ユーレイ食堂

第3章 年下の男の子

リベンジデート①

　朝８時、セットしておいた携帯のアラームが鳴る。

　ゆう子がアラームを消して布団の中でゴロゴロしていると、再びアラーム音が室内に鳴り響く。それを何度か繰り返し、ようやく８時半頃布団から抜け出す。

　窓を開け言葉にならない声を出しながら、背伸びをする。

「んあああああああー」

　トイレと洗面を済まし、部屋の小さな文机の上に鏡を置く。化粧ポーチから取り出した化粧水をたっぷり手に取り、勢いよく顔に叩きつけた。厚化粧にならないよう気を付けながらも、しっかりと時間をかけメイクする。

　メイクが終わると今度は押し入れを開け、服を選ぶ。選ぶほどの衣類もないのだが、花柄のワンピースと無地のワンピースを取り出し横に並べた。

　花柄は張り切り過ぎかなぁ……

　でもベージュのワンピースだと老けて見えるような……

　なかなか決められず、結局デニムに白のブラウスというシンプルな装いに落ち着いた。薄いピンクのパンプスと淡いグリーンのバッグを持って一階に降りる。

「おはようございます」

はにかみながら挨拶をするゆう子。

「おはよう」

清子がニヤっとしながら振り返る。

「晩ご飯までには帰ります」

「了解。今日の映画は面白いと良いわね」

「はい！　じゃぁ、行ってきます」

　満面の笑みを浮かべ、やまだ食堂の暖簾をくぐった。