追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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21話 親友

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「うにゃゃゃゃゃあああぁぁ、もう飲めにゃいぃぃぃ」

 全然大丈夫じゃなかった。
 エマは顔を真っ赤にしてテーブルに突っ伏す。

 それほどお酒に強い訳じゃないのに、あんなに飲むから……。

 打ち上げが始まって約1時間程で、ついにエマは酔い潰れてしまった。


「ちょっと、エマ。大丈夫?」
「無理ぃぃぃ。世界がまわるぅぅぅ」
「水を貰ってきたから飲みなさい」
「うぐぅぅ……ありがにょー」

 エマはロゼさんから水が入ったグラスを受け取ると一気に飲み干すと、そのままお酒に呑まれて寝てしまう。

 ロゼさんはギルドの仕事が終わった後、僕たち『灰狼グレウルブ』の昇格をお祝いしてくれるためにわざわざ飲み会に合流してくれたけど、既に出来上がっていたエマの介抱に追われてしまっている。
 ううう……申し訳ない。

「うーん、これはもうダメかもしれませんね。今日はもうお開きにしましょうか」
「ですね……。せっかく来た貰ったのに、うちのエマがすいません。ロゼさん、ほとんど飲んでないですよね?」

「構いませんよ。エマはお酒を飲むといつもこんな感じですし、介抱も慣れてますから!」

 ああ、本当にロゼさんは優しい。
 以前僕が所属していた『紅蓮の不死鳥』時代からロゼさんは僕の心のオアシスだよ……。

 この人が僕の担当で良かった。

「それにノロワ君には感謝してるんですよ」
「感謝ですか?」

 なんだろう?
 ロゼさんには迷惑や心配はたくさんかけてきたと思うけど、感謝されるような事をした覚えはない。

「この子の事ですよ。エマは私が妹のように大事に思っている親友なんです」

 ロゼさんは寝ているエマの頭を優しく撫でる。

「ノロワ君も知ってる通り、エマは何回もパーティーを追放されてきました。その際で段々と荒んじゃったんです。でも、ノロワ君とパーティーを組んでからは笑顔も増えて以前の明るい性格に戻りました。……エマを仲間にしてくれて本当にありがとうございました」

「ちょっ!? 頭を上げてくださいよ!!」

 ロゼさんが深々と頭を下げてくるのを慌てて制止する。
 そんな事、お礼を言われるようなことじゃない。

 それに……。

「お礼を言うのは僕の方ですよ。あの日、ロゼさんがエマを紹介してくれたから今の僕たちがあるんです」

 ロゼさんのおかげで僕はエマと出会えたんだ。
 それに、エマならきっと僕の力がなくてもいつか自分の魔力をコントロールできるようになっていたかもしれない。
 それだけの素質は十分にあると思う。

 そうなったら、エマは僕みたいな落ちこぼれと組む機会なんてなかったはずだ。

 つまり、ロゼさんがいたから『灰狼グレウルブ』が結成できたと言っても過言じゃない訳だね!

「うーん……にゃんの話をしてぇるにょー?」

 ロゼさんと互いにお礼を言い合っていたら、エマが目を覚ましたが、まだお酒は抜け切っていないのか、呂律は回ったままだ。

 僕は思わずロゼさんと目配せをする。
 さっきの会話をエマに聞かれるのは互いに何となく恥ずかしいから内緒にしておこうと目線で合図を送ったら、ロゼさんは伝わったのか無言で頷いてくれた。

「なんでもないですよ。さあ、エマそろそろ帰りましょうか」
「えー、まだアタシ飲めりゅわりょー」
「はいはい、もう無理でしょ!」
「ううううう、ロゼのいじわりゅー!」

 こうして見ていると、本当に仲のいい姉妹みたいだ。
 エマはロゼさんに肩を担がれて無理やり立たされていく。

「あっ、そうだ、お金を払わないと!」
「ここは僕が払っておくんでロゼさんはエマを送ってあげてください」
「いいんですか?」
「はい。これくらいは僕にカッコつけさせてくださいよ」
「……それじゃあここはお言葉に甘えます。ご馳走様でした」

