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序章
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私がこの世界に来て3年が経ちました。
あの後すぐに学園の初等部に編入したのだけど、皆の顔を思い出すと今でも笑っでしまうわ。
男の子ばかりの所に入るのはかなり勇気が必要だったけど、皆がとても優しくて毎日笑わせてくれたからすぐに馴染めたわ。
ヒロインが編入してくるのは高等部の2年生からだから、それまではのんびりと日々を過ごして行くわ。
と、言いたい所だけど。
「桜純、こんな所にいたんだ。1人になるのは危険だって言ってるだろ?」
「ごめんね、少し考え事をしていたの。ここは人が来ないから大丈夫よ」
「人が来ないから心配なんだよ。キミはもっと自分を大切にするべきだよ」
心配そうに私を見つめる白藤色の髪を持つ彼は、蓮水創星。
彼は私の婚約者。
編入した翌日、天司家と共に国を治める蓮水家から婚約の打診かあったの。
両家の絆を深めるのは大切だけど、おじい様達は私をどこにもやりたくないと言って、何度も断って下さったのだけど、中等部に上がってすぐの頃に創星から告白されたの。
「一目惚れした」は分かるけど「一生大切にする」なんてプロポーズよね。
ドン引きする私に「1年付き合って僕の事を好きになれれば婚約してほしい」と言って引き下がらず。
どうせすぐに飽きるんでしょ?と思っていたけれど、彼は1年間ずっと大切にしてくれたし、約束通り婚約した後は大切にしすぎな位になっているわ。
でもね、創星は攻略対象でメインヒーローなのよ。
これを思い出したのが婚約式の後で、その時はやっぱりやめるって駄々をこねたけど、創星が根気よく付き合ってくれたから今も仲良くできているの。
「最近の君はおかしい」
「そう?」
「考え事が多すぎる。窓の外を見てボーッとしてる事も多いし何か変なんだ。まさか、他に好きな男ができたとか言わないだろうね?」
突拍子もない考えに思わず吹き出してしまって、創星が拗ねてしまったのだけど、いつも凛とした彼のこう言う一面を見る事ができるのは私だけなのよね。
「そんな人いないわ。私が好きなのは創星だけよ」
「僕も桜純が大好きだ。絶対に他の男になんか渡さないから」
いつもこんな感じだから、誰も私に近寄れないと駆除が出ているのよね。生徒会長がこんな風でいいのかしら。
「ねぇ、わたしが異世界にいたのは知ってるでしょ?」
「うん。有名だからね」
「最近ね、向こうの夢をみるの」
「どんな?」
「両親は生きていて、私は御剣桜純として成長するの。両親が亡くなった10歳から始まって今日14歳になっていたわ。この世界の事も何も知らずに生きている私を見るのは不思議だけど、こういう人生があったかもしれないと思うと少し悲しくなるわね」
話し終わって創星を見ると、なぜか顔が真っ青なの。
私は何かおかしな事を言ったのかしら?
口元を押さえる創星に手を伸ばすと振り払われ、そのまま走ってどこかに行ってしまったのよ。
こんな事で婚約破棄なんてないわよね?
もちろん、創星がヒロインを選ぶならすぐに身を引く覚悟はできてるけど。
私はもう一度中庭の椅子に座って、夢の事を思い出す事にしたの。
あの後すぐに学園の初等部に編入したのだけど、皆の顔を思い出すと今でも笑っでしまうわ。
男の子ばかりの所に入るのはかなり勇気が必要だったけど、皆がとても優しくて毎日笑わせてくれたからすぐに馴染めたわ。
ヒロインが編入してくるのは高等部の2年生からだから、それまではのんびりと日々を過ごして行くわ。
と、言いたい所だけど。
「桜純、こんな所にいたんだ。1人になるのは危険だって言ってるだろ?」
「ごめんね、少し考え事をしていたの。ここは人が来ないから大丈夫よ」
「人が来ないから心配なんだよ。キミはもっと自分を大切にするべきだよ」
心配そうに私を見つめる白藤色の髪を持つ彼は、蓮水創星。
彼は私の婚約者。
編入した翌日、天司家と共に国を治める蓮水家から婚約の打診かあったの。
両家の絆を深めるのは大切だけど、おじい様達は私をどこにもやりたくないと言って、何度も断って下さったのだけど、中等部に上がってすぐの頃に創星から告白されたの。
「一目惚れした」は分かるけど「一生大切にする」なんてプロポーズよね。
ドン引きする私に「1年付き合って僕の事を好きになれれば婚約してほしい」と言って引き下がらず。
どうせすぐに飽きるんでしょ?と思っていたけれど、彼は1年間ずっと大切にしてくれたし、約束通り婚約した後は大切にしすぎな位になっているわ。
でもね、創星は攻略対象でメインヒーローなのよ。
これを思い出したのが婚約式の後で、その時はやっぱりやめるって駄々をこねたけど、創星が根気よく付き合ってくれたから今も仲良くできているの。
「最近の君はおかしい」
「そう?」
「考え事が多すぎる。窓の外を見てボーッとしてる事も多いし何か変なんだ。まさか、他に好きな男ができたとか言わないだろうね?」
突拍子もない考えに思わず吹き出してしまって、創星が拗ねてしまったのだけど、いつも凛とした彼のこう言う一面を見る事ができるのは私だけなのよね。
「そんな人いないわ。私が好きなのは創星だけよ」
「僕も桜純が大好きだ。絶対に他の男になんか渡さないから」
いつもこんな感じだから、誰も私に近寄れないと駆除が出ているのよね。生徒会長がこんな風でいいのかしら。
「ねぇ、わたしが異世界にいたのは知ってるでしょ?」
「うん。有名だからね」
「最近ね、向こうの夢をみるの」
「どんな?」
「両親は生きていて、私は御剣桜純として成長するの。両親が亡くなった10歳から始まって今日14歳になっていたわ。この世界の事も何も知らずに生きている私を見るのは不思議だけど、こういう人生があったかもしれないと思うと少し悲しくなるわね」
話し終わって創星を見ると、なぜか顔が真っ青なの。
私は何かおかしな事を言ったのかしら?
口元を押さえる創星に手を伸ばすと振り払われ、そのまま走ってどこかに行ってしまったのよ。
こんな事で婚約破棄なんてないわよね?
もちろん、創星がヒロインを選ぶならすぐに身を引く覚悟はできてるけど。
私はもう一度中庭の椅子に座って、夢の事を思い出す事にしたの。
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