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序章

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サロンと言えばヘアサロンや日焼けサロンだったせいで、今の私はかなり間抜けな顔をしていると思う。

ここは所謂応接室らしく、その大きさが尋常じゃなくて、うちの小学校の体育館位あるんだよ。
こんなだだっ広い所で何の話をするんだろう・・・飾ってる物も絶対に高いから、近寄らないようにしないと。

「まずは家族を紹介しよう。私は天司あまつかさ藤也、隣にいるのが妻の彩、娘の緋奈、婿の静流、娘の長男の来斗、次男の玲斗だ」

「御剣桜純です。よろしくお願いします」

「桜純は、莉杏が亡くなった後はどうやって暮らしていたんだ?薄紅様は相当ひどい生活をしていたようだと仰っていたんだが、話してくれるかな?」

そういえば、肋骨痛いのも足が痛いのも治ってる。
後でパパにお礼言わなきゃね。
今はここで話をしないと。

「2年前に2人が亡くなって、育ての父の親戚だという人達が来て引き取られました。でも、何とか学校には通えましたが、朝起きて掃除、洗濯、朝食、おじさん達の昼食を作ってから登校して、帰ったら買い物して晩御飯を作っていました。普段から暴力を振るわれていたんですが、最後の日は変な男に売られそうになって逃げたんです。親戚というのは嘘でした」

ここまで素直に話す事はないと思うけど、私には保護者が必要なの!ここを追い出されたら今度こそ野垂れ死にするしかないから必死なのよ。

チラッとこの家の人達を見るとまた泣いてた。
ううん、これは号泣っていうんだと思う。
よく見ると使用人さん達も黒スーツおじさん達も泣いてるし、この世界の人達って涙腺が緩いのかな。

「今日から私達が君の親になるから安心してほしい」

「そうよ。半神に酷い事をした奴らの所になんて返さないわ」

おお、イケメンが喋った・・・ん?今半身って言った?半身浴?親?養女?

「あの、半身ってなんですか?」

「半分神様、半分人間の事よ。しかも薄紅様のお子様と聖女である妹の子、それが女の子というのはとても凄い事なの。最高神なのに一度も子を持った事がなかった薄紅様が突然妹に通ってね。その話はすぐに広まって、妹が妊娠したと分かると攫おうとする輩が大量に出たのよ。それで薄紅様が妹を隠してしまったの」

な、なんだか大変な話だよね。
私は産まれる前から狙われていて、パパはお母さんと私を守ったんだ。

でもね、私は全く別の事でも驚いてるの。

半神とか、色の名前の神様とか・・・知ってる。
お母さんが死ぬ前によく遊んでた友達のお姉ちゃんがやってた乙女ゲームだよ・・・毎日遊んでたから、毎日見せてもらってたのにあんまり覚えてないかも。

「半神達は唯一の愛を知る」だっけ?

半神は男性しか産まれないのに、鶯色の神様の子供に産まれた女の子がヒロインなのよね。
隠されてたけど、学校に行きたくて自分から出てきちゃった行動派・・・あれ?私も女の子だよね?
実は男の娘だったってオチはないし。

ネット小説でお馴染みのモブ?
でも、あの言葉足らずパパが最高神なんだよね。

もう、意味が分かんない!この展開は小6にはキツいよー!
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