追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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28話 七七

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「さて、クエストも終わったし、カリンの歓迎会でも兼ねてどっか食事でもする?」

 ゴブリン討伐の完了をギルドに報告し、報酬を受け取るなりエマがそう提案する。

 ちなみに『悪餓鬼バッドオーガ』の連中はギルドに報告し、連行されていった。
 彼らにはギルドからペナルティが課せられるようだ。

 元々悪評が広まっていた上、今回の僕たちへの襲撃は完全にギルドの規律違反だもんね。
 良くて冒険者ランクの降格や謹慎処分。
 最悪、冒険者の資格が剥奪される可能性もあるだろう。

「ありがとう、エマ。……ただ、私は欠席させてくれないか?」

「ええー、なんでよ!? カリンの歓迎会なんだから主役がいなきゃ始まらないじゃない!」

「その……参加できない理由なんだが……金がないんだ」

「「えっ!?」」

 金がないって……ついさっきクエスト報酬を受け取ったばかりじゃないか。
 今回のクエストはEランククエストだけど、その中では報酬はいい方だ。

 少なくとも今日の飲食代を心配するほどの金額じゃない。

 ちなみに僕たち『灰狼グレウルブ』の報酬は自身がクエストの攻略に貢献したかは関係なく、経費を差し引いた金額を等分している。
 もちろん今回の報酬もきっちり三等分してカリンに渡した。

『紅蓮の不死鳥』時代は何やかんや理由をつけられて報酬をピンハネされていたから、それに比べると信じられないくらいの高待遇だ。
 ポーションとかも僕が自費で買っていたから、手取りだけなら今の方がいいかもしれないな。

「金が無いって……今受け取ったじゃない」

 エマも僕と同じ疑問を抱いたようだ。
 ちなみに今回の報酬を三等分すると、一人当たり金貨一枚と銀貨五枚になった。

「そうなんだが……この金は借金返済に充てないといけないんだ……」

「借金!?」

 カリンに金遣いが荒いイメージがないから、借金があるのに驚いてしまった。
 でもカリンはBランクのパーティーに所属していたくらいだし、僕みたいに報酬をピンハネされてなきゃそれなりの貯蓄はありそうだけど……。

「実は昨日暴れてしまった酒場の店主に、店の修繕費を払わないといけないんだ……」

 ……ああ、なるほどね。
 確かに昨日のカリンの暴れっぷりは凄く、酒場の店内はほぼ壊滅状態になっていた。

 その修繕費ってことは結構な額を請求されていそうだ。

 それに、カリンがパーティーを組まずに、ソロでもいいからクエストに行きたがっていた理由も納得した。
 借金があるなら、すぐにクエストに出て、少しでも稼いで返済に充てていきたいよね……。

「……そっか。……ねぇ、ノロワ、今日はアタシ達でカリンの分出してあげない?」

「うん、オーケー。カリンの歓迎会なんだしそれくらい僕たちで出そう」

 親睦を深めるって意味でもカリンの歓迎会はやりたいしね。

「いや、パーティーに入れてもらっただけで充分なのに、そこまでしてもらう訳には……」

「遠慮しないでよ! アタシ達がカリンの歓迎会をしたいのよ!!」
「そうだよ。それに明日からのクエストや戦闘の作戦や陣形についても話し合いたいし、カリンが来てくれなきゃ困るよ」

「そう……か。それならお言葉に甘えさせてもらおう。……ありがとう」

「「どういたしまして!!」」

 こうしてカリンが加わった新生『灰狼グレウルブ』で食事を行くことになった。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 僕たちはギルドからはそこそこ近い酒場でカリンの歓迎会を兼ねた食事をしていた。
 テーブルには八割方食べ終わった料理が並んでいる。

 僕とカリンは麦酒。
 エマは甘めのカクテルを飲んでいる。

 歓迎会を始めてから1時間くらいが経っただろうか。
 エマはほろ酔いになり少し顔が赤らんできた。
 対してカリンの方は顔色が全く変わってないし、飲むペースも一向に下がらない。

 ……既にジョッキを九杯分は飲んでるだろうか?

「……カリン、大丈夫? あんまり飲みすぎないでね」

 昨日の酒場のようにカリンが暴れて、もし、ここを破壊したら大変なことになる。
 弁償のせいで借金が二倍になったら笑えないよね……。

「ああ、心配しないでくれ。麦酒くらいなら私にとって水みたいなものだ。何杯飲んでも大して酔わないよ」

 そう言いながら十杯目のグラスを空ける。
 か、かっけぇ……。

 でも、麦酒のアルコール度数は5パーセントくらいはあったはずだよね?
 そんなお酒をこんなペースで飲んでもほとんど酔わないなんて、本当にお酒に強いんだな。

「でも、今日の『悪餓鬼バッドオーガ』との戦闘じゃすぐに酔ってたじゃない? あれ、何を飲んでたの?」

 そういえばそうだった。
 エマの言う通り、あの時はカリンが飲酒したらすぐに酔いが回っていた。

 ……どれだけ強い酒を飲んでたんだろう?

「あれはラッキーセブンってお酒だ。私はそれをストレートで飲んでいた」
「っ……ごふっ!? ラ、ラッキーセブンなんて飲んでたの!?」


 思わず口にしてた麦酒でむせてしまった。
 戦闘の前になんてもの飲んでるんだ、この子……。

「ラッキーセブンってそんなに有名なお酒なの? こういう酒場のメニューで見た事ないけど……」

 どうやらエマは知らないらしい。
 それにエマの言う通り、ラッキーセブンなんてメニューに載せてる店はごく少数だろう。

「ラッキーセブンってのは蒸留酒の一種で、名前の通りアルコール度数が77パーセントもあるお酒だよ」
「な、77パーセント!?」

 エマが驚きの声を上げる。
 うん、そうなるよね。

 本来ラッキーセブンはストレートで飲むお酒じゃなくて、果汁や氷で多めに割るお酒だ。

「意外と飲みやすくて美味しいぞ。今度飲んでみるか?」

「飲まないよ!」
「飲まないわよ!」

 アルコール度数が77パーセントもあったらそれは飲料ではなく、燃料に近い何かです!

 多分アルコールの味しかしないし……。

 お酒に強いからって、そんな度数の強いお酒を一気飲みしてあんなに暴れたら、そりゃ酔い潰れもするよ。

「そうか……残念だ」

 カリンが残念そうな顔をする。
 ……本気でお薦めしてたのか。

「でも、ラッキーセブンは美味しいけど最近体が慣れてきたのか少し酔いにくくなっている気がするんだ。……そろそろ、もっと強い酒を飲んだ方がいいだろうか」

 もっと強い酒って……、いくらバッカス流剣術を使うためとはいえ、そんなのものを飲み続けていたらカリンの内臓はボロボロになって早死にしてしまう。

「「絶対にやめなさい!!」」

 僕とエマが声をそろえてカリンを止める。
 どうやらエマも同じ考えだったらしい。

「「「……ぷっ……、あははははは」」」

 それがなんだかおかしくて、三人でつい笑い合ってしまった。

 ……ああ、なんて良い夜なんだろう。

 信頼できる仲間たちとこうしてなんて事ない雑談を交わす。
 こんな当たり前の事が当たり前にできることが何より楽しいなぁ。

 エマとカリンと仲間になれて本当によかった。
 こんな幸せな時間がずっと続けば良いのに……。

 そう願いながら、僕はまだグラスに残っているお酒を飲み干した。
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