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2”夜の世界でも
しおりを挟む「それでどうなんだ?仕事?」
「なんと!!やめたぜぇ!!」
「はぁぁ」
「はぁぁ」
虫がへばり付く街灯を背に男が三人。星すら拝めない程の光を帯びた街灯には虫が集まり踊り出す。その数はザッと数百匹と言っても過言ではない。誰にも使われていないコインパーキングに居座り、キャンプ用の椅子を開き、灰皿を置き、長い長い時間共に過ごして来た数少ない友人と談笑する。これ程の幸せは無いと断言出来てしまう。
「‥でも、はぁぁ女の子と手を繋ぎたい。」
「唐突だなぁ。でも分かるぜぇ、俺は甘えるタイプだ。」
「聞いてねぇよこの中で一番可能性がないんだから。」
側から見れば、輩が夜に溜まって騒ぐ光景に近い物。しかしながら近所に住む人達に迷惑をかけぬ様、小声で話す三人。誰にも使われていないこの場所。但し誰かの所有地であることは確か、誰かに見られれば通報されて注意を受けてしまう。
しかし、此処には誰も来ないのだ。車も無ければ、余り人も通らない。警察に限っては見回りに来るも前だけを向いて僕達のことを素通りする。
「失礼な事言ってくれるゼェ!!残念ながら一足先に‥かも知れないゼェ!!」
「おい!!嘘だろ‥お前!まさか。」
「ふん、聞いて驚け!!俺にも春が来たんだヨォ!!」
「嘘だぁぁ!!」
先ほどの事を修正する。僕だけがご近所様に配慮していた見たい。他2人はゲラゲラ笑いながら大声ではしゃいでいる。1人用のキャンプチェアーではなく。細長いタイプの2人用のチェアーに仲良く座り缶酎ハイを手に持ち、傍ら電子タバコを持ちはしゃぐ男2人は、高校生からの付き合いだ。
仁王立ちして、鼻息を上げる春が来たと豪語する男が、嘉山 翔真。そして、電子タバコを持ち地面に手を置き膝を突き絶望している男が、安逹 功輝。
低身長と高身長コンビ。2人は幼馴染で仲が良すぎるのか同じ高校へ入学。色々とあり僕も仲良くなり、今日に至る。
決して悪い2人ではないが、柄は悪い。でもそんな2人を知れば知るほど、好きになり親しくなった。
僕の周りから消えなかった唯一の友達。
「んで、大河は?」
「いや、僕はいつも通りだよ。」
「へへぇん?じゃあやっぱり俺が一番のっちゅう訳ですねぇ。兄さん方。」
「いや鬱陶しい。もう死んでよ。」
「言い過ぎだろうが!?。言い過ぎてるよ。親友に向かって」
「だってそうだろ?‥はい、今日で終わりです。貴方と友達と言う関係は。これで全てお終いです。」
罵詈雑言が飛び交っているが、他人様には一切こんな口振りはしない。当たり前ではあるがこの2人はしっかりと線引きがついている。腐れ縁だからこそ、成り立っている。仲の良い2人に割って入る隙がなくなってしまうと、僕は暇になり2人の喧嘩を見ながらしっぽりとお酒を飲む。
そんな僕は、竹内 大河。見ての通り独身で彼女すら出来た事がない。身長も普通でお世辞にもイケメンなんて言えない。家庭上勉強をしないと五月蠅かったから、頭はこの2人に比べれば良いと思う。高校生時代からそんな感じだった為、モテる事もなく今日まで生きて来た。
「ったく、いつもそのセリフだ。」
「いやいや、こう言う奴に限ってちゃっかり的な?」
「ある訳ねぇだろ?知ってんだろ?」
「あぁ、そうだったな。すまねぇすまねぇ。」
「いいよ。縁は切っているから。」
そもそも家庭の事情で、恋人を作る事もできなかった。人との関わりすら作らせてくれなかった。
高校を卒業して、直ぐに家を飛び出したさ。でも箱入れであった僕には社会が何足る物なのかを教えられた。
お金を貰う事がどれだけ大変かを身に沁みて覚えた。
働き生きる為のお金を稼いだ。必死になり過ぎて疲れてしまったよ。全てが嫌になって地元に帰り、お父さんに謝ろうとこの地に帰って来たものの怖気付き実家の前で身体が震えて結局、数時間実家の門の前で直立不動。
通りすがりのご近所さんに不審者がいると通報されて、警察に追いかけられ、逃げた先にこの場所を見つけたんだ。
あの時は、車もあり、人も沢山居たんだ。車体がスレスレな黒い車があり、夜なのにサングラスをかけた怖い怖い男の人達に、露出度がかなり高く爪の長い女性に。
此処は、当時この地区で有名なヤンキースポットだった。
そんな場所に足を踏み入れて、何故だが車の止まっていない箇所に行き、縁石に腰を下ろして目をつぶってしまった。周りの全ての物が怖く無くなってしまった。実家に帰り、お父さんの説教が待っていると感じると。何も恐く無かった。
何も無いから。お金も無いし、頼れる友人もいない。
何も無いから。失う物も無い。だからこそ何処かに恐怖心を落としてしまった。
「それしても、静かな場所だなァァ。」
「話を逸らすなぁぁ!!春が来たんなら事細かに教えろよぉ!!」
「どうしようかな??」
「うぬぬぬぬ。こうなったなら!!」
いた。
「え?」
「ん?」
「うるさい。大河が小さくなってるだろうが。」
でも、何も無い僕にもたった1人の家族がいる。
存在感を消し騒ぐ2人の背中にピッタリくっ付き長い腕で肩を掴む。あれだけ騒いでいた2人を最も簡単に鎮圧下。あれだけいたこの駐車場の住人達も、そそくさと退散していく。
「おはよう。くず。」
「今は、夜だ。」
この世でたった1人の家族。
この世で1番の悪者。
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