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第7話 レンガの戦い
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「これより集団戦訓練を開始する!双方、、、始めぇぇぇっ!!!」
金切り声に近いピサーラ先生の開始の号令と共に、相手側から3名の生徒が突撃してくる!
「お前っ!ルミナさんとどういう関係だっ!」
「オフェリアさんとどこで知り合った?紹介しろよっ!」
「俺はなあっ!昔っからルミナさんの事がなぁっ!」
・・・戦闘訓練だったよな?今始まったのって。
女々しい台詞とはうらはらに、しっかりと基本通りの魔法は発動しつつレンガの周りを3人で囲む。
「「「せーのっ!凍える礫!」」」
せーので合わせる辺りが訓練っぽい。ここも基本に忠実に逃げ場を作らせない為に同時発動、うまいな!・・・だが、甘い!
レンガは身体の周囲に紫色の光「転移粒子(ネオン)」を霧の様に発現させたかと思うと、そのまま身体を時計回りに回転!次いでネオンも光を増しながら回転する!
レンガに向かって放たれた氷の礫が回転するネオンに触れた瞬間、ほんのわずかに横方向へ転移して、ベクトルはそのままに突き進む。その先には、、、
「うわああぁっ!!!?」「いってえっっ!?」「うおおおおおお!?」
周りを包囲していた3人からレンガに向かって放った氷の礫は、回転するネオンに弾かれ(転移され)、その左側のメンバーに向かって勢いよく着弾、衝撃で3人は地面にもんどりうって倒れた。
そこを逃さずレンガが木剣で頭を叩く!
「イッチ!ニッ!サンッ!っと」
ポカッポカッポカッ!
キュウ。
「むぅ、、、3名脱落っ!訓練場の端へ行ってろっ!!」
あからさまに不機嫌な様子を隠す事も無く、3人に八つ当たりとも取れる口調で脱落を宣言した。
「あと、17人。」、、、楽しくなってきた。
流石にさっきのネオンを見た相手の生徒たちは警戒し、さっきの様に突撃をしてくる気配は無い。
「さっきの紫の光、、、あれが噂の転移粒子(ネオン)ってやつか。。。」
「魔法を弾くのはやっかいだな、、じゃあまとめて襲いかかって接近戦で、、、、うおっ!?」
ヒソヒソと相談していた17人の集団に向かって、正面から走ってくるレンガ!
「こいつっっバカじゃねっっ!?猛る赤き炎よ!」
「・・・・調子に乗りやがって・・・・唸れ風の息吹」
二人が魔法を発動させる気配を感じても走る速度を緩めず、右手を前にかざしネオンを発現させる。
ゴウッっと地響きを立てて襲い掛かる炎と暴風はレンガの真正面で融合し、更に大きな爆風となり勢いを増す!
「ちょっとあれは不味いんじゃないか!?」「いやぁぁぁっ!」
実践訓練には似つかわしくないほどの規模の魔法に、観客に動揺が走る。研究生とはいえ上位組の放つ魔法(ソレ)は既に命のやりとりに直結するレベルだ。
爆風がレンガに到達、突き出した右手の掌の前に展開したネオンに正面から受け止める!
「・・・・返すぞ。」
これが一番言いたかった。
次の瞬間、その爆風のベクトルを正反対に転移させて威力そのままに打ち返す!
「「うおおおぉぉぉっっ!」」「やっばいっ!!!」
ドッオオォォォンッッ!!
盛大な音を立てて訓練場の地面が爆発、あたりに土煙が舞いあがる。どうやら直撃の寸前にピザーラパイセンの魔法で軌道を地面にずらしたらしい。良かった。ちなみに後ろのやっばい!はオレの声だ。
ん、おや。ピザ・・・ピサーラ先生がこっちに来る?
「レンガくんっ!どういうつもりだ!うちの生徒が大怪我をするところだったんだぞ!」
「「「「ええええええええええええええええーーーーー?」」」」
恐らく全観客が同じ事を思ったはず。いや、それアイツ等の魔法ですやん。。。。
「ともかく、この生徒たちは特に優秀な子達なんだ。ギルド認定試験兼ねた今回の訓練で優秀な【クラス】の獲得に繋がる内容でなくてはいけない。その辺を十分に理解して続けてくれたまえ。」
「そこまで堂々と噛ませ犬の宣言をされると逆に清々しいな、、、まあ、いいけど。」
「じゃあ、怪我の無いように手加減していきます。」
いや、ホントに悪気は無かった。嫌味のつもりでも無かった。これが地雷を踏んだ。
「なにぃぃぃぃ!?手加減だと!?」
「ふっざけんなよレンガっ!!」「・・・・・ブッコロ。」
「まとめて掛かるぞっっ!いけ、融合魔法!」
それぞれが魔法発動しながら、18人が一気に向かってくる!
