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第一章 サキの話
クリスマス①
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ユウジの部屋で迎えたクリスマス。ユウジはいない。居酒屋の店長であるユウジが早く帰ってくる夜なんてないのだが、サキは彼の部屋にいた。何をするわけでもなく、ただただ彼を待つ。
クリスマス、彼の部屋にいる女性はみんな手料理をふるまっているのだろうか。一体、どんな料理を作るのだろう。そんな事をぼんやりと考えながらも、料理を作る気配はない。
大学を卒業して5年。派遣社員からなんとか正社員になれたが、残業続きの日々に料理する気力も残っていない。
いつもならスーパーの半額シールが貼られた弁当片手に、一人暮らしのアパートに帰る。冷めた弁当を温めなおすこともせずかきこむと、いつの間にか寝てしまい翌日慌ててシャワーを浴びて出社する事も珍しくない。
土日休みのサキとユウジではデートもままならず、もちろんクリスマス・イヴもクリスマスも会う約束はしていない。
だが、付き合って初めてのクリスマス・イヴ。なんとなく寂しさがこみあげ、ふらりとユウジの部屋に立ち寄った。予想通り、時計の針が0時を過ぎてもユウジは帰ってこない。
やっぱり帰ろうかな。そう思いながらも、時計の針が進んでいく。
ユウジのために用意したプレゼントを眺めては、喜んでくれるだろうかと不安になる。
重い女、面倒な女、そんな風に思われたらどうしよう。嫌われたくないと思えば思うほど、素直に自分の気持ちを言えない自分がいた。
もっと可愛らしくワガママを言えたなら……。
そう思う反面、そんな人をユウジは好きにならないのではとも思う。自問自答を繰り返しながら、いつの間にかサキはユウジの部屋で眠っていた。
クリスマス、彼の部屋にいる女性はみんな手料理をふるまっているのだろうか。一体、どんな料理を作るのだろう。そんな事をぼんやりと考えながらも、料理を作る気配はない。
大学を卒業して5年。派遣社員からなんとか正社員になれたが、残業続きの日々に料理する気力も残っていない。
いつもならスーパーの半額シールが貼られた弁当片手に、一人暮らしのアパートに帰る。冷めた弁当を温めなおすこともせずかきこむと、いつの間にか寝てしまい翌日慌ててシャワーを浴びて出社する事も珍しくない。
土日休みのサキとユウジではデートもままならず、もちろんクリスマス・イヴもクリスマスも会う約束はしていない。
だが、付き合って初めてのクリスマス・イヴ。なんとなく寂しさがこみあげ、ふらりとユウジの部屋に立ち寄った。予想通り、時計の針が0時を過ぎてもユウジは帰ってこない。
やっぱり帰ろうかな。そう思いながらも、時計の針が進んでいく。
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重い女、面倒な女、そんな風に思われたらどうしよう。嫌われたくないと思えば思うほど、素直に自分の気持ちを言えない自分がいた。
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