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序章

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もう遅い時間だからと、とりあえず客間に案内してもらって、2年振りにお風呂につかれて。
いやー、やっぱり湯船につかるのはいいね。

で、今はパパに連絡しようとしてるとこ。

さっき分かったんだけど、私の髪と瞳はお母さんが変えてたみたい。そう、私は今まで自分の瞳は茶色だと思ってたのに、朝・昼・夜の微妙な色が5色再現されてる上に銀の星が散ってた・・・。
日本にこんなのがいたら、見世物どころか実験動物にされるよね。お母さん、ありがとう!でも異世界人だとかパパの事は教えておいてほしかったよ!

さて、文句に満足したから呼ぼうかな。

『パパー、パーパー!』

『・・・なんだ』

『あの、本当に私のパパなの?最初から塩対応すぎるんだけど』

『当たり前だ。お前のその髪と瞳は俺譲りだぞ』

『そっか、ならいいんだけど。あのね、聞きたい事があるの』

『なんだ』

『半神って男の子しか産まれないよね?』

『お前以外はな』

『半神達は唯一の愛を知るってゲームは知ってる?』

『ああ、あいつが言ってたな。どうやらこの世界に夢で迷い込んだ者がそんなものを作ったらしい』

『内容は知ってる?』

『興味がない』

『私の他にもう1人女の子が生まれてる事は?』

『なんだと?』

『紫黒の神様の子供なんだけど知ってる?』

『チッ、子供が生まれたら報告義務がある筈だろうが・・・後で〆ておく。助かった』

『うん、それはいいんだけど。そのゲームに紫黒の娘さんはヒロインとして出るんだけど私はいないんだよね。どうしたらいいと思う?』

『好きに生きろ。お前は滅多な事では死なんし能力もずば抜けて高い。天司と俺達で修業もさせる』

『そっか・・・パパ?』

『なんだ』

『お母さんとわたしを守ってくれてありがとうね』

『・・・当たり前だ』

『嬉しかったからね』

『子供は早く寝ろ』

『うん、じゃあおやすみなさい』

『・・・おやすみ』

パパとの話しが終わってから、私はランドセルを手にとった。
ロックを外して開いて、時間割表を出して裏返す。

「お父さん、お母さん・・・」

家族の思い出は全部売られたり捨てられたりで、唯一持ち出せたのは1枚の写真だけ。
見つかったら捨てられるから、時間割表の裏に貼ったの。
2年生の運動会で友達のお母さんに撮ってもらったその写真には、お父さんとお母さんの間に座ってピースしてる私がいる。嬉しくて、楽しくて、幸せしか知らなかった頃の私。
この頃はまだ1人でご飯が作れなくて、お父さんと一緒に料理の本を見ながら作って、お母さんは子供番組を見て踊ってた。
「仕方ないお母さんだね」って2人で笑って、本当に楽しかった。
お父さんは神様なんでしょ?なのにどうして会いに来てくれなかったの?お母さんがいなくなったから、私の事なんてどうでも良かったの?
あんな奴らの所に置いて平気だった?

それなら私もお父さんを忘れるね。
私にはパパがいるから、これからはパパを大切にするよ。
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