追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

文字の大きさ
18 / 44

18話 結末

しおりを挟む
 
「……ここは?」

 目が覚めると見知らぬ天井が目に入ってきた。
 硬い洞穴の床で倒れたはずなのに、なぜか僕は今、柔らかいベッドの上にいる。

 ……一体、何がどうなっているんだ?

「ここはギルドの医務室ですよ」

 今置かれている状況がわからず困惑していると、横か聞き慣れた声がする。

「ロゼさんっ!?」
「おはようございます、ノロワ君。気がついて良かったです」

 ギルドの受付嬢でもあるロゼさんが横たわっている僕の横にいた。
 ここがギルドの医務室なら、ロゼさんがここにいるのも分かるけど、そもそもなんで僕が医務室のベッドに寝てたんだ?

 ……あっ!?
 そんな事よりも大切なことがある!

「エマは……僕の仲間は無事ですか!?」

 身を乗り出した僕をロゼさんは落ち着かせるようになだめてくる。

「落ち着いてください。エマは無事ですよ。そろそろお見舞いにくるんじゃないですか?」
「そう……ですか」

 ロゼさんの言葉で僕は安堵して力が抜ける。
 ああ、良かった……本当に良かった。

 呪いの代償はデカかったけど、体を張った甲斐があったよ。

「今はエマよりもノロワ君の体調ですよ。ノロワ君、三日も寝込んでたんですよ?」
「三日もですか!?」

 まさかそんなに寝ていただなんて……。

「痛みで気を失っているのに、体には傷や怪我がないから治療もできなかったですしね」

 そりゃあ僕のダメージは『呪い』による代償によるものだからね。
 ポーションや回復魔法なんて全く効果がない。

「そうですね……エマがいつも来るお見舞いの時間までもう少しありますから、それまでノロワ君が気を失ってからどうなったのか説明しましょうか?」

「はい、お願いします」

 最優先事項である仲間エマの安否は確認できたけど、それ以外にもケイネスや狼型モンスター、それに試験結果についても色々と気になることは多い。
 僕は素直にロゼさんの提案に乗ることにした。

「まずはノロワ君達が守ってくれたケイネスさん達はパーティーメンバー全員無事ですよ。ただ、ノロワ君と違って外傷がひどかったので全員病院で入院してますけどね」

「そっか、ケイネス達は無事だったんですね」

「はい。意識はハッキリしてますし、みんなノロワ君達に感謝してましたよ」


「ははっ。それなら命を張った甲斐がありましたよ」


 まあ、本当のことを言うと僕は仲間の命惜しさに彼らを見捨てようとしたんだけどね。
 感謝するなら僕じゃなくてエマにだけするべきだと思うけどね。

「そうですね。それに、ケイネスさん達が『帰還の魔石』で転移してきた際、経緯を説明してくれたのですぐに救助隊を派遣できました」

 なるほど。
 つまり、ケイネス達が救援を呼んでくれたおかげで僕はこうして救助されたのか。

 そこだけは感謝しないとね。

「それと、ノロワ君達が遭遇した狼型モンスターは新種に認定されました。戦闘ランクはBランクのボス級です」

 この世界のモンスターには僕たち冒険者同様に戦闘ランクが付けられている。
 更にダンジョンの難易度は、出現するモンスターの戦闘ランクによって決定されている。

 やっぱり、あのモンスターは新種だったか。
 あんなモンスターが存在するなら噂くらいは聞こえてきてもおかしくないもんね。

 それにしてもBランクのボス級か……。
 実際、あのモンスターは僕が以前所属していた『紅蓮の不死鳥』時代に攻略したBランクダンジョンのボスモンスターと遜色ないスペックはしていたしね。

 だから、そのランク付けは妥当だろうけど、エマと僕の二人でよく生き残れたなぁ……。

「そのランクの影響で、『始まりの洞穴』の新エリアは禁止区域に指定され、Bランク以上のパーティーがギルドを通した場合のみ通行できるようにしました」

「そうですね、僕もその方がいいと思います」

 新エリアの道中に出てくるモンスターは弱かったけど、狼型モンスターだけは別格だったからね。
 新エリアだけを禁止区域にしておけば、他の部分は今まで通りEランクダンジョンとして新人冒険者の腕試しとして活用できる。

「最後に、受験者達より先行して索敵していたAランクパーティーですが、ノロワ君達より先に新種のモンスターと戦闘し、敗北、そして逃走していました。そして、その彼らには結果罰則ペナルティが与えられます」

罰則ペナルティですか? でも、狼型モンスターがBランクのボス級って認定されたならAランクパーティーでも負けることはありますよね?」

 やっぱり狼型モンスターが事前に傷を負っていたのは、Aランクパーティーとやりあった後だったからか。

 Aランクパーティーなら、これまでいくつものBランクダンジョンを踏破してきただろう。
 だけど、その中で敗北や失敗も数多くしてきたはずだ。

 敵は新種で戦闘力や性質すら未知数だった。
 いくらAランクパーティーでも敗北する可能性は十分にあるはずだと思うけど……。

「彼らの場合、クエストを失敗した事自体は問題じゃありません。彼らは『帰還の魔石』で逃走した際、自身の敗北を知られたくないばかりに報告の義務を怠ったのが原因です」

「……なるほど」

 その理由なら納得だ。
 大方、余裕だと思っていたクエストで失敗したのがバレたら恥ずかしいとか思ったのだろうか?

「そのせいで救助隊の初動が遅れてしまいましたからね! 罰則ペナルティは当然です!」

 珍しくロゼさんが怒っているようだ。
 まあ、そのAランクパーティーは冒険者としての義務を怠った訳だしね。

 それにしても、Aランクまで駆け上がったパーティーがこうなる事を見越さないなんて、ちゃっと意外だな。
 クエスト失敗がそんなに悔しかったのだろうか?

「ちなみにその罰則を受けるAランクのパーティー名は『紅蓮の不死鳥』……ノロワ君が以前所属していたパーティーですよ」
「えっ!?」

 よく知っているパーティー名を聞いて思わず驚きの声をあげてしまう。
 そっか……あいつらだったのか。

 そして、驚きと同時に納得もしてしまう。

 プライドの高いあいつらなら、クエスト失敗だなんて認められないだろう。

「ノロワ君の担当としてはちょっと胸の溜飲が降りましたけどね。……っと、今のはギルド職員として公平性に欠けた発言でした。忘れてくださいね!」

「ははっ、分かりましたよ」

 うん、正直僕もあいつらが罰則を受けるときいてちょっと『ざまぁ』と思ってしまったから、僕も同罪だ。

「ちょっと話し過ぎてしまいましたかね。そろそろエマも来るでしょうし、私は退室しますね」

「はい、ありがとうございました」

「いえいえ。それと帰る前に、エマと一緒に受付に顔を出して下さいね。それじゃあ失礼します」

 そう言うとロゼさんは医務室から退室した。

「……ふう。とりあえずは良かったかな」

 エマも無傷だし、狼型モンスターも討伐した上、更にケイネス達も救出できた。
 イレギュラーな事態だったけど、成果としては上出来だっただろう。

 一息ついていると、廊下の方からドタドタと足音が聞こえてくる。
 ロゼさんの言う通り、エマが来てくれたのかな?

「ノロワ! 目を覚ましたって本当!?」

「やあ、エマ! 無事で何よりだよ」

 医務室のドアが勢いよく開くと、僕の最高の仲間がそこに立っていた。
 どうやら僕が目を覚ましたのを聞いたようだ。

 エマは僕の顔を見るなら、顔を俯かせ肩を震わせながる。
 ……泣いてるのかな?

 つまり、これはあれだ。
 感動の再会イベントってやつかな?

 そんな事を期待している中、エマの第一声は……、
「こ……の……大馬鹿ノロワ!!!!」
 罵倒でした……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。 死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった! 呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。 「もう手遅れだ」 これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...