テクノブレイクで死んだおっさん、死後の世界で勇者になる

伊藤すくす

文字の大きさ
35 / 86
第五章: アイスブレーカー

第三話

しおりを挟む
「ふあああ」
久々に熟睡出来た気がするな。これは疲れてたのか、それともカンナとのラッキースケベ効果か?じゃあ今度から熟睡したい時はカンナの所へ行こう。そしたら、また何か良いことがあるかもしれない。

「何をニヤニヤしながら語っている」

顔に出てたか?抑えないとヤバイな。色んな人に突っ込まれちまう。でもそれだけ良かったんだ。タオル一枚の下には、カンナの生まれた時の姿があったんだ。思い出しただけでも興奮しそうだ。嫌われてでもタオルを引っぺがすべきだったか‥‥‥

いやいや!俺はそんなことしないぞ。正当な方法で俺はカンナを脱がすんだ!そして裸を拝む!

「覗いてた時点で正当などない」
的確なツッコミありがとう、ノア君。段々お前の能力の扱い方も分かって来たぜ。お前の言うことは大抵スルーさせて貰うぜ!

ギロリと睨まれたが、そんなの関係ねえ。俺の頭の中で考えてることなんだから、誰かに迷惑をかけてないし、ケチを付けられる筋合いはない。だから俺は遠慮なくエロいことを考えることにしたぜ。

「そうか。そんなことはどうでもいい。出発するからさっさと出ろ」
もうそんな時間か。ちょっと寝すぎたな。

「おはようー」
「おはよう、ハジメ君」
一番最初に外にいたのはアーロンだった。

「よく寝れたかい?昨日寝付けなかったらしいけど」
「え?あ、まあ」
ノアの奴だな。アイツ全部聞いてやがったのか。

「おはようございます」
「おはいよー」
カンナも眠そうに見える。俺が風呂から上がった後、どれくらい風呂に残ってたんだろうか?アナはただの寝坊助だな。

「よし、皆んな揃ったね。じゃあ今から家を壊すよ」
家を壊す?折角作ったのに壊すのかよ。

「疑問に思ってる顔だね。もう誰も使わないだろうし壊さないとね。それにエレメント回復にもなるし」
家を壊すことでどうやってエレメント回復するんだよ。

「まだ分からないの?まあ見てなさい」
カンナは小さなテディベアサイズのビーストを何体か創った。そのビーストは黒子みたいな服装をしていた。これがカンナの趣味なのか。結構和風なんだな。

カンナが命令すると、ビーストたちは両腕を上げながらワーッと一斉に動き出した。すると何と、黒子たちは家を齧り始めた。

「ビーストに食べさせることで自分のエレメントを回復することも出来るの」

そう言うと、アーロンも同じことを始めた。アーロンのビーストは中型の龍だった。これもまたアジアンテイストだな。

俺もやってみるか。強いビーストを創る練習にもなるし。この家を食べるなら大きめのビーストが良いかな。

良し。今回は熊をイメージしてみるか。デカい熊、そして早食いの熊。先ずはエレメントで熊を作ってと。そんでもって魂を入れると。

あっ、そう言えば俺の魂はチ◯コから出るんだった。忘れてたぜ。まだちゃんと手から出す練習をしてなかったんだ。

そんなことを考えている間に、カンナとアーロンで家の片付けを終わらせてしまっていた。

「アンタ、サボってたでしょ」
昨日の風呂場での天使はどこへ行ってしまったんだ。あんなに目をとろけさせてたのに、今は睨まれている。でも、これはこれでアリかもしれない。

そんなこんなで、俺たちはカルタ村に向けて飛び始めた。森の中の木々を掻い潜りながら飛んでいるんだが、それが地味に難しい。他の皆んなはスイスイと枝を避けているが、俺は結構な確率で当たっている。いつも森の中を飛ぶとすり傷だらけになっちまう。

「ちょっと待て」
暫く飛んでいると、ノアが動きを止めた。

「どうした?」
「誰かがこっちへ向かっている」

誰だ?サウス軍か?
俺たちは飛ぶのを一旦止め、木の上で隠れていた。すると、下の方でザッザッと言う音がした。その音は弱々しく、耳を立てないと聞こえないくらいだった。

「近づいている」
ノアの説明がないと、本当に近づいて来ているのかも分からないくらいの小さな音だった。数分待っただろうか。音の正体が現れた。

「子供か?」
俺が地上に降りたことによって皆んなの警戒心が無くなったのか、全員降りて来た。

虫の息になっている少年を抱えた時、俺は異変に気付いた。はだけた衣服から見える腕と脚、そして顔の頬が酷く腫れていた。凍傷か。もう何が起きてるか皆んな勘付いてるみたいだな。

この子はきっと、ヴァンの能力で凍傷を受けたんだ。そして助けを求めて歩いてた。ってことはヴァンは前のアナと同じで能力をコントロールすることが出来ないのか。これは慎重にいかないとな。

それよりも、どうしたら良いんだこの子は。

「ハジメ」
ノアが、俺の方を向きながら首を横に振っている。どう言うことだよそれ。

「彼の声が聞こえない」
「でも息はしてるじゃねえか!」
「もう長くはない」
ノア曰く、瀕死状態の人の声は聞こえないらしい。

「ハジメ‥‥‥」
俺の肩にカンナが手を置いた。もう諦めろってことなのか。

その数分後、少年は塵となった。俺はエレメントで小瓶を作り、風に飛ばされる前に、瓶で少年の亡骸である塵を瓶ですくった。

すまない。もっと早くに来れていたら、お前を救えたかもしれない。本当にすまない。せめて、故郷のカルタ村まで連れて行かせてくれ。

残りの旅路中、誰も話すことはなかった。そして、俺たちはカルタ村に着いた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

処理中です...