなる。立ち上がったところで、私ははた、と気がついた。昼間、意識のない間にここに運ばれた私は、夜着に着替えさせられていた。以前殿下の前にこのような姿で出向いてしまったときの状況を思い出すけれど。
「着替えている時間はないわよね」
私の呟きが聞こえたのか、侍女のひとりが「上着をお持ちしましょう」とクローゼットに走った。私の肩に大判のショールがかけられる。仕方ない。これで許してもらうしかない。
ここ2週間ほど発作がない状態が続いていたこともあり、完全に油断していた。なぜ意識が戻った段階で着替えなかったのだろう。ここにも、あの詰襟のワンピースは持ってきているというのに。
片足を引きずりながら部屋を出ると、近衛や侍従たちの姿があった。女性としてこのような姿を見られることも大問題だが、それどころではない。
ゆっくり歩きながら殿下の居室に入る。どうやら寝室にいらっしゃるようだ。それにしてもーーー私は殿下付きの侍従に歩きながらひとつの疑問を投げかける。
「あの、私は気をつけていたつもりなのですが、殿下のベルが聞こえなかったようです。申し訳ありません」
「いえ、おそらく殿下はベルを鳴らされてはいません。寝室から異音が聞こえ、私が声をおかけしても返事がなかったので気がつけたのです」
「まぁ、なぜそんなことに……」
「わかりません。ベルを鳴らす暇もないほど急激に発作が始まったのかもしれませんが……」
侍従はそれ以上、口を噤んだ。その言外の意味をとれぬほど私も愚かではない。
(私が怪我をしているのを気遣って、呼ぶのを遠慮したのだわーーー)
それは寝室に入って、ベッドに埋もれる殿下の姿を見ても明らかだった。魔力のコントロール力が身に付いてきたこともあって、発作自体の回数も減り、内容も軽度になってきていたはずだ。それが今夜は、意識が朦朧として返事も返ってこないほどひどく憔悴していた。
「すぐに治療を」
「あの、私どもはどういたしましょうか」
いつもなら夜の治療は私と殿下の2人だけだ。それが殿下の要望でもあった。だが今は私が怪我をしていることで、皆が気を遣ったようだ。
ベッド脇に座る私。膝を立てる分には足首は使わなくてすむし、なんなら片足で自身を支えるくらいは問題ない。
「たぶん大丈夫です。外していただけますか」
「かしこまりました。何かあれば及びください」
そうして寝室に2人きりになった。
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