見てるだけはもう終わり!~創造主は地上に降りる~

樹林

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第一章

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放課後、迎えの車の中で百合に命の恩人について聞くと、百合は嬉しそうに笑って教えてくれたわ。

「あのボールが飛んできた日、実は自殺しようとしてたのよ。でもサーヤと友達になって、毎日のように遊びに来てくれる内に死にたいって思わなくなったんだ。だから、イジメの事も死のうとしてた事もぜーんぶ家族に話したの。その日の内にイジメしてた子達と親が謝りに来て大人しくなったし私も強くなった。サーヤがいなかったら今も学園に行けてないと思う。本当にありがとう」

「私は百合を好きになったから友達になっただけだし、恩人なんてすごいものじゃないけどこれからも仲良くしてね」

「それはもちろん!一生親友で家族だからね!」

私達はずっと友達で家族。
本当にそうできたら幸せな毎日を過ごせるわね。

「そういえば、鷹司君の事どう思う?」

「え?爽やかな人だなって感じかしら」

「そうだよね。サーヤには笑うもんね」

「普段は笑わないの?」

「うーん、政親と鷹司君って仲良いんだけど、2人合わせてなんて呼ばれてたと思う?」

「え、呼び名があったの?面白いと爽やかで・・・ダメ、想像もつかない!」

「だよねー。月と太陽だよ」

「意味は?」

「明るくていつも笑ってる政親と、クールで笑わない鷹司君。爽やかさなんてどこにもなかったよ」

「ずっと笑ってるわよね?」

「うん、私も驚いたもん。サーヤに一目惚れでもしたのかなって思うんだけどどう?」

「鷹司君ってモテそうだし、それはないでしょ」

「そうかなぁ?私はあると思う」

百合は家に着くまで鷹司君を推し続けて、私はぐったりとしながら部屋に戻った。

恋愛はまだ怖いし、創星と同じ名前なのも正直に言う言って辛いのよね。
創星との日々が濃い過ぎたせいかしら。

『桜純、今いいか』

『パパ!大丈夫よ』

『それくらいは簡単だ。それより蓮水の息子の事だが』

『その話は聞きたくないからやめてちょうだい』

『後悔しないか?』

『彼女にべったりな創星の姿も見たわ。私がいなくても気にも止めない人の事を聞く方が後悔するわ』

『そうか、それならやめておこう。そちらの生活はどうだ?』

『楽しいわ。そうそう、お父さんと話をしたの』

『あいつが?』

『うん、でね。私に辛い選択をさせるって言ってたのだけど、どういう意味か分かるかしら?』

『あの馬鹿が!桜純、その事は一旦忘れろ。俺はお前に選択させる気はない』

『いいの?大事な事のようだったわ』

『気にするな。お前はお前の人生を楽しめばいい。だが、こっちには戻ってもらうぞ。そちらにいるのは危険だ』

『嫌よ。私はここで幸せになるもの』

『半年以上はダメだ。いいか、引きずってでも連れて帰るからな』

『絶対に嫌!また行方不明になるなんて、今の家族が悲しむし、私もここがいいの』

『家族?』

『ええ、友達の家の養女になったの。お父さん達が話してくれてたのよ』

『・・・後でまた連絡する』

その日、パパから連絡が来る事はなかったけど。
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