テクノブレイクで死んだおっさん、死後の世界で勇者になる

伊藤すくす

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第二章: 天使殺し

第八話

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ジャギの死因は寄生型のビーストによる窒息死だったが、誰のビーストかは分かっていない。だが、もう一人の侵入者のビーストじゃないのは確かだ。

ヤツのビーストはカモフラージュ能力を持っている。能力は一人に一個しか与えられていない。だったら誰がジャギにビーストを寄生させたんだ?

他のサウス軍の人間がジャギがヘマをした際に殺せるように寄生させていたか、それともノース軍の誰かか。

それにしても恐ろしい能力だな。相手の知らない間にビーストを寄生させて、好きなときに殺す。
それとも発動条件とかあるんだろうか?

ちょっと待てよ。もし好きなときに殺せるなら、俺たちとジャギのやり取りを見てたってことになる。

だったら、犯人は今、ノース軍本部にいるのか?

いや、まだ確実じゃないな。たまたま能力を発動させたのが尋問中だっただけかもしれない。

ヤバイな。頭がこんがらがって来たぞ。少し整理するか。

ジャギに能力を与えたのはカモフラージュ使い。そしてそいつが今ノースエンドに居ると考えるのが普通だ。俺が最初にジャギの『声』を聞いたとき、俺たちが来るってバレてたからカモフラージュ使いは近くにいたはずだ。

それとも、寄生型使いがもう一人の侵入者で、ヤツもカモフラージュ能力を与えられていたのかもしれない。

じゃあ何で俺はジャギにしか気付かなかったんだろう?

俺の能力にも分からない部分があるが、ジャギの声が聞こえていたなら、寄生型使いの声も聞こえてもおかしくないだろう。

もしかしたら、エレメントの強さが影響しているのかもしれない。

ジャギのエレメントはそこまで強くなかった。だから俺の能力で声が聞けたんだ。じゃあ本当のカモフラージュ使い、若しくは寄生型使いは相当強いってことになる。

そしてカモフラージュ能力が自身の持つエレメントを反転させる能力なら、カモフラージュ後は高い光エレメントを持つことになる。そこまでの能力を使えるヤツなら、ノースエンドで大天使になっていても不思議ではない。

大天使の中に裏切り者がいるのか?でも、これは仮説に過ぎない。エレメントを部分的にカモフラージュ出来る能力かもしれないしな。

でも試してみる価値はある。皆んなを調べるべきか。スイとカンナはすでに調べたとして、あと八人調べないといけないのか。全員が納得して受けてくれるとは思えないな。

「ハジメ様」
うん?ああ、イリスか。何か久しぶりだな。いつも通りメガネ秘書って感じだな。

「どうした?」
「アルバッド様がお呼びです」
アルバッドが?どうせ、ろくな用じゃないだろ。

言われるがまま、俺はイリスに付いて行った。ここはどこだ?まだ来たことないな。でも大体の予想はつく。

扉に木で出来た、ぶら下げるタイプの看板が掛かっていたからだ。

しかも、その看板には『アルバッドの部屋』って書いてある。

小学生の部屋じゃねえか。

コンコン。イリスが扉をノックした。

「どうぞ」
扉を開け、イリスが俺のために扉を押さえてくれた。流石は秘書だな。

「アルバッド様、ハジメ様をお連れしました」
「うん、ありがとうイリス。君は戻っていいぞ」

そう言われ、お辞儀をした後にイリスは部屋を出ていった。

「ハジメ!スイとカンナから聞いたぞ!すごい活躍だったそうじゃないか。それにビーストも使えるようになって、私が教えることはもう何もない!」
「相変わらずだな。それで、要件は何だ?」
「カンナはどうだった?」
「ツンデレだった」
「君もそう思うか。ってそうじゃない!」

アンタが勝手に言ったんだろ。

「君も知ってると思うが、天使が二人も殺された。それに、ジャギと言う輩はただ利用されていたらしい。と言うことはだ、ノースエンドにもう一人侵入している可能性が非常に高い。しかし、君の能力ですら見つけられなかった」

誰だよ、勝手に俺の能力をこのエロ親父に教えたのは。カンナだな。絶対にカンナだ。後で取っちめてやる。

「そこでだ。見つけられないなら、おびき出してやろうと思ってな」
「おびき出す?」
「ああ。多分だがサウス軍の狙いは君だ、ハジメ。奴らも史上最強の光使いの噂を聞いたんだろう。それで調査するためにスパイを送って来た。天使たちを殺したのは、ハジメの能力を見たかったんじゃないかと私は思っている。それを逆手に取ろうって話なんだが、どうだろうか?」

アルバッドにしては悪くないんじゃないか?つまりは、サウス軍の狙いである俺を差し出して、ノコノコやって来たカモフラージュ使いを取っ捕まえるって考えか。

「いいんじゃないか?俺でいいなら協力するぞ」

おお!、と喜んでいるアルバッドの後ろでドタバタと言う音が聞こえた。

「何事だ?騒々しい」

扉を開けると、そこに立っていたのは、俺たちにテン・ペンが殺されたことを知らせてくれた伝達係だった。

何か嫌な予感がするな。
アルバッドもそう感じたのか、表情が険しくなっている。

「どうしたんだ?」

息を切らせていた伝達係が少し間を置いて、こう言った。

「も、もう一人の侵入者が見つかりました!」
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