「猛る赤き炎よ!!」「・・・唸れ風の息吹!」
再度躊躇なく融合魔法を放ってきた例の二人組、2つの魔法の融合する前に間に割り込み、それぞれを打ち返す!と、その瞬間を狙って上空から両手剣を頭上に構えた生徒が、全体重をかけた剣戟を打ち込んでくる。
「はっっ!」
気合と共にネオンを集中、上段からの剣戟のベクトルを少し右に転移してずらす。突然自らの剣の軌道がずれた事で体制が崩れた生徒は、レンガの下からの木剣の切り上げをとっさに受けるしかない。
---- こんなひょろい攻撃っ! ----
ガツッと受け切ったと思われたが、衝撃が桁違いに強い。「なにっ!?」レンガが木剣を振りぬくと身体ごと剣に押され、吹き飛ばされて地面を転がった。
休む間もなく、今度は横一列に並んだ5人からの暴風!!
だが、特に意に介す事も無くネオンを展開して風を受け流し、疾走して間合いと詰めると、紫の光を帯びた木剣を振り抜いて、相手が受けた木剣もろとも身体を吹き飛ばす。
よく見ると木剣にネオンを纏わせており、衝撃のベクトルの方向を相手側に集中させている様だ。
「残り10人!」
「うわわ、、、」「おい、お前行けよ」
戦意喪失気味となってきた残りの生徒が一か所に固まっているのを確認すると、一直線に間合いを詰める。
「今だっっ囲めっっ!!」
固まっていた残りの生徒は掛け声とともに拡散、間合いを詰めたレンガを取り囲むように10名で包囲。とその時拡散と同時に一つの影が上空に飛び上がった。
「よし、同時発動開始!」
上空から号令を掛けるのはピサーラ先生その人であった。
「だ、だよな、18人だったもんな。。」
「「「「「唸れ風の息吹!」」」」」
などと呆れていると、レンガを囲んだ10人の生徒のうち、5人が同時発動で先ほどの風魔法を掛ける。
当然ネオンを周囲展開して打ち返すレンガだったが、、、、
「「「「「翻す彩光の鏡!!」」」」」
残りの5人が発動したリフレクションが、レンガの弾いた風魔法を、更に弾き返してくる!両方の圧力で中心のレンガは身動きが取れなくなってしまった。
「魔法を弾き返すだけなら、転移粒子(ネオン)でなくとも出来る!勉強になったかいっ?」
風の魔法、風術を利用しているのか上空で滞空しながら得意げなピサーラ先生。。観客席からは空を飛ぶ姿に黄色い声を上げる女性達と、ガッツリ訓練に肩入れしちゃった大人げない姿に呆れた人が半々。
「いや、センセ。大人げないぜ、10人がかりで。」
「な・・・・。」
その10人掛かりの継続的な風魔法と、リフレクションの即席結界の中にあっても冷静なレンガに、動揺するピサーラ。発動中の生徒からの視線が自分を責めている様に感じ始め、苛立ちが増幅していく。
「だからこその集団戦闘訓練じゃないか、レンガくん。それに、、、」
---- あ、こいつヤバイ。 ----
「10人掛かりとは限らないんじゃないかねぇぇっ!?炎よ猛り狂え!!」
「うわっバカッ!その魔法、
一度喰らってんだよ。」「なにぃっっっ!??」
紫の光を纏ったレンガが突然背後に現れる。
その直後、さっきまでレンガのいた即席結界の中心に巨大な炎と爆発が巻き起こる!
「うわぁぁっ!」突然の爆風で生徒は地面に投げ出された。
「18人目の相手役なら、遠慮なくいくぜぇっっ!!」
空中で身体に纏っていたネオンを一瞬で木剣に集中させると、全力で振り降ろす!
「いや、ま「ドゥッ!!」----------ドガッッ!!!!」
「ふぅーーっ」
自由落下に任せて落ちてきたレンガが突如ネオンに包まれて消失すると、地面にネオンと共に出現する。
その後、地面に激突してのびたピサーラ先生を華麗にスルー、残りの相手役の生徒を見ると既に降伏の意志を示す武器の放棄により、戦闘終了の合図の笛が鳴る。
観客席はあまりの内容にしばし沈黙が続いていたが、最上段の若草色のワンピースの女性からの祝福の言葉を皮切りに、これまで聞いたことも無い様な拍手と健闘を称える賛美が訓練場を埋め尽くし、しばし止むことは無かった。間違いなくこれまでの公開訓練史上で最高の戦いであり、後のちに語り継がれる事となる。
既に終了の宣言をする人物はいないものの、ようやくレンガの戦闘訓練は終了した。
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「自在に転移、、、ようやくモノにしたのね、レンガ。ふふっ」
オフェリアは満足げに笑い、会場を去っていった。次のレンガの訓練メニューを考えながら。。。
「すごかったよねーレンガ。なんかもう別人って感じ。ね、ルミナ?」
「ん・・・そうだね。ちょっと寂しいね。。」
「さっきはあれほど大声でおめでとーを連呼してはしゃいでいたのに。ほらっ!急がないと!」
ポンっと背中を叩いてどこかへ急かすマナに、不思議な顔をしているルミナ。
「ちょっとマナ?どこへ急ぐの??」
「決まってるじゃない、来るわよぜったい。今日は忙しくなるわよーーーなんたってヒーロー行きつけの店なんだから、ウチの店!」
「・・・・!!そうだね、準備しなきゃね!!」
立ち上がったルミナの顔は、もういつもの人懐っこい笑顔が戻っていた。
「あ、でもルミナ。もう風はいいから、、、、、いいからぁぁぁぁあ"あ"!!!!!」
爆風を引き連れて走り去る2人の後には、忘れさられたアップルパイが無残に残っていた。
-----------------------
その頃、浮遊都市パラネラの直下にある島「エントランスヤード」に一隻の船が入港する。
エントランスヤードとアダリア正教国を結ぶ定期航路の船である。
さまざまな恰好の人々が着岸した船から降りてきては、辺りを賑わす。
船便を荷卸しする水夫、知人との再会を喜ぶ女性、観光だろうか白いローブの女性。
一様に目指すのは、遥か上空のパラネラに入島する為に魔法機構(マキナ)を駆使した、島内各所に存在する「軌道エレベーター」だが、一般的には外部から来た人は一番大きな、通称:セントラルエレベーターから上がる為、港から一直線に港通りを進むだけだが、その男性は船から降りると、島内でも一番小さい西側のエレベーターを目指して歩き始めた。
「・・・・ただいま、パラネラ。・・・・イルミナ。」
金切り声に近いピサーラ先生の開始の号令と共に、相手側から3名の生徒が突撃してくる!
「お前っ!ルミナさんとどういう関係だっ!」
「オフェリアさんとどこで知り合った?紹介しろよっ!」
「俺はなあっ!昔っからルミナさんの事がなぁっ!」
・・・戦闘訓練だったよな?今始まったのって。
女々しい台詞とはうらはらに、しっかりと基本通りの魔法は発動しつつレンガの周りを3人で囲む。
「「「せーのっ!凍える礫!」」」
せーので合わせる辺りが訓練っぽい。ここも基本に忠実に逃げ場を作らせない為に同時発動、うまいな!・・・だが、甘い!
レンガは身体の周囲に紫色の光「転移粒子(ネオン)」を霧の様に発現させたかと思うと、そのまま身体を時計回りに回転!次いでネオンも光を増しながら回転する!
レンガに向かって放たれた氷の礫が回転するネオンに触れた瞬間、ほんのわずかに横方向へ転移して、ベクトルはそのままに突き進む。その先には、、、
「うわああぁっ!!!?」「いってえっっ!?」「うおおおおおお!?」
周りを包囲していた3人からレンガに向かって放った氷の礫は、回転するネオンに弾かれ(転移され)、その左側のメンバーに向かって勢いよく着弾、衝撃で3人は地面にもんどりうって倒れた。
そこを逃さずレンガが木剣で頭を叩く!
「イッチ!ニッ!サンッ!っと」
ポカッポカッポカッ!
キュウ。
「むぅ、、、3名脱落っ!訓練場の端へ行ってろっ!!」
あからさまに不機嫌な様子を隠す事も無く、3人に八つ当たりとも取れる口調で脱落を宣言した。
「あと、17人。」、、、楽しくなってきた。
流石にさっきのネオンを見た相手の生徒たちは警戒し、さっきの様に突撃をしてくる気配は無い。
「さっきの紫の光、、、あれが噂の転移粒子(ネオン)ってやつか。。。」
「魔法を弾くのはやっかいだな、、じゃあまとめて襲いかかって接近戦で、、、、うおっ!?」
ヒソヒソと相談していた17人の集団に向かって、正面から走ってくるレンガ!
