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序章

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気付いたら白い世界。
白い世界ってスキー場の広告みたいね。

なんて現実逃避はここまでにして、とりあえず歩いてみるしかないかな。

トコトコと端を探して歩いても全く端は見えてこないし、胸の下の骨、これなんだっけ・・・あ、肋骨だ。が痛くて辛いし、たくさん走ったから足も痛いし、そろそろ座りたいんだけど・・・怖くて座れないの。

暗い所が怖いのは知ってたけど、明るい所でも怖くなるなんて知らなかったよ。
暗いと何があるか分からないけど、明るいと何もないのが分かってるから、いつまで歩いてもここから出られないという事が分かっちゃうんだね。
白も黒も怖いと知った12歳の冬、高宮咲良はここで餓死する事に決定!
もしかして、凍死の方が楽だったのかな。

そんな馬鹿な事を考えてたら、いきなり目の前にピンクと水色の美人さんが現れて悲鳴をあげかけたけど、私は口を開けたままピンクさんをガン見したの。

「その髪の色・・・私と似てるね。あれ、顔もちょっとだけ似てる?」

「そうだね。彼は君のお父さんだからね」

水色さんが意味不明な事を言ったけど、スルーしてもいいかな?

「ちゃんと聞かないとダメだよ」

え、もしかして心を読まれたの?凄い、アニメみたい!

「アニメは分からないけど心は読めるよ」

読めるのは水色さんだけ?ピンクさんは?お父さんって何?私のお父さんは事故で亡くなったよ?

「なあ、君が説明しないとダメだよ」

「・・・おい、お前は俺の娘だ。日本にいた父親は、俺がリリアを匿うように頼んだ友人で日本の神だ。これでいいか。ついでにあいつは生きて神界に戻ったがな」

え、何なのこのピンク。
この人絶対に言葉足りない人だ。
作文とか苦手でしょ。200文字の作文用紙3枚分の感想書く宿題とかで、同じような事を何度も書いて誤魔化すタイプでしょ。

「ブフォッ」と水色が吹き出して、う○こ座りで震えてるんだけど、当たってたのかなぁ?

「うるさいぞ、浅葱」

「ごめん、薄紅」

「浅葱と薄紅?色の名前なの?」

「よく知ってるね」

「お父さんが教えてくれたの。大切だから覚えるようにって」

お父さんは色の名前をたくさん教えてくれたの。
日本と違う世界の神様にも色があるんだって。
だから、色の名前を覚えなさいって言われて頑張ったのよね。

「お前の名前はなんだ」

桜純さあや。純銀と桜。銀を女の子につけるのは嫌だったから純をとったってお母さんから聞いたよ」

ピンク・・・薄紅が変な顔をして私の頭の上に手をかざしたと思ったら、茶色に染めてた髪が元に戻ったの。魔法使いなの?

「すごい・・・輝いてる。こんなの初めて見たよ!なぁ、薄紅」

「人間と混ざったせいか?それとも新しい・・・いや、今はいいだろう」

「ねえ、薄紅は私のお父さんなんでしょ?でもお父さんはもういるからパパでいい?」

また浅葱が座り込んで震えてるけど、これはもう無視。私に今必要なのは保護者!

「何でもいいが、俺はお前とは暮らせないぞ。代わりに莉杏の父親と母親の所に送ってやる」

「なんで?」

「人の血が混ざったお前が神の国に受け入れられるのは難しい。向こうにはもう言ってあるから今から送る」

「パパとはもう話ができないの?」

「呼びかければ応える」

「分かった。じゃ・・・」
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