追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

文字の大きさ
6 / 44

6話 操作

しおりを挟む
 
「魔力操作が苦手?」
「……はい」

 どうしてこんな大惨事になったのかエマを問い詰めたらやっと縮こまりながらも白状した。
 魔力操作が苦手っていっても……普通こうはならないでしょ!?

 初級炎魔法で周囲を火の海にしたかと思ったら、今度は初級水魔法で火の海ごと津波で流し込んだ。
 おかげで、エマの魔法を使った所はまるで災害でも起きたかのように更地に変わり果てていた。

「ううう……し、仕方ないでしょ! どうしても魔力を込めすぎちゃうの!! 細かいコントロールなんて難しくて出来ないのよ!!!!」
「込めすぎって……、逆にあれだけの魔力を消費して疲れてないの?」

 魔法使いは体内にある『魔力』というエネルギーを変換して魔法を放つ。
 この『魔力』はほとんどの人に備わっていて、様々な魔法や技術に使用されている。

 ちなみに職業ジョブが『呪詛師』の僕は魔力をほとんどもっていないから魔法を使うことが出来ないけどね。
 その代わり、『呪力』という魔力とは似て非なる力を使って『呪い』を発動している。

「それが、アタシの体内魔力って並の魔法使いの五十倍以上あるらしいの。だから、魔力切れになることがないのよ」

 ご、五十倍!?
 それが本当なら凄すぎる。

 それに、それだけの魔力があれば、あれほどの魔法を連続で発動しても、こうして普通にしていられるのも納得できる。

「うう、どうせアンタも呆れてるでしょ? 魔力をろくにコントロール出来ない魔法使いなんて役立たずだもんね!」
「いや、そんな事は思っていないよ」

 そりゃあ、あれだけの大規模魔法を見て驚きはしたけどね。
 でも、少なくともさっきの戦闘はエマのおかげで勝てたんだ。

 感謝こそすれ、役立たずだなんて思うはずがない。
 ……まあ、やり過ぎだったとはちょっと思うけど。

「嘘をつかなくていいわよ!! 昔いた魔法学園も、最初は『学園創立以来の天才が入学してきた!』ってチヤホヤしてたのに、アタシが魔力のコントロールできないって分かると一年で退学させられるし……」

 魔法学園……『成人の儀』の時に職業ジョブが『魔法使い』って告げられた人が行く学園だったはず。
 確か、三年間は魔法の基礎や知識を学ぶはずだけど、まさかエマがそこを一年で実質追放クビになってただなんて……。

「仕方ないから冒険者を目指しても、今まで所属したパーティーは全部『君はまるで歩く災害だ。一緒に戦うなんて不可能だよ』って言ってアタシを追放するし!」

 この口ぶりだと、エマがパーティーを追放されたのって一回ですまなかったのかな。

「ちなみに、何回くらい追放されたの?」
「五回よ!! 悪い!?」

 ご、五回!?
 あんなに辛い思いを五回もしてるだなんて……想像するだけで心がえぐれていく。

 僕はたった一度の追放を言い渡されただけで全身の血の気が引いて目眩めまいや冷や汗が止まらなかったのを、まるで昨日の事のように思い出す。

 それにしても『歩く災害』か……それに関しては言い得て妙だなぁと思う。
 エマの魔法の威力は地形をいとも容易く変えてしまうほどだ。

 冒険者の戦闘は連携が命だけど、エマの魔法では連携をとることはほぼ不可能に近い。


「どいつもこいつも、最初は優しくしてくれたのに、アタシが魔法を使うたびにドン引きしだすのよ!!」

 多分、今までエマが組んだパーティーはエマの魔法使いとしての実力を欲していた訳じゃなくて、きっとエマの顔やスタイルが目当てだったんじゃないかと思う。


 普通、一度でも追放された冒険者は次のパーティーを見つけるのすらままならない。
 だけど、エマはこれまで五回もパーティーに勧誘されている。

 エマは黙っていれば間違いなく美少女だ。
 それで、出会い目的の男性冒険者はエマと仲良くなりたいから、追放された過去なんて考えずにエマをパーティーに入れてたんじゃないかな。

 そして、結果的にエマの破壊的な魔法を目の当たりにして、命の危険を感じエマを追放する……そんなループがこれまで続いていたんじゃないかと予想する。

「ぐすっ……ぐすっ……、ア、アタシはただ、魔法使いとしてみんなの役に立ちたいだけなのに……。どうせアンタもアタシの事、追放クビにする気なんでしょ!? アタシはもう、誰ともパーティーを組めないのよ……」

 ついにエマが涙ぐみながら落ち込む。
 確かにエマの魔法の威力や規模は連携には向いていない。

 僕とパーティーを解散したとして、この先また新しいパーティーを組むのは難しいかもしれない。

 だせどエマは一つ大きな勘違いをしている。

「大丈夫だよ。僕は君を追放なんてしないから」

 この先パーティーメンバーから見捨てられることがあったとしても、僕からパーティーメンバーを見捨てるなんて事は絶対にしない。
 それだけは断言できる。

 これは『紅蓮の不死鳥』を追放された時に決めた、たったひとつの矜持だ。

「う、嘘よ!?」
「本当だよ。それに僕も一人じゃ戦えないポンコツだから、この先もエマさんの力を貸してくれると嬉しいな」

「なっ……えっと……うん。……ありがと」

 エマは戸惑いながらもお礼を僕に言ってくる。
 やっとエマと本当の仲間になれた気がするよ。

「……『エマ』でいいから」
「えっ? どういう事?」
「だからっ! アタシの呼び方! 仲間なんだから『エマ』でいいわよ」

 これまで呼び方は『さん』付けさせてたのに、呼び捨ての許可までもらった。
 これは、多少は心を開いて貰ったってことでいいのかな?

「ふふっ。なら改めてよろしくね、エマ!」
「な、なに笑ってんのよ!」
「いや、だって、素直になったエマがおかしいんだもん」
「っ……! うるさいわよ、ノロワ!!」

 ……あっ、そういえばエマとパーティーを組んでから初めて僕の名前を呼んでもらった気がする!
 うわっ、こんな事がすごく嬉しい。


「それじゃあそろそろ帰りましょうか」
「あっ、ちょっと待ってもらっていい?」

 エマの言う通り、薬草収集は終わったしこれ以上ここにいる理由はない。
 エマは帰宅の準備を始めようとするけど、僕はそれを静止する。

「まだ何かあるの?」
「エマに頼みたい事あるんだけど、いいかな?」
「何? アタシに出来ることならなんでもするわよ!」

 本当にエマの態度が軟化したと思う。
 なんでもするなんて、出発した時のエマからは想像もつかないセリフだ。

 うんうん、分かるよ。
 仲間から頼られるのって嬉しいよね!

 僕は心の中で大きく頷く。

「それじゃあ試したいことがあるから……ちょっと脱いでもらっていい?」
「……は?」

 エマの目からハイライトが無くなる。
 ……うん、我ながら完全に言葉を間違えた気がする。

 エマにちゃんと説明をしようとすると、その前にエマは体を震わせながら僕に近づいてくる。

「……へ」
「へ?」
「変態!!!!」

「ぶべらっ!!??」

『バチンッ!!』と頬を叩かれた音が森中に広がる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。 死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった! 呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。 「もう手遅れだ」 これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...