「こいつっっバカじゃねっっ!?猛る赤き炎よ!」
「・・・・調子に乗りやがって・・・・唸れ風の息吹」
二人が魔法を発動させる気配を感じても走る速度を緩めず、右手を前にかざしネオンを発現させる。
ゴウッっと地響きを立てて襲い掛かる炎と暴風はレンガの真正面で融合し、更に大きな爆風となり勢いを増す!
「ちょっとあれは不味いんじゃないか!?」「いやぁぁぁっ!」
実践訓練には似つかわしくないほどの規模の魔法に、観客に動揺が走る。研究生とはいえ上位組の放つ魔法(ソレ)は既に命のやりとりに直結するレベルだ。
爆風がレンガに到達、突き出した右手の掌の前に展開したネオンに正面から受け止める!
「・・・・返すぞ。」
これが一番言いたかった。
次の瞬間、その爆風のベクトルを正反対に転移させて威力そのままに打ち返す!
「「うおおおぉぉぉっっ!」」「やっばいっ!!!」
ドッオオォォォンッッ!!
盛大な音を立てて訓練場の地面が爆発、あたりに土煙が舞いあがる。どうやら直撃の寸前にピザーラパイセンの魔法で軌道を地面にずらしたらしい。良かった。ちなみに後ろのやっばい!はオレの声だ。
ん、おや。ピザ・・・ピサーラ先生がこっちに来る?
「レンガくんっ!どういうつもりだ!うちの生徒が大怪我をするところだったんだぞ!」
「「「「ええええええええええええええええーーーーー?」」」」
恐らく全観客が同じ事を思ったはず。いや、それアイツ等の魔法ですやん。。。。
「ともかく、この生徒たちは特に優秀な子達なんだ。ギルド認定試験兼ねた今回の訓練で優秀な【クラス】の獲得に繋がる内容でなくてはいけない。その辺を十分に理解して続けてくれたまえ。」
「そこまで堂々と噛ませ犬の宣言をされると逆に清々しいな、、、まあ、いいけど。」
「じゃあ、怪我の無いように手加減していきます。」
いや、ホントに悪気は無かった。嫌味のつもりでも無かった。これが地雷を踏んだ。
「なにぃぃぃぃ!?手加減だと!?」
「ふっざけんなよレンガっ!!」「・・・・・ブッコロ。」
「まとめて掛かるぞっっ!いけ、融合魔法!」
それぞれが魔法発動しながら、18人が一気に向かってくる!
「猛る赤き炎よ!!」「・・・唸れ風の息吹!」
再度躊躇なく融合魔法を放ってきた例の二人組、2つの魔法の融合する前に間に割り込み、それぞれを打ち返す!と、その瞬間を狙って上空から両手剣を頭上に構えた生徒が、全体重をかけた剣戟を打ち込んでくる。
「はっっ!」
気合と共にネオンを集中、上段からの剣戟のベクトルを少し右に転移してずらす。突然自らの剣の軌道がずれた事で体制が崩れた生徒は、レンガの下からの木剣の切り上げをとっさに受けるしかない。
---- こんなひょろい攻撃っ! ----
ガツッと受け切ったと思われたが、衝撃が桁違いに強い。「なにっ!?」レンガが木剣を振りぬくと身体ごと剣に押され、吹き飛ばされて地面を転がった。
休む間もなく、今度は横一列に並んだ5人からの暴風!!
