追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

文字の大きさ
21 / 44

幕間1 後編 敗走

しおりを挟む
 
 途中までは順調だった。

 地図作成マッピングが出来るやつがいないから何回か道に迷ったが、出現するモンスターはEランク相当だし、罠もない。

 なんの問題もなくサクサクと進んでいたのに、新エリアの最深部らしき所に着くとはいた。

 見上げるほどの巨体を持つ狼型のモンスター……間違いなくこのエリアのボスだろう。
 だが、ボスといっても所詮はEランクダンジョンのボスレベル。
 俺たちの敵になるはずがない!

「……どうする、ラッシュ?」

槍士ランサー』で俺と同じ前衛職のスペースが小さい声で尋ねてくる。

「どうするもこうするもないだろ。Eランクダンジョンのボスにしては強そうだが、所詮はEランクだ。それに相手は俺たちに気がついていない。一気に奇襲をかけて討伐完了だ」

「……でも、どう見てもアイツ、Eランクのモンスターには見えないけど……。それに、例え格下でも初遭遇のモンスターには警戒しろってノロワが言ってたわよ」

「そのムカつく名前を俺の前で出すな!」

「っ……! ご、ごめんなさい」

『魔法使い』のアンナが怖気ついているのか、気に食わない男の名前を出す。
 ……そういえば、いつもノロワは落ちこぼれで足手まといのくせに、よく俺たちに意見をしてきたもんだ。

『その先は危険だ!』とか、『もっと警戒しないと!』だとか、そう言う心配性で臆病なところもウザくて仕方なかった。

「ラッシュ様の言う通りですよ。私たちはリーダーのラッシュの指示に従っていればいいんです」

「そうだな。俺たちはいつもラッシュの言うことを聞いてきたから、ここまで上がってこれたんだ。ラッシュが間違えるはずがないだろ?」

治癒士ヒーラー』のフィリアやスペースも俺の意見に同意してくれる。
 そうだ、俺が間違える事なんてあるはずがない。

 最近の失敗は、一時加入スポットの冒険者が足を引っ張ったからだ!

「そう……よね。私もリーダーに従うよ」

「分かればいいんだよ」

 結局、アンナも俺に従う事に決めたようだ。
 全く……面倒だから、最初から俺に意見なんてしてくるなよ。

「よし、それじゃあこのまま速攻を仕掛ける。全員、俺に着いてこい。……いくぞ!!」

 俺は抜剣しながら突撃命令を出す。

 さあ、こんなEランクダンジョンのモンスターなんて、さっさと討伐してしまおう!!


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「きゃぁぁあ!! 炎を吐くなんて聞いてないわよ!?」
「前衛は何をしているんですか!? 後方職の私たちをちゃんと守りなさいよ!」
「無茶を言うな! こいつの動きが速すぎて攻撃が当たらないんだぞ!」

 既に俺たちのパーティーはボロボロだ。

 なんで……なんでこうなったんだ?

 奇襲かけるまでは良かったんだ。
 モンスターに気付かれないよう攻撃の射程圏まで近づき、一気に攻撃を仕掛けた。

 だけど、モンスターは予め俺たちの存在に気がついていたかのように楽々と攻撃を避けると、即座に反撃をしてきた。

 そして、俺たちはその反撃を受けた事で陣形がバラバラになり、現在はこうして全滅の危機を迎えている。

 しかも、この犬風情が……俺たちのことを格下とみて舐めてやがる!
 まるで遊んでいるかのように、手加減をしているのが伝わってくる。

 くそっ……くそっ……くそぉぉぉぉ!!

 俺は……Aランクパーティー『紅蓮の不死鳥』のリーダー、ラッシュ様だぞ!!

 こんな所で躓く訳にはいかないんだぁぁぁ!!!!

「絶戒剣技……『ラッシュインパクト』!」

『剣士』である俺の最大奥義を放つ。
 以前Bランクダンジョンのボスモンスターにとどめを刺したこともある、速度、威力共に俺の使える中で最強の技だ。

 油断していたのか、突然の俺の剣撃にモンスターは反応が遅れ直撃する。
 これでくたばれ、犬コロ野郎がぁ!

