追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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20話 弱点

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「アタシ達『灰狼グレウルブ』がDランク昇格したことを祝して……かんぱーい!!」
「乾杯!!!!」

 僕とエマはギルドの近くにある酒場で、Dランクに昇格したお祝いをする事にした。
 そういえばクエストを終えた後、エマとは何回か食事をした事はあるけど、こういった飲み会は初めてだなー。

「んぐっ、んぐっ、んぐっ……ぷっはー!! 最っ高!!」
「ははっ、いい飲みっぷりだね。……でも、あんまり飲みすぎないでよ?」
「何言ってるのよ。こんなにめでたい日に飲まないなんて嘘でしょ! ノロワももっと飲みなさいよ、ほらほら!!」
「ちょっ、そんなに急に注がないでよ!」

 エマは上機嫌で僕の半分以上残っているグラスに追加のお酒を注ぎはじめる。
 うーん……もしかしてエマって、もう酔ってる?

 そういえば、初対面時も泥酔していたし、実は酒癖が悪かったりするのだろうか?
 僕もそんなにお酒は強い方じゃないし、お店に迷惑をかけないように気をつけておかないと……。

「それで明日からのクエストはどうするつもり? 『灰狼グレウルブ』としての初クエストだし、景気良くダンジョン攻略にでも行っちゃいましょうか!」

 エマの言う通り、僕達のパーティー名は『灰狼グレウルブ』に決定した。
 他にもいくつかの名前の候補はあったけど、僕達が初めて戦闘したモンスターも『ワーウルフ』だったし、更に今回の新種の狼型モンスターとの戦闘と、色々と狼種と縁があったからパーティー名に『狼』を付けることになった。
 後は僕の単純に好きな色が灰色だったため、それらを組み合わして『灰狼グレウルブ』となった。


 ちなみに、『始まりの洞穴』の新エリアで遭遇した新種の狼型モンスターの名前はエマが『マノエワロ』と名付けていた。
 少し読みにくい名前だし、もっと単純な名前でいいんじゃないかって提案したけど、エマが『絶対この名前がいい!!』と譲らなかった。

『マノエワロ』を討伐したのはエマだし、僕としてはエマがこの名前でいいと言うのならそれでいいんだけどね。

 ロゼさんが『マノエワロ』という名前に何か心当たりがあるのかニヤニヤしていたのがちょっと気になったから、エマに名前の由来を聞いたら『ノロワはこれ以上詮索しないで!』と強く言われてしまい、追求できなくなっちゃったのが少し心残りだけど……。


「うーん……クエストに行くのは悪くないんだけど、その前にこのパーティーの弱点をなんとかするべきだと思うな」

 実際、エマがいればDランクくらいのダンジョンやクエストは問題なくクリアできるだろう。
 だけど、前回の昇格試験の時のようなイレギュラーが絶対に発生しないとはいえない。

 僕としては『灰狼』の致命的な弱点を補強し、より安全にクエストに挑みたい気持ちが強い。

「弱点……?」
「うん。僕たちの弱点……それは『前衛不足』だよ」

「ああ……そういう事……」

 エマもその点には心当たりがあったんだろう。
 半ば納得したようにポソっと呟く。

 エマの『魔法使い』としての火力は文句なしの超一流だ。
 なんなら今すぐAランクパーティーに入っても、すぐに通用すると思う。

 そして、僕の『呪詛師』という職業ジョブも後方支援に分類される。

 つまり『灰狼グレウルブ』には前衛職がいないって訳だ。

 これまでは僕が『呪い』で敵の動きを止め、エマが魔法で仕留めるという戦法をとっていた。
 ……まあ、ぶっちゃけこれまでの戦闘くらいならエマひとりでも全く問題なかったって点はここでは一旦置いておこう。

 だけど、前回のマノエワロ戦で僕達はこのままではダメだと実感してしまった。

 エマの火力を最大限活かすためには、魔法詠唱のが重要になってくる。
 だけど、僕の『呪い』による足止めにはどうしても限界がある。

 もし、マノエワロ戦の時に前衛職の仲間が一人でもいたら、『呪い』によるデバフももっと活用できただろうし、その結果、楽に勝利できたかもしれない。

 何より前衛職がひとりいるだけで戦闘の幅が大きく広がる。
 僕たちはDランクに昇格したことだし、ここらで新しい仲間をスカウトしたいってのが僕の気持ちだ。


「新しい仲間を増やす……か。別にアタシは二人でもいいと思うけどなー……」

 あれ?
 エマは思ったより乗り気じゃないようだ。

 新しい仲間をスカウトするのは反対しないと思ったんだけどな……。
 何か僕と二人じゃないといけない理由でもあるのだろうか?

「それに、アタシ達は追放者の寄せ集めって事で悪い意味で目立ってるのよ? いくらDランクに昇格したからってすぐに仲間が集まるとは思えないわよ」

 ……うっ、それはそうだ……。
 実際にエマとパーティーを組むまで、仲間を探すのは相当大変だった。
 次の仲間を見つけるのも難儀するのは簡単に予想できる。

 それに、前衛職なら誰でもいいから仲間にしたいって訳ではない。
 前衛職は僕たち後衛職を守る、言うなればパーティーの要だ。

 命を預けるに足りる、信頼できる人を仲間にしていきたい。

「まあ、仲間をいずれ増やすってのは反対しないけど、今は確実にクエストをクリアして実績を積んでいけばいいんじゃないかしら」
「うーん……なんだかエマに言いくるめられている気がするけど……」
「そ、そんな事ないわよ! ほら、今日はお祝いなんだし、ノロワももっと飲みなさいよ!!」
「あっ、ちょっと!? 溢れるから!?」

 エマが勢いよく僕のグラスにお酒を注いでいく。
 勢いでごまかそうとしている感があるけど、エマが言っていることはあながち間違いじゃないとも思う。

 僕が少し焦りすぎていたのかなぁ?

「分かったよ。なら、仲間集めの件は一旦保留で、いい人がたまたま見つかったら勧誘するって事にしようか」
「うんうん、それがいいと思うわ。これでこの話はおしまい! それじゃあ乾杯しましょうよ」

「ええええ……、何回乾杯する気なんだよ……」

「祝いの席での乾杯は何回してもいいものなのよ! ほら、かんぱーい!!」

 何回目かの乾杯をした後、エマは美味しそうにグラスのお酒を飲み干す。
 ……こんなハイペースで飲んで大丈夫だろうか?
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