ざまぁが大事だから断罪は割愛します!

樹林

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前編

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「では、これで失礼する」

真実の愛を見つけたらしい婚約者が、新しいお相手を連れて去って行く。

彼はこの国一番の名家の息子で、私はこの国の物流の70パーセントを担う財界の権力者の一人娘。

それがどんな意味を持つのかも知らず、婚約者は楽しそうに真実の愛とやらで結ばれた女子生徒と腕を組んで楽しそうな笑顔を残して扉を閉めた。

心配そうに私を見る先輩方に、婚約者の卒業パーティーの場を汚す発言を謝罪してから会場を出て待っていた送迎の車に乗り込むと、後部座席で一人クスクスと笑い出す。

「守備は?」

「バッチリですよぉ」

「あたし達がミスなんてする筈ないです」

オネエの双子で私の影である安西姉妹がニヤリと笑い、兄の海斗が車を発進させて私達はある場所へと向かう間の話題はやはり婚約者の事。

「お嬢様ぁ、六平むさか家への手土産はどこれだけでいいのぉ?」

弟の陸斗に聞かれて大丈夫だと答え、目を閉じてこれからの事を考える。


私は鈴森緋奈すずもりひな


幼少の頃から七辻財閥の総帥となるべく育てられ、伴侶は見目と社交能力の高い者であれば良いと言われていたわ。

でもね、馬鹿だとああなる可能性が高いのよ。

お父様にも愛人が7人もいるし、お母様には彼氏がたくさんいるけど2人はとても仲が良くて親友、戦友といった感じだけど、あの婚約者とは両親のような関係は築けないと思っていた所だからちょうどいい。

「緋奈様ぁ。あの2人が六平家に入りましたよぉ」

「婚約破棄の報告と新しい婚約者のお披露目をしようという所かしらね」

「うちのお嬢様を敵に回すなんて·····あたしにはできないわね。後で何をされるか考えただけで恐ろしいわ」

「あたしも無理よぉ!緋奈様と戦うなんて無理無理無理ぃ!」

失礼過ぎる影達に頬を膨らませるとケラケラ笑う·····私達は主従であり戦友であり、親友。

10歳も上の人達を親友だなんて失礼かもしれないけど、私達3人は世界で共に戦い、共に笑って来た仲間だもの。

「六平家に着きますよ」

「いざぁ!」

「少しは楽しませてくれるといいわね」

3人で顔を見合わせて笑い、六平家へと車を乗り入れる。
この無駄に豪華な屋敷の修繕費の全額を我が鈴森家に負担させ、婚約という名の搾取を行って来た六平家の長子は親にそーっくりで笑える。

「どうぞぉ」

陸斗が車のドアを開けて降りると、真っ青な六平家当主と呆れ顔で兄を見る次男の瑛士、そして不機嫌そうな顔で私を見る元婚約者と真実の愛のお相手が玄関ホールに立っていた。
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