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第八章: プレイング・ウィズ・ダークネス
第十三話
しおりを挟む「サド、お前‥‥‥」
俺は現実に戻り、戦場にいた。目の前にいたサドを見て、感情が込み上げ、目頭が熱くなった。
「カドには会ったのか?」
カドの名前を聞き、サドの目が少し開いた。
「なぜカドの名前を知っている。お前も一派の仲間か?」
コイツ、俺のことをジュウモンジ一派の者だと思ってるのか。
「いや、ただお前の記憶を見ただけだ」
「ほお、ゴンゾウから面白い奴がいると聞いていたが、お前のことだったのか」
ゴンゾウの奴、勝手にどっかに行ったと思えば、変な伝言を残しやがって。
「こっちに来て、カドには会ったのかって聞いてんだよ」
「お前には関係のない話だ」
「ああ、関係ねえよ。でもよ、会えるのに会えないって悲し過ぎるだろ!」
カドはノースエンド、サドはサウスエンドに行ったことで、同じ世界にいるのに二人は会えなくなってしまった。
でも、会える方法が何個かある。それは、サドが光エレメントを上げる方法。そしてもう一つが、軍に入ることだ。
サドの場合は後者が適当だろう。サドの記憶を見た限り、闇が強すぎて光を増やすことは困難だ。だとしたら、軍に入り、敵国と戦えば、カドに会えるかもしれない、という事だ。
サボンもザバンも、お互いに会えるかもしれないと願い、入隊したのかもしれない。
「お前もそうなんだろ?」
「なんだと‥‥‥?」
「カドに会うために入隊したんだろって言ってんだよ」
そう言うと、サドはフッと笑った。
「実に面白い奴だ、お前は。この状況で人のことばかりを気にしている。だが、その通りだ。残念なことに、カドにはまだ会えていないがな」
サドの雰囲気が少しずつ柔らかくなっているのが分かる。
「お前に聞きたい」
急にサドが聞いてきた。
「私の人生は失敗だったと思うか?」
俺は思いっきり首を横に振った。
「アンタはやるべき事をやったと思う」
敵に同情する訳でもないし、殺人が正解だとは決して思わない。だが、あの時、あの状況でサドはサドなりに出来るだけのことをした。ただそれだけだ。
「もう一度会いたくなった」
サドは刀をしまった。そしてこう呟いた。
「カドとお前にな」
そう言い、サドは何処かへと消えた。
最後の言葉はどういう意味なんだ。俺にまた会いたいってことなのか。
「ハジメ様。何をやったのかは分かりませんが、流石です」
どうやら俺が能力を使ってる間は時間が停止しているみたいだ。だから、サボンにとっては急にサドが戦闘を止めたことを不思議に思っているんだ。
「俺の能力を使っただけだ。そんなことより、早く行くぞ、サボン!」
サド・カド兄弟を会わせることは出来なかったが、サボンだけはザバンに会わせるんだ。
サドとの交戦など紆余曲折を経て、やっとザバンの所まで戻って来れた。
「連れてきたぞ、ザバン」
サボンを見たザバンの目は見開いていて、口は開きっぱなしだった。そして、それはサボンも同じだった。
「兄さん‥‥‥?」
「‥‥‥サボンなのか?」
成長したサボンを見ても、面影があるのだろう、目の前にいるのが自分の弟だと認めるのにそう時間はかからなかった。
二人は歩み寄り、抱擁を交わした。その目には涙が浮かんでいた。涙には、お互いが、兄弟が、敵対していることの虚しさと、長年会えたことへの嬉しさが含まれていた。
これだ。これが俺の目指す戦争の終わらせ方だ。まだA地区でしか出来てないが、絶対全てを終わらす。そしてもう一つ、目標が出来た。
それは、ノースエンドとサウスエンドの区別を無くすことだ。サドやザバン、それに他のサウスエンドの奴らの中には、今のルールに当てはまらないのが沢山いる。
コイツらはエレメントだけを見ると、闇の方が多いかもしれない。でも、そうなってしまった背景や理由を見ないと、その人の本質が分からない。そのせいで、色々な人が不幸になっている。サド、サボン、ゴンゾウだってそうだ。
そうと決まれば、早くカンナたちの所へ戻らねえと。残りの神の子を見つけ、一刻も早くこの戦争を終わらせるんだ。
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