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第一章 乙女ゲームの世界に単身赴任後通勤だ!
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「エルアールお嬢様!公爵家のご令嬢ともあろうお方が木登りとは、一体何を考えていらっしゃるのですか!貴女はもう14歳なのですよ!」
「あら、木登りは年齢でするものでも考えてするものでもなくてよ?」
私はアリア・シエル。
張り切ってモブ令嬢になったつもりが、まさかの出産時からという地獄を味わい、オムツ替えや授乳という初めての体験だらけで意外と楽しんでるよ!
LRという名前はちょっと笑うけどね。
顔なしモブ令嬢で選んだのに、私が今いるのはなんと王宮。
この国の先代国王と現宰相の祖父、国王陛下と宰相補佐の父が幼馴染で、私と私の双子の兄であるアックス(AX・・・)と王太子殿下と幼馴染になるのは必然。
でも、王族で攻略対象になるのは側妃の息子である第二王子なんだけど、王妃様と側妃様の仲の悪さは有名で本人達も隠す事さえしない。
そして、私はこの登場すらしなかったアレックス王太子の婚約者だったりする。
「グダグダ言ってないで早く降りて来いってんだオラ!」
「うわ・・・素が出てますわよ」
「うるせぇ!早くしろや!」
ドゴンという音がして木が揺れるのと同時に、油断していた私が落ちそうになり、下でぎゃあああやり過ぎた!と声が聞こえるけど、クルリと回転して着地するとふぃぃぃと安堵の叫び・・・いや、吐息が聞こえた。
「だから大丈夫だと言いましたでしょう?」
少し得意気に言うと、叫んでいたオネエ・・・ゴホン。メイド長が拳を握りしめてふるふると震え始めたけど、逃げる準備万端の私との距離を縮める事はできず、肩を落として「木登り禁止!」とまた叫んで去って行った。
「ふふ、これで87連勝ね」
「さすがLRだね」
後ろからクスクスと笑う声がして振り向くと、婚約者の王太子殿下が別の木に寄りかかって私を見ていた。
「シャル、覗き見なんて趣味が悪いわよ」
「ごめんごめん、見事な木登りからの着地でボーッとしてしまったんだ」
朗らかに微笑むこの人は、シャル・ソー・トレイラー。 見れば分かるようにソーシャル。
モブの名前が適当すぎて笑えてくる。
だって、さっきのオネエ侍女長はニンテ・スイドーだよ?あの有名な会社のもじりだよ?
どこまでふざけるのか、学園に入るのが楽しみになってきたわ。
「まだ怒ってる?」
「まさか、私がシャルの事を怒るなんてケーキを独り占めされた時位よ」
「それはないから安心して」
顔を見合わせて笑う私達は、5歳の時に王命で婚約指輪した時からずっと良い関係を築いているのだけど、問題が1つある・・・。
「LR」
その問題がやって来た!
攻略対象の第二王子・・・カーネルおじさんじゃなくて、カイル殿下が。
「カイル殿下、ごきげんよう」
「うむ、今は何をしていた?良ければ僕とチェスをしないか?」
「申し訳ございません。これからシャルとお茶会なのですわ」
そう言って断ると、今まで無視していたシャルをギッと睨んで何も言わずに去って行った。
あれ?今日はグチグチ言わないんだ、成長したのかな?と首を傾げていると、シャルがまたクスクス笑う。
「何よ」
「いつものようにグチグチ言わないと思ってるのかな?と思って」
「その通りな」
返事を最後まで返す事なく、私はシャルの前に立って魔法の剣を手から出す。
「刺客よ」
これは私達の、いえシャルの日常。
「あら、木登りは年齢でするものでも考えてするものでもなくてよ?」
私はアリア・シエル。
張り切ってモブ令嬢になったつもりが、まさかの出産時からという地獄を味わい、オムツ替えや授乳という初めての体験だらけで意外と楽しんでるよ!
LRという名前はちょっと笑うけどね。
顔なしモブ令嬢で選んだのに、私が今いるのはなんと王宮。
この国の先代国王と現宰相の祖父、国王陛下と宰相補佐の父が幼馴染で、私と私の双子の兄であるアックス(AX・・・)と王太子殿下と幼馴染になるのは必然。
でも、王族で攻略対象になるのは側妃の息子である第二王子なんだけど、王妃様と側妃様の仲の悪さは有名で本人達も隠す事さえしない。
そして、私はこの登場すらしなかったアレックス王太子の婚約者だったりする。
「グダグダ言ってないで早く降りて来いってんだオラ!」
「うわ・・・素が出てますわよ」
「うるせぇ!早くしろや!」
ドゴンという音がして木が揺れるのと同時に、油断していた私が落ちそうになり、下でぎゃあああやり過ぎた!と声が聞こえるけど、クルリと回転して着地するとふぃぃぃと安堵の叫び・・・いや、吐息が聞こえた。
「だから大丈夫だと言いましたでしょう?」
少し得意気に言うと、叫んでいたオネエ・・・ゴホン。メイド長が拳を握りしめてふるふると震え始めたけど、逃げる準備万端の私との距離を縮める事はできず、肩を落として「木登り禁止!」とまた叫んで去って行った。
「ふふ、これで87連勝ね」
「さすがLRだね」
後ろからクスクスと笑う声がして振り向くと、婚約者の王太子殿下が別の木に寄りかかって私を見ていた。
「シャル、覗き見なんて趣味が悪いわよ」
「ごめんごめん、見事な木登りからの着地でボーッとしてしまったんだ」
朗らかに微笑むこの人は、シャル・ソー・トレイラー。 見れば分かるようにソーシャル。
モブの名前が適当すぎて笑えてくる。
だって、さっきのオネエ侍女長はニンテ・スイドーだよ?あの有名な会社のもじりだよ?
どこまでふざけるのか、学園に入るのが楽しみになってきたわ。
「まだ怒ってる?」
「まさか、私がシャルの事を怒るなんてケーキを独り占めされた時位よ」
「それはないから安心して」
顔を見合わせて笑う私達は、5歳の時に王命で婚約指輪した時からずっと良い関係を築いているのだけど、問題が1つある・・・。
「LR」
その問題がやって来た!
攻略対象の第二王子・・・カーネルおじさんじゃなくて、カイル殿下が。
「カイル殿下、ごきげんよう」
「うむ、今は何をしていた?良ければ僕とチェスをしないか?」
「申し訳ございません。これからシャルとお茶会なのですわ」
そう言って断ると、今まで無視していたシャルをギッと睨んで何も言わずに去って行った。
あれ?今日はグチグチ言わないんだ、成長したのかな?と首を傾げていると、シャルがまたクスクス笑う。
「何よ」
「いつものようにグチグチ言わないと思ってるのかな?と思って」
「その通りな」
返事を最後まで返す事なく、私はシャルの前に立って魔法の剣を手から出す。
「刺客よ」
これは私達の、いえシャルの日常。
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