「ガルァっ!? グッ……ガァァァァァァァァ!!」

 な、なんでなんだ……!?
 確かに俺の『ラッシュインパクト』は命中した。
 血も流れているし、ダメージも与えているはずだ。

 だけど、それだけだ……。
 俺の『ラッシュインパクト』ではこのモンスターを討伐するほどのダメージは与えられなかった。

 それどころか、ダメージを負ったことで怒りが増したようだ。
 牙を剥き出しにして、今まで以上の勢いで俺たちに襲いかかってくる。

「うっ……がぁぁあああああっ!」

「リーダー!?」
「ラッシュ!!」
「ラッシュ様!」

 モンスターの一撃を受け、俺は無様に吹き飛ばされ、ダメージを負った俺の側に仲間たちが集まってくる。

「がっ、ぐっ……ぐうううぅぅぅぅ」

 ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう……。
 剣でガードをしたのに、ガードごと俺をぶっ飛ばしやがった。

 こいつは何もかもが俺たちよりも上の生物だ。
 多分Aランクのボス級……いや、Sランクのボス級に匹敵するかもしれない。

「……逃げるぞ! このままじゃ全滅だ!!」

「っ!? ……くそっ、しょうがないか」
「ええ、そうしょう。このモンスターは私たちだけじゃ手に負えません」
「そうだね。ここは一旦撤退しよう」

 俺はカバンに入れていた『帰還の魔石』取り出す。

 命あっての物種だ。
 こんな化け物をまともに相手してられるか!

 俺は魔石に魔力を込め、『始まりの洞穴』から帰還する。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「何なんだよ、あの化け物は!? あんなのがいるなんて聞いていないぞ!!」

 俺たち『紅蓮の不死鳥』は、街のはずれの方に『帰還の魔石』を使って転移した。
 ダメージは受けたものの、致命傷を負った奴はいないようだ。

「それよりリーダー、早くあのモンスターの事をギルドに報告しないと!」

「は? 何言ってるんだ?」

「……え? だ、だから早く報告して討伐隊を編成しないと!」

「……はぁ。あのなぁ、アンナ、何で俺たちが馬鹿正直にギルドに報告しないといけないんだ。ギルドに報告するのは、そうだな……二、三時間後ってところかな」

「何言ってるの!?  まだダンジョンの中にはEランクの冒険者達がいるんだよ!? 見殺しにする気!?」

「見殺しにするんだよ!」

「……っ!?」

 俺からの答えにアンナが言葉を詰まらせる。
 全く、バカの相手は疲れるぜ。

 わざわざ全部説明しないとダメかい?

「あのなぁ、もしギルドに正直に報告したら俺たちはどう思われるか考えてみろ」

『Eランクダンジョンから真っ先に敗走したAランクパーティー』って噂されるのが目に見える。
 ただでさえ最近はクエストを失敗ばかりで俺たちの評判が下がっていない状態からだ。

 その上、そんな噂が流れでもしたらAランクパーティーとしての面子が立たなくなってしまう。

「報告を遅らせればEランクパーティーなんて、あのモンスターを相手にしたら簡単に全滅するだろうなぁ。だから、俺たちはこう報告すればいいんだ。『Eランクパーティーを守るために奮闘したが、足手まといを守りながらの戦いは苦戦し、無念の敗走』……ってな。こうすれば俺たちの体裁は保たれるだろ?」

「なるほどな! ラッシュは賢いなぁ!!」
「本当です。流石はラッシュ様です」

 しかも死人に口なし……Eランクパーティーは、あのモンスターに殺られているから、口封じも完璧って訳だ。

 昇格試験のためいくつかのEランクパーティーがダンジョンに潜っているらしいが、理想は全滅……まあ、最低でもひとつのパーティーが潰されていればいい。

「で、でも……」

 ……はぁ。
 スペースもフィリアも俺の案に乗っているのに、アンナだけが未だに納得のいっていない顔をしている。

「いいか? 足りない頭でよーく考えろよ? 役にも立たないEランク冒険者の命と俺たちAランク冒険者の面子……どっちが大切かちょっと考えれば分かるよな?」

「そ、そんな……」

「……分かった、お前もういいよ。アンナも俺の方針に納得できないならノロワみたいに追放されるか?」

 追放という言葉が出て、アンナの顔面が蒼白になる。
 そうだよな、もし追放なんてされたら、二度と冒険者なんてなれないかもしれないもんなぁ。


「っ!? ご、めんなさい。……私が間違ってたわ。リーダーの指示に従うわ」

「ふっ、分かればいいんだよ」

 一悶着あったが、とにかく『紅蓮の不死鳥』としての方針は固まったな。
 俺の冴えたアイディアのおかげでなんとかなりそうだ。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 この後、クエスト失敗及び虚偽報告により『紅蓮の不死鳥』が処罰を受けるのはまた別の話になる。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした

夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。 死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった! 呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。 「もう手遅れだ」 これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...