追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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幕間1 前編 凋落

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「ああっ……魔力も道具も尽きてしまいました!」
「なんで私達の攻撃が通用しないのよ!?」
「もうダメだ、ラッシュ! 撤退しよう!!」

「はぁっ……はぁっ……、くそっ、くそっ、くそぉぉぉぉ!! なんで……なんで俺たちがこんな目に!!」

 ここはたかがBランクダンジョンだろ!?
 なんでAランクパーティー『紅蓮の不死鳥』である俺たちがみすみす敗走しなければいけないんだ!?

 くそっ、くそっ、あれもこれも全部アイツのせいだ。
 あの出来損ないで無能のノロワをパーティーから追放してから何もかも上手くいかない。

 あの疫病神が……パーティーを抜けてからも俺たちに迷惑かけやがって!!

「リーダー! 早く撤退しないと!!」

「ああああっ、クソがァァ!! 撤退するぞ、お前ら集まれ!!」

 俺は『帰還の魔石』に魔力を込め、『紅蓮の不死鳥』はダンジョンから強制帰還する。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ええー、またクエスト失敗したんすか?」

 ギルドの受付嬢ごときが、この俺に向かってため息まじりに呟く。
 このあまァ……俺はAランクパーティーのリーダーなんだぞ。

 仕事だから許しているが、本来ならお前ごときが馴れ馴れしく話しかけていい存在じゃないんだぞ!!

「これで五連続のクエスト失敗……しかも今回はBランクダンジョンでの素材回収クエストだったのに」

「うるさい!! 今回の失敗も支援職バッファーのやつが足を引っ張ったせいだ! アイツはもう辞めたから、お前はさっさと優秀な支援職バッファーを紹介しろ!!」

「えー……あの人、めちゃくちゃ優秀な人だったのにもう辞めちゃったんすかぁ?」


 優秀?
 どこがだ!?

 食材の確保やアイテムの補充もしない。
 地図作成マッピングもろくにしないから道にも迷う。
 更に強化バフの効果も弱いのか、強化されても俺たちの攻撃が敵に通用しない。

 その上、たいして役にも立ってないくせに、今回のクエストが終わった時に『俺はお前らの便利屋じゃねぇ!! やってられるか!!』といって勝手に辞めていきやがった。

 どのみち、今回の失敗の責任を押し付けてクビにするつもりだったから構わないけどな。

 あのノロワでさえ出来た仕事すら碌にしないんじゃ話しにもならない。

「人員の補充っていっても中々難しいと思うっすよー」
「はぁっ!? 何言ってるんだ? 『紅蓮の不死鳥』はAランクのパーティーだぞ。俺たちみたいな優秀なパーティーに入れてやるって言うんだ、募集するやつは絶えないだろうが」

「いやー、最近フリーの冒険者の中で『紅蓮の不死鳥』の評判がすこぶる悪いっすからね。一時加入スポットの冒険者を召使いのようにコキ使ったり、報酬をケチったり。もうちょっと条件変えてみませんか?」

「なんで俺たちがフリーの冒険者ごときに折れてやらなきゃならないんだ!?」

 Aランクのパーティーといえば、街のエースといっても過言じゃない。
 実際にそこそこ大きいこの街でさえ、Aランクのパーティーは俺たちを含めて三つしかないしな。

 そんなパーティーに入れてやるっていうんだ、多少待遇が悪くても喜んで俺たちのために奉仕するべきだろ?

 それに、待遇が悪いっていってもノロワに払っていた報酬に比べれば十分渡しているしな。
 文句を言われる覚えなんてない。

「……まあ、ラッシュさんがそう言うならもうちょっと探してみますけど、あまり期待はしないでくださいね。……それとこれ以上のクエスト失敗はまずいんで気をつけてくださいよ」

「……ちっ、分かってるよ」

 確かに、受付嬢の言う通り、これ以上クエストを失敗すると俺たちの評判に関わる。
 それに現状、いつ新しい一時加入スポットの冒険者が現れるかも分からない状態だ。

 こうなったら、優秀な支援職バッファーが入るまでは簡単なクエストで凌ぐ事にするか。

「くそっ……くそっ、本当についてない!」

 クエストボードを眺めているが、イライラがおさまらない。

 ノロワの愚図を追放してからろくなことが無い。

 特にここ最近モンスターの強さが段違いに上がっている。
 攻撃も当たりにくくなった上、当たってもダメージが通りにくくなった気がする。
 その上、モンスターの攻撃の威力も上昇してダメージ量も増えてきた。

 ノロワの『呪いデバフ』が無くなったくらいでそれほど戦闘力が変わるとは思えないし……、やっぱりこれまでのクエスト失敗は全部支援職バッファーのやつが未熟なせいだな。

「……おっ、このクエストはちょろそうだな」

 目についた依頼書を取ると、その内容を確認する。

 クエスト内容は『Eランクダンジョン『始まりの洞穴』の新エリア調査』といったものだ。
 募集条件はBランク以上のパーティーだから条件はクリアしている。

 何より、いくら新エリアとはいえEランクのダンジョン探索なんて簡単なクエストだ。
 それに、これくらいなら支援職バッファーがいなくても楽々クリアできそうだしな。

 報酬も悪くないし……いいクエストを見つけたぜ。

 俺はクエストを受注するため、依頼書をさっきの受付嬢に持って行く。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 結局、クエスト開始までに一時加入スポットの冒険者は集まらず、元々のメンバーである四人でクエストに挑むことになった。

 まあ、今回のクエストはEランクダンジョンの探索だし楽勝だろう。

 ……そう思っていたのに……。

「な、なんなんだよコイツは!?」

「グッ……ギャァァァァァァアアアアアアアア!!!!」

 ダンジョン内にモンスターの咆哮が響き渡る。

 俺たち『紅蓮の不死鳥』の前に見上げるほどの巨体な狼型モンスターが立ち塞がってきた。
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