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第1章 出会い
やまだ食堂③
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気付けば、すっかり話し込んでいた。
彼氏と同棲するつもりでいたが、転居したその日にフラれてしまったこと。前のアパートにはもう次の入居者が決まっていて戻れないこと。結婚を見据えていたはずなのに、結婚どころか住むところさえ失ってしまったのだ。恥ずかしくて、まだ誰にも打ち明けられないでいた。それなのに、何故だかここでは不思議と何もかも吐き出せた。
ちなみに、このやまだ食堂は清三とトヨが結婚後に開いたお店らしい。3人いる息子達は会社勤めをしており、そろそろ店仕舞いを考えていたところに孫の清子が名乗りをあげた。清子が店を継いで3年余り。徐々に仕事を引き継ぎ、今ではすっかり清子一人で切り盛りできるまでになった。
そんな互いの身の上話をするうちに、二人はすっかり意気投合していた。
「ゆう子ちゃんには悪いけど、こんなに楽しいお酒は久しぶりじゃ」
「清三さんもトヨさんも他人事だと思って笑ってくれちゃって。でも素敵なご夫婦ですね」
「え、見えるのかい」
清三が驚いた顔でゆう子を見た。
「酔っぱらっていても、それくらいちゃんと見えてますよ。トヨさん、お酒も飲まないのに清三さんの晩酌に付き合って、誰がどう見ても素敵なご夫婦ですよ」
清三はコップの中のビールを飲み干し、目を細めて懐かしそうに笑った。
「飲み過ぎると体を壊すと言ってばあさんによく叱られたもんじゃが、今日は怒っとらんかの」
イタズラ少年のような顔でゆう子を見る。ゆう子がトヨに目をやると、トヨはこちらを見てにっこり笑っていた。
「今日は怒ってないみたいですね。私の不幸話に免じて」
「ハッハッハッ、それは良かった」
彼氏と同棲するつもりでいたが、転居したその日にフラれてしまったこと。前のアパートにはもう次の入居者が決まっていて戻れないこと。結婚を見据えていたはずなのに、結婚どころか住むところさえ失ってしまったのだ。恥ずかしくて、まだ誰にも打ち明けられないでいた。それなのに、何故だかここでは不思議と何もかも吐き出せた。
ちなみに、このやまだ食堂は清三とトヨが結婚後に開いたお店らしい。3人いる息子達は会社勤めをしており、そろそろ店仕舞いを考えていたところに孫の清子が名乗りをあげた。清子が店を継いで3年余り。徐々に仕事を引き継ぎ、今ではすっかり清子一人で切り盛りできるまでになった。
そんな互いの身の上話をするうちに、二人はすっかり意気投合していた。
「ゆう子ちゃんには悪いけど、こんなに楽しいお酒は久しぶりじゃ」
「清三さんもトヨさんも他人事だと思って笑ってくれちゃって。でも素敵なご夫婦ですね」
「え、見えるのかい」
清三が驚いた顔でゆう子を見た。
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「飲み過ぎると体を壊すと言ってばあさんによく叱られたもんじゃが、今日は怒っとらんかの」
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「今日は怒ってないみたいですね。私の不幸話に免じて」
「ハッハッハッ、それは良かった」
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