 ロゼさんは数瞬悩んだようだったけど、今はエマを送るのが最優先だと判断したようだ。
 お礼を言うと、エマを担ぎながら店を出て行った。

「……ふぅ」

 酔ったエマはまるで嵐みたいだったな。
 一息つけて、まだグラスに残っていたお酒を一口飲む。

 ……うん、こういう落ち着いた雰囲気で飲むお酒より、仲間と楽しく飲むお酒の方がやっぱり美味しいなぁ。

「おい、姉ちゃん。一人で酒を飲むくらいなら俺たちとあっちで飲まねぇか?」

 今日の楽しかった飲み会の思い出を肴にしてテーブルの残飯処理をしていると、背後から男の声がしてくる。
 もしかして、ナンパだろうか?

 興味本位で何となく聞き耳を立ててみることにした。


「ちょっと、ちょっと無視しないでよ。俺たちこれでも『悪餓鬼バッドオーガ』っていう結構有名なパーティーなんだぜ?」
「そうそう。おねーさんもこの街で平穏に暮らしたいなら俺たちと仲良くしておくと得だぜ」
「とにかく今日は俺たちと仲良くしてくれればいいからさぁ。ほら、あっちでゆっくり飲もーよー!」

 柄が悪そうな男達四人が、女の子を囲んでいる。

悪餓鬼バッドオーガ』っていえば、確か最近Bランクに昇格したパーティーだったはず。
 実力はあるけど、横柄な態度や他のパーティーへの嫌がらせで、悪い意味で有名なパーティーだ。

 噂は聞いていたけど、実際に見てみるとまるでチンピラだね……。

 こんな奴らに絡まれるなんて、あの子が可哀想だ。

 ……仕方ない。
 周囲の人も巻き込まれたくないから見て見ぬふりをしているようだし、僕が助け舟を出すか……。

 僕が強かったらカッコよく助けられるかもしれないけど、あいにく僕は貧弱の権化だ。
 精々、穏便に済ますように頭を必死に下げるとしよう。

 最悪僕はボコボコにされるかもしれないけど、困っている女の子を一人助けられるなら安いもんだ。

「ねえ。あんまりその子を困らせちゃ……」

 ダメだよ……と続けようとしたけど、その言葉は最後まで出なかった。
 なぜなら、『悪餓鬼』の一人が、まるで紙屑のように吹っ飛びながら僕の真横を通過していったからだ。


「「「「「…………え?」」」」」

 僕、『悪餓鬼』の面々、お店の店員やお客さん……そのほとんどが何が起こったのか理解できず呆然となる。


「あー……お前りゃあ……う、る、しゃ、い、ぞ!」

 ナンパされていた女の子は酔っているからか、少し呂律が回っていないようだ。

「な、何しやがるんだ、このあまァッ!?」

『悪餓鬼』の一人が女の子に向かって怒鳴りつける。
 ……うん、怒るのもよくわかる。

 だって、あのナンパされていた女の子が急に『悪餓鬼』のメンバーの一人の頭を鷲掴みしてぶん投げたんだ。
 ちなみに、ぶん投げられた男は綺麗に気絶している。

「おまえらが、うるさいかりゃ、悪い」
「だからってやり過ぎだろ!? てめぇ……ちょっと表に出ろ! 俺たちを舐めたらどうなるか教えてやぶらぁっ!!??」

 男は最後まで言い切る前に、女の子に顔面を殴られて言葉と意識を失っていく。

 えええええ……!?
 一体何が起こってるんだ!?

「こ、このクソ女がっ!! ぶっ殺してやる!!」

 仲間を二人もやられて、残った『悪餓鬼』のメンバーが剣を抜く。
 流石にこれはまずいことになるぞ!?

 僕はケンカを止めるために仲裁に入ろうとする。

「にゃんだ? ケンカすりゅのか? いいぞ、乗ったぁぁぁ!!」

 だけど、僕が止めに入るよりも早く女の子が暴れ出す。
 急に暴れ出したから、女の子の顔はハッキリとは見えなかったけど、綺麗な長髪をなびかせていたのは印象に残っている。

 ……そして、そこから先の記憶が僕にはほとんどありません。

 最後に見た景色は、女の子が『悪餓鬼』はおろか、その辺にいた僕やお客や店の備品ごと巻き込み、まるで嵐のように大暴れしているものでした。
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