2 / 8
能天使の苦悩
しおりを挟む
あの方のおこした戦争のせいで能天使の仲間達の多くが堕天してしまい、残った私達も上から常に監視されてる。
悪魔と実際に戦う役目を担う能天使は悪魔との接触が最も多くて、今でも監視に耐えきれずに堕天する仲間はいるからね。
私達の次に悪魔との接触が多いのが、魂を途中まで迎えに行くチビ達。
その護衛をするのも私達の役目なんだけど、最近は重い魂が多くて中々上がって来ない魂が多いから気付けば悪魔に取り囲まれてるなんて事もある。
────今のように。
3人の能天使で8人のチビ達を囲むようにして悪魔に対峙したんだけど、今日の相手は最悪すぎる。
「パイモン様·····」
「やあ君達。久しぶりだね」
私達を率いていた方とこんな所で会うなんて最悪すぎるけど、今は天使と悪魔よ!
「あなたがわざわざ出てくるという事は、相当な大物の魂という事なのでしょうね」
「ふふ、それはどうかな?ねえ、ミルリム。君はまだ私の所へと堕ちて来てくれないのかな?」
「いい加減に勧誘するのはやめて頂けませんか?そのせいで要注意天使としてラファエル様とカマエル様に鈴まで付けられてるんですからね!ラジエル様にはいつも見られてるし散々ですよ!」
「おや、私の物に2人がかりで鈴をつけたのかい?最初に君に鈴をつけたのは私なのに酷いなあ」
「は?」
「堕天する直前に、君に可愛い鈴をつけたんだけど気付かなかったみたいだね」
そんなものがどこにあるのかと、つけられそうな場所を探しても見つからない·····騙された?
「私がここに来たのはね、今日こそ君を連れて行こうと決めたから。さ、諦めて私と共に行こう」
「絶対に嫌です!」
守りながら悪魔と戦うのは難しいけど、魂にチビ達の光さえ当たればその時点で私だけの勝ちだと知っているから、パイモン様を除いて20体はいる悪魔達と戦い倒して行く───てか、ニヤニヤとこっちを見るのはやめてもらえませんかね!
最後の悪魔を倒して仲間と共にパイモン様に斬り掛かろうとしたその時、チビ達の光が魂に届いてくれたからホッとして其方を見ると、人間の魂ではあるのだけどよく知る気高さを持つ魂が上がって来て私達は息を呑んだ。
その隙をついたパイモン様は、私と·····ウリエル様によく似た気高さを持つ魂を掴んで一気に魔界へとかけ戻る。
「ちょ、離してよ!チビ達の光が当たった魂を連れ去るのはルール違反でしょうが!」
「其方が勝手に決めたルールを悪魔に押し付けられても困るな。守るべきであっても、欲しいものが2つ共手に入る機会を私が逃す筈はないだろう」
「意味が分かりません!」
「妻にしたいとずっと願った者と恩寵を捨てて人間になった友人だよ。君は分かっているのだろう?この魂はウリエルだよ」
「ウリエル様が恩寵をお捨てになる筈がありません!」
「正確にはアリエルに呑み込ませたんだけどね。それを罪人達から聞いて歓喜したよ。しかも、彼の魂を迎えに行ったら君もいるし、父は私の味方をしたと思ったね」
「そんな事がある筈ないわ」
そうよ、父がそんな事をする筈がないもの。
私をお見捨てになるなんて事は·····いえ、本当にそうなの?
私は今日の任務に参加する予定はなかった。
担当者がラファエル様に呼ばれたから、カマエル様が私に行けとお命じになって急遽来る事になったのよ。
あの方達は私と人間になったウリエル様を天界に入れない為に、パイモン様に私達を引き渡したの?
其れを命じる事ができるのは父だけ。
「ああ、翼が良い色になってきたね」
パイモン様の嬉しそうな声に自分の翼を見ると、片翼が漆黒に染まっていて思わず悲鳴をあげた。
「これまで盲目に信じて来た父に、君が不信を抱いたという証拠だよ。なんて美しい黒なんだ───」
うっとりと漆黒に染った方の翼を見ていたパイモン様は私達を抱いたまま魔界に入り、そして大きな城へと案内したわ。
「ようこそ、四界王の1人にして西の王たる我が城へ。これから悠久の時を私とここで暮らす君達には敬意を表するよ」
美しい女性の顔で笑うパイモン様は、ウリエル様の魂から記憶を奪いどこから出したのか肉体を与えて自分の息子とした───その母は私。
ユーリィと名付けられた聡明で気高いウリエル様は、地獄の罪人達は彼の足音を聞くだけで怯え、魔界の住人達は歓喜する、そのように完璧な美しき魔王子に成長したけれど、善と悪の狭間にいる私の翼は黒と白のままでそれを不審がるユーリィの進言により彼から遠ざけられる事になった。
パイモン様は、これでやっと自分だけの物にできると喜んで私を遠ざけたの。
元天使で人間で現在は魔王子となった貴方がどんな存在になるのか、私はそれを見る事はできないけど·····願わくば彼の魂に救いを。
アリエル様に呑み込ませた恩寵がウリエル様の元へと戻りますように───。
この暗闇の中から祈っているわ。
悪魔と実際に戦う役目を担う能天使は悪魔との接触が最も多くて、今でも監視に耐えきれずに堕天する仲間はいるからね。
私達の次に悪魔との接触が多いのが、魂を途中まで迎えに行くチビ達。
その護衛をするのも私達の役目なんだけど、最近は重い魂が多くて中々上がって来ない魂が多いから気付けば悪魔に取り囲まれてるなんて事もある。
────今のように。
3人の能天使で8人のチビ達を囲むようにして悪魔に対峙したんだけど、今日の相手は最悪すぎる。
「パイモン様·····」
「やあ君達。久しぶりだね」
私達を率いていた方とこんな所で会うなんて最悪すぎるけど、今は天使と悪魔よ!