だが、特に意に介す事も無くネオンを展開して風を受け流し、疾走して間合いと詰めると、紫の光を帯びた木剣を振り抜いて、相手が受けた木剣もろとも身体を吹き飛ばす。
よく見ると木剣にネオンを纏わせており、衝撃のベクトルの方向を相手側に集中させている様だ。
「残り10人!」
「うわわ、、、」「おい、お前行けよ」
戦意喪失気味となってきた残りの生徒が一か所に固まっているのを確認すると、一直線に間合いを詰める。
「今だっっ囲めっっ!!」
固まっていた残りの生徒は掛け声とともに拡散、間合いを詰めたレンガを取り囲むように10名で包囲。とその時拡散と同時に一つの影が上空に飛び上がった。
「よし、同時発動開始!」
上空から号令を掛けるのはピサーラ先生その人であった。
「だ、だよな、18人だったもんな。。」
「「「「「唸れ風の息吹!」」」」」
などと呆れていると、レンガを囲んだ10人の生徒のうち、5人が同時発動で先ほどの風魔法を掛ける。
当然ネオンを周囲展開して打ち返すレンガだったが、、、、
「「「「「翻す彩光の鏡!!」」」」」
残りの5人が発動したリフレクションが、レンガの弾いた風魔法を、更に弾き返してくる!両方の圧力で中心のレンガは身動きが取れなくなってしまった。
「魔法を弾き返すだけなら、転移粒子(ネオン)でなくとも出来る!勉強になったかいっ?」
風の魔法、風術を利用しているのか上空で滞空しながら得意げなピサーラ先生。。観客席からは空を飛ぶ姿に黄色い声を上げる女性達と、ガッツリ訓練に肩入れしちゃった大人げない姿に呆れた人が半々。
「いや、センセ。大人げないぜ、10人がかりで。」
「な・・・・。」
その10人掛かりの継続的な風魔法と、リフレクションの即席結界の中にあっても冷静なレンガに、動揺するピサーラ。発動中の生徒からの視線が自分を責めている様に感じ始め、苛立ちが増幅していく。
「だからこその集団戦闘訓練じゃないか、レンガくん。それに、、、」
---- あ、こいつヤバイ。 ----
「10人掛かりとは限らないんじゃないかねぇぇっ!?炎よ猛り狂え!!」
「うわっバカッ!その魔法、
一度喰らってんだよ。」「なにぃっっっ!??」
紫の光を纏ったレンガが突然背後に現れる。
その直後、さっきまでレンガのいた即席結界の中心に巨大な炎と爆発が巻き起こる!
「うわぁぁっ!」突然の爆風で生徒は地面に投げ出された。
「18人目の相手役なら、遠慮なくいくぜぇっっ!!」
空中で身体に纏っていたネオンを一瞬で木剣に集中させると、全力で振り降ろす!
「いや、ま「ドゥッ!!」----------ドガッッ!!!!」
「ふぅーーっ」
自由落下に任せて落ちてきたレンガが突如ネオンに包まれて消失すると、地面にネオンと共に出現する。
その後、地面に激突してのびたピサーラ先生を華麗にスルー、残りの相手役の生徒を見ると既に降伏の意志を示す武器の放棄により、戦闘終了の合図の笛が鳴る。
観客席はあまりの内容にしばし沈黙が続いていたが、最上段の若草色のワンピースの女性からの祝福の言葉を皮切りに、これまで聞いたことも無い様な拍手と健闘を称える賛美が訓練場を埋め尽くし、しばし止むことは無かった。間違いなくこれまでの公開訓練史上で最高の戦いであり、後のちに語り継がれる事となる。
既に終了の宣言をする人物はいないものの、ようやくレンガの戦闘訓練は終了した。
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「自在に転移、、、ようやくモノにしたのね、レンガ。ふふっ」
オフェリアは満足げに笑い、会場を去っていった。次のレンガの訓練メニューを考えながら。。。
「すごかったよねーレンガ。なんかもう別人って感じ。ね、ルミナ?」
「ん・・・そうだね。ちょっと寂しいね。。」
「さっきはあれほど大声でおめでとーを連呼してはしゃいでいたのに。ほらっ!急がないと!」
ポンっと背中を叩いてどこかへ急かすマナに、不思議な顔をしているルミナ。
「ちょっとマナ?どこへ急ぐの??」
「決まってるじゃない、来るわよぜったい。今日は忙しくなるわよーーーなんたってヒーロー行きつけの店なんだから、ウチの店!」
「・・・・!!そうだね、準備しなきゃね!!」
立ち上がったルミナの顔は、もういつもの人懐っこい笑顔が戻っていた。
「あ、でもルミナ。もう風はいいから、、、、、いいからぁぁぁぁあ"あ"!!!!!」
爆風を引き連れて走り去る2人の後には、忘れさられたアップルパイが無残に残っていた。
-----------------------
その頃、浮遊都市パラネラの直下にある島「エントランスヤード」に一隻の船が入港する。
エントランスヤードとアダリア正教国を結ぶ定期航路の船である。
さまざまな恰好の人々が着岸した船から降りてきては、辺りを賑わす。
船便を荷卸しする水夫、知人との再会を喜ぶ女性、観光だろうか白いローブの女性。
一様に目指すのは、遥か上空のパラネラに入島する為に魔法機構(マキナ)を駆使した、島内各所に存在する「軌道エレベーター」だが、一般的には外部から来た人は一番大きな、通称:セントラルエレベーターから上がる為、港から一直線に港通りを進むだけだが、その男性は船から降りると、島内でも一番小さい西側のエレベーターを目指して歩き始めた。
「・・・・ただいま、パラネラ。・・・・イルミナ。」
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