追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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14話 作戦

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「うっ……わぁぁぁぁ!」

 狼型モンスターはケイネス達を襲い、弄ぶ。

「ひっ、ひぃぃぃ」
「痛い……痛いよぉ……」
「なんで私達がこんな目に」

 ケイネス達も始めは抵抗していたが、狼型モンスターには剣も魔法も通用せず、いとも容易く敗北し、今は地べたを這いつくばっている。

 不幸中の幸いだったのは、ケイネス達と狼型モンスターには力の差がありすぎた事。
 狼型モンスターにとってケイネス達は敵として認識されていないようだ。
 だからこそ、狼型モンスターは遊んでいるんだろう。

 自身の爪でケイネス達を転がしながら楽しんでいるようにも見える。

 強者の気分次第でいつでも命を奪われてしまうのは、ケイネス達にとってはまるで地獄のような時間だっただろう。
 ……うん、僕だったら生きた心地がしない。

 だけど、そのおかげで僕とエマはしっかりと打ち合わせをすることができた。

 エマもこっそりと移動し、指定した位置に到着したようだ。

 これで準備整ったね。
 ……よし、救出開始だ!!

 僕は狼型モンスターに向けて杖を向ける。

『呪い』の最大のメリットは、命中率にある。
 呪う対象を僕が視界に収めてさえいれば、ほぼ確実に呪うことが可能。
 つまり、文字通りの必中って訳だ。

 今回狼型モンスターにかける呪いは三つ。

『敏捷力低下』と『防御力低下』というステータス低下の呪いデバフ
 その際の代償として、呪った対象の倍以上のデバフが僕にかかるけど、今回僕は後方で隠れているから大した問題じゃない。

 そして、もつひとつ……強力な呪いも重ねがけさせてもらう!
 その『呪い』の名は……!

「『暗闇の幕劇ブラックカーテン』!!」

『暗闇の幕劇』の効果は視覚の剥奪。
 その代償として、呪いをかけている間、僕は視覚、味覚、嗅覚、触覚の四つの感覚を失ってしまった。

「グルッ!?」

 唯一残った聴覚が狼型モンスターの声を聞き取る。
 どうやら突然視覚を奪われて困惑したようだ。

 だけど、これで充分!!


「炎魔法……『煉炎爆槍フレア・ジャベリン』!」

『煉炎爆槍』……確か中級の炎魔法で、炎で創られた槍を放つ魔法だったはず。
 計画通り、僕が狼型モンスターの気をそらしている間に、エマが魔法で攻撃をしてくれた。
 エマは呪紋で魔力出力を抑えているが、それでも威力と速度は申し分ない一撃のはずだ。

 今の狼型モンスターは僕の呪いで防御もスピードも落ちている。
 これが当たれば勝機が見えてくるはずだ!

「グルァッ!!」
「……っ!? ごめん、ノロワ、避けられた!!」

 ダメージを負って逃げてくれれば最高だったけど、やっぱりそう上手くはいかないか。
 どうやら狼型モンスターは視界を奪われながらも魔力の気配を察知し、咄嗟に回避行動に移ったようだ。

 そうこうしてるうちに、僕の感覚が元に戻っていく。
 つまり『暗闇の幕劇』の効果も解除してしまった訳で……。

 これで狼型モンスターにも僕とエマの存在がバレてしまった。

 狼型モンスターは警戒した様子で僕たちに睨みを効かせる。
 どうやら完全に僕たちを敵として認定されてしまったようだ。

「グ……ルゥゥゥゥ!!」

 狼型モンスターは牙を剥き、威嚇しながら、ゆっくりと間合いをとりだす。
 攻撃された事に激昂してすぐに襲い掛かるような単細胞だったらどれだけ楽だっただろう。

 予想通り、このモンスターはただ強いだけじゃなくて高い知性を持っているようだ。

 エマの攻撃魔法はもちろん、僕から突然受けた呪いを警戒しているように見える。
 だけど今回はその警戒心を利用させてもらうよ!

「エマ! 今のうちだ!!」

 僕は狼型モンスターとエマの間に立ち、指示を飛ばす。
 モンスターが警戒して距離を取った今が最大のチャンスだ!

 僕はエマとの計画を思い浮かべる。

 ◇◆◇◆◇

「多分最初の攻撃は失敗すると思う。だけど、僕たちのことを警戒して距離をとる可能性も高いはずだ。その場合、エマはこの『帰還の魔石』を使ってケイネス達ごと転移してくれ」

 僕はカバンから魔石を取り出してエマに渡す。

「だけど、転移を開始してから終えるまで数秒かかるわよね。そんな時間、あのモンスターが待ってくれるかしら?」
「それは大丈夫。僕が間に入ってあのモンスターの動きを止めるから。エマはその間に転移をしてくれれば大丈夫だよ」

「……っ!? 全然大丈夫じゃないわよ!! それってノロワを囮にしてアタシ達は逃げろって事でしょ!? こんな作戦、絶対に認めないわよ」

 エマが激昂した様子で僕に詰め寄る。
 カッとなっても声を殺しているあたり、頭はまだ冴えているようだ。

「大丈夫だって。これでも僕は元Aランクの冒険者だよ? 事前準備は完璧さ」

 僕はアピールのため自分のカバンを叩く。

「ギルドから配布された『帰還の魔石』以外にも自前で魔石を用意しているから、エマ達が離脱したのを確認したら僕もすぐに離脱するよ」
「でもっ……」
「足止めや妨害は『呪い』の専売特許だし、エマはケイネス達を守ってあげてほしい。それに、これが全員が生き残る可能性が一番高い作戦なんだ」

 僕たち全員が魔石を使って一度に転移しようとしたら狼型モンスターは全力で妨害をしてくるだろう。
 転移する際は集中して魔力を込める必要性がある以上、どうしても転移する直前の数秒間は無防備になってしまう。
 だけど、僕がモンスターの注意を引きつけてさえいれば、エマ達は離脱する際に邪魔されるリスクは極限まで減る。

 エマと協力して、あのモンスターと戦うって選択肢が無いわけでもないけど……エマを危険にさらしたくはない。
 これがベストの選択なはずだ。

「……わかった、ノロワを信じる。でも……だけど……絶対ノロワも無事に逃げてね!」
「うん。僕も死にたくないし全力で逃げるよ。約束する。……それじゃあそろそろ打ち合わせ通りに動こうか。これ以上時間をかけるとケイネス達が殺されちゃう」

「ええ。絶対にみんなで助かろうね!」

 そう言うと、エマはこっそりと僕が指定した場所まで移動を始める。
 ……うん、絶対にエマのことは助けるからね。

 ◇◆◇◆◇

「動ける人は動けない人を連れてアタシの所まで集まって! すぐにっ!!」
「あ、あんたは……」
「魔石を使ってここから離脱するわよ! 急いでっ!」

 後方でエマがケイネス達に指示を飛ばす。
 よし、ここまでは計画通りだ。

 あとは……。
「ガルァッ!? グッギャャアアア!!」

 僕がこいつを抑えるだけだ。

 エマ達が逃げることを察したモンスターの前に、僕は立ち塞がる。

「おっと、行かせないよ? ……僕の後ろには守りたい人がいるからね」

 さぁ、全力で足を引っ張らせてもらおうか。
 生憎だけど、足を引っ張ることに関しては自信があるぞ!!
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