「あなたがわざわざ出てくるという事は、相当な大物の魂という事なのでしょうね」
「ふふ、それはどうかな?ねえ、ミルリム。君はまだ私の所へと堕ちて来てくれないのかな?」
「いい加減に勧誘するのはやめて頂けませんか?そのせいで要注意天使としてラファエル様とカマエル様に鈴まで付けられてるんですからね!ラジエル様にはいつも見られてるし散々ですよ!」
「おや、私の物に2人がかりで鈴をつけたのかい?最初に君に鈴をつけたのは私なのに酷いなあ」
「は?」
「堕天する直前に、君に可愛い鈴をつけたんだけど気付かなかったみたいだね」
そんなものがどこにあるのかと、つけられそうな場所を探しても見つからない·····騙された?
「私がここに来たのはね、今日こそ君を連れて行こうと決めたから。さ、諦めて私と共に行こう」
「絶対に嫌です!」
守りながら悪魔と戦うのは難しいけど、魂にチビ達の光さえ当たればその時点で私だけの勝ちだと知っているから、パイモン様を除いて20体はいる悪魔達と戦い倒して行く───てか、ニヤニヤとこっちを見るのはやめてもらえませんかね!
最後の悪魔を倒して仲間と共にパイモン様に斬り掛かろうとしたその時、チビ達の光が魂に届いてくれたからホッとして其方を見ると、人間の魂ではあるのだけどよく知る気高さを持つ魂が上がって来て私達は息を呑んだ。
その隙をついたパイモン様は、私と·····ウリエル様によく似た気高さを持つ魂を掴んで一気に魔界へとかけ戻る。
「ちょ、離してよ!チビ達の光が当たった魂を連れ去るのはルール違反でしょうが!」
「其方が勝手に決めたルールを悪魔に押し付けられても困るな。守るべきであっても、欲しいものが2つ共手に入る機会を私が逃す筈はないだろう」
「意味が分かりません!」
「妻にしたいとずっと願った者と恩寵を捨てて人間になった友人だよ。君は分かっているのだろう?この魂はウリエルだよ」
「ウリエル様が恩寵をお捨てになる筈がありません!」
「正確にはアリエルに呑み込ませたんだけどね。それを罪人達から聞いて歓喜したよ。しかも、彼の魂を迎えに行ったら君もいるし、父は私の味方をしたと思ったね」
「そんな事がある筈ないわ」
そうよ、父がそんな事をする筈がないもの。
私をお見捨てになるなんて事は·····いえ、本当にそうなの?
私は今日の任務に参加する予定はなかった。
担当者がラファエル様に呼ばれたから、カマエル様が私に行けとお命じになって急遽来る事になったのよ。
あの方達は私と人間になったウリエル様を天界に入れない為に、パイモン様に私達を引き渡したの?
其れを命じる事ができるのは父だけ。
「ああ、翼が良い色になってきたね」
パイモン様の嬉しそうな声に自分の翼を見ると、片翼が漆黒に染まっていて思わず悲鳴をあげた。
「これまで盲目に信じて来た父に、君が不信を抱いたという証拠だよ。なんて美しい黒なんだ───」
うっとりと漆黒に染った方の翼を見ていたパイモン様は私達を抱いたまま魔界に入り、そして大きな城へと案内したわ。
「ようこそ、四界王の1人にして西の王たる我が城へ。これから悠久の時を私とここで暮らす君達には敬意を表するよ」
美しい女性の顔で笑うパイモン様は、ウリエル様の魂から記憶を奪いどこから出したのか肉体を与えて自分の息子とした───その母は私。
ユーリィと名付けられた聡明で気高いウリエル様は、地獄の罪人達は彼の足音を聞くだけで怯え、魔界の住人達は歓喜する、そのように完璧な美しき魔王子に成長したけれど、善と悪の狭間にいる私の翼は黒と白のままでそれを不審がるユーリィの進言により彼から遠ざけられる事になった。
パイモン様は、これでやっと自分だけの物にできると喜んで私を遠ざけたの。
元天使で人間で現在は魔王子となった貴方がどんな存在になるのか、私はそれを見る事はできないけど·····願わくば彼の魂に救いを。
アリエル様に呑み込ませた恩寵がウリエル様の元へと戻りますように───。
この暗闇の中から祈っているわ。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
真実の愛は水晶の中に
立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。
しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。
※「なろう」にも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる