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第一章

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体育祭当日、私は一週間前から高熱を出して寝込んでいるから欠席。

「体育祭、出たかったわ」

声に出すと余計に悲しくなるのは12歳の時に知ったけれど、それでもこういう時は声が出てしまうのよね。
竜宮家の皆さんは百合の応援に行ったの。
看病すると言われたけど、大丈夫だからとお願いしてね。使用人の方達もいるし大丈夫よ。

『桜純、熱を出したそうだな』

『パパ、久しぶりね。どうして熱が出た事を知っているの?』

『あいつが連絡してきた。桜純、すぐにこっちに戻れ』

『お父さんが?どうして?』

『その熱はお前が神と成った証。血と肉が神を宿すに相応しい体へと作り変えているんだ』

『私は半神でしょう?』

『俺と莉杏の娘だからだ・・・あいつは聖女だと聞いただろ?』

『うん』

『聖女になるのは神となる資格がある者だ』

『そっちに女神がいるの?男の人にしか会った事がないわよ?』

『ここには男神しかいない。女性は人としての生を終えてから別の神界で神となる・・・あいつもそうだ』

『お母さんはどこにいるの?話せる?』

『いや、莉杏としての記憶はないからそれは無理だ。それにあいつは遠い場所にいるから話もできない』

『そうなの・・・それは仕方ないわね』

『桜純、とにかく戻れ』

『どうしてそんなにしつこく言うの?』

『お前の事を善神も悪神も全ての神が欲しがる。神だけじゃなく魑魅魍魎の類もな』

『どうして?』

『奇跡だからだ』

『奇跡?』

『俺は子を成さなかったのではなく、全ての仲で最も古い神であるがために子を成す事ができなかった。だが、あいつに出会いお前をもたらせた。お前は存在そのものが愛であり奇跡。愛というものがある限り存在する事ができる俺の最愛の唯一の神だ。桜純、俺には色がなかったがお前という奇跡で色を持った。それが薄紅なんだ。以前は真白と呼ばれていたな』

真白が薄紅になるくらいにパパは私を愛しているの?
最初に会った時に私の顔を見なかったのは、もしかして似た色と顔を持つ私を見るのが恥ずかしくて?
修行だと色々教えてくれたのは、神になる可能性が高かったから?それなら・・・。

『パパ、私はここに残るわ』

『なぜだ!』

『私を鍛えたのは誰?パパ達でしょ?最古の神様に鍛えてもらった私が弱い筈がないじゃない』

『ダメだ、戻れ』

『絶対に嫌よ。愛で生まれた神が愛を奪われた世界に戻りたいと思う?』

『紫黒に話を聞いた』

『え?』

『そんな子供は知らないと言っていてな』

『どういう事なの?』

『最古の闇にあの濃い髪の色を利用されたんだ』

『最古の闇って何?』

『善神が光なら悪神は闇。俺と闇は同時に生まれた対となる存在だ。最初は共にあったが闇を嫌い恐れる存在共の感情に呑み込まれ、いつしか悪神と成り果てたんだ』

『救う方法はないの?』

『あいつ自身が気付かない限りは無理だな』

『その方のお名前は?』

『暗黒だ』

『確かにその色はありますが、状況を考えると酷いですね』

熱はあるけど、頭はスッキリしてきたわ。
もう少し、もう少しだけ時間を・